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片隅に生きる人々

イラスト:ソラさんのイメージです
公開日時:2020年10月27日(火) 13:36更新日時:2020年11月1日(日) 16:06
話数:45文字数:129,399
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106
レビュー
9
作品評価
9.3
わたしの評価

あらすじ

 わりかし最近の話だ。夕食後、Twitterを眺めていたら、『人生を変える箱』というのが出てきたから、僕は何の気なしにクリックしてみた。美しい蒔絵の施された京漆器が僕のPCに表示され、こんな感じの胡散臭い煽りが飛び込んできた。

 

『クソみたいな貴方の人生を、この箱で変えてみませんか? これまで数々の為政者を生み出してきた奇跡の箱です。お代は送料のみで結構。どんな権力でも思うがままです! 無事に権力を手にしましたら、成功報酬として1000万円を振り込んでください』

 

「煽り文句としては下の下だな」と僕は思った。勿論、こんなものが本物であるはずがない。けれども、その煽りの下にほんの小さく書かれていた注意書きに、僕は少しだけ興味を惹かれた。「ただし、保証するのは権力を手にすることであって、その後の人生の補償まではいたしません」

 

 この箱をめぐって、数奇な運命をたどる【僕】の物語。

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全てのレビュー

びぶ@
びぶ@ 投稿日:7月1日

フィクションか、ノンフィクションか?

そこに言及するレビューが多い理由が、第一話を読んですぐに分かった。

 

作中で放たれるセリフの一つ一つに、魂が籠っているのだ。

魂の籠ったホンモノのセリフが、読み手の脳裏に人物像を具現化させ、どんどんストーリーに引き込んでいく。

 

全体的に人物の容姿や風景的な描写は少な目だ。

それでも目を閉じれば、事務所のソファで煙を吐き出す剣乃さんが瞼に浮かんでくるのである。

 

なぜなのか。

恐らく答えは単純だ。

作者の中にこの物語が、"愛すべき世界線"として実在しているのだ。

実在する世界線であるから、放たれるセリフは魂を持ち、読み手に訴えかけてくるのだ。

 

フィクションかノンフィクションか、答えは作者しか知らない。しかし、間違いなく登場人物達は生きている。そう思わせるリアリティがこの作品にはある。

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4時間掛けて一気に読んでしまいました。

続きも読みたいので今は8とさせていただきました。

1人の読者がこれを役に立ったと思っています
退会したユーザー ?
退会したユーザー 投稿日:6月24日

フィクションである。でもifノンフィクションとして読んでみると、非常に興味深い。今までの日本人はずっとディズニーランドTVを観て、ディズニーランド新聞を読み、ランドの中で眠っていたのだなーと、ランドの外に出て初めて気付く。そう気付いた瞬間に両目のレンズは割れてしまう。新世界にダイブだ。

作家さんは、才能をひけらかすでも無く、淡々としたテンポで語り続ける。それがいい。読者の心が作品に入り込める「間」を創り出してくれるから。心地よいのだ。日本の大恩人である田中角栄さんに想いを馳せながら続きを待つ。連載中故に、現時点での評価は8とさせて頂きたい。

1人の読者がこれを役に立ったと思っています

このレビューにはネタバレがあります。

宅なめろう
宅なめろう 投稿日:6月23日

スケールが深い、深い。

まだ見ぬ世界観

一火路
一火路 投稿日:3月6日 更新日:3月6日

頭の良い主人公。悪人が登場する社会勉強系の作品は刺激的でおもしろい。

この作品はそれだけではない。

頭が良すぎてつい相手をあざむく行動をしがちな主人公なのに、天然に近い性格のおおらかさと持ってる価値観の目利きの良さで清らかに描かれている。さらには演出の古き良き日本の紹介や心温まる四畳半SF要素も詰め込まれており、魅力たっぷりの新ジャンルのノンフィクション自伝となっている。

 

「相場師」という仕事だけでもミステリアスで魅力的なのに、作者は今ではよく耳にする言葉、『非リア』という言葉も誰よりも早く作りだして使っていたオタク相場師とのこと。なのでこんなに不思議でおもしろい話が書けたのかもしれない。

2人の読者がこれを役に立ったと思っています
まっしぐら
まっしぐら 投稿日:12月20日

レビューになってないのでもっとレビューっぽく書きたいと色々考えたのですが、

素晴らしいレビューは他にたくさんありますし、読めばわかると思うので、

最初に読んだ時の感想をそのまま書きたいと思います。

 

私にはかつて心の底から信頼しあえた親友と幼馴染がいました。

ある時を境に二度と会えなくなり、随分長らくの間、妄想や夢の中で、

当時のあいつらと他愛ない事で笑い合ったり、

あの瞬間が訪れる前の世界に飛び一緒になって危機を回避したり、

といった事をしていました。

 

いつからか、そんな夢も見れなくなり、妄想もイメージがどんどん

うすらぼけたものになっていき、消えてなくなってしまうのが嫌で

絵や漫画に残そうと試みたりもしましたができませんでした。

 

もうあとはいつかあっちで再開する時を待つしかないかなと諦め、

存在自体も消えかけていましたが、

この作品を読んでから、なぜかあの時のあいつらが鮮明な姿で

またやってくるようになりました。衝撃的でした。

 

たまたま私がこの作品と何かが合っていただけかもしれませんが、

もう会えない人に会いたいと思っている人がいたら

試しに読んでみてもらいたい。そんな作品です。

2人の読者がこれを役に立ったと思っています
ヴぉんばぃえ
ヴぉんばぃえ 投稿日:12月20日

本作は、日本の戦後を舞台に、金と権力を握るために全力を尽くす方々の人間ドラマです。

登場人物は、政治家とそれを陰で支える相場師で、一癖も二癖もある彼らですが、どこか暖かさのある彼らの言葉に引き込まれます。

 

政治家とそれを陰で支える相場師が、三毛猫とともに?

時代を駆け抜けるさまをお楽しみください。

1人の読者がこれを役に立ったと思っています
merry
merry 投稿日:12月16日

片隅に生きる人々は伊集院先生の最初の作品だと思いますが、私にとりましても、とても思い出深い作品です。

フィクションなのに、ノンフィクションと錯覚するような感覚で読んでました。

主人公の頭の良さと全力さんの可愛さが魅力です。

1人の読者がこれを役に立ったと思っています
sonaFMH
sonaFMH 投稿日:12月14日

この作品は伊集院先生がtwitterでの活動(DJ全力)から執筆活動へ移行した最初の作品だと思います。当初はtwitter上で連載したり、FANBOX内での限定であったり、音声配信などを取り入れたりされていました。twitterでのリアルタイム連載などの企画は、非常に新鮮で読者として新たな体験が出来る企画でした。自分としては初めは企画物として受け止めていた作品なのですが、出来上がって見れば魅力的なキャラクター、綿密に練られたシナリオ、緩急つけたテンポのよさ、非常にエンターテイメントとして完成度の高い作品となっています。またこの作品から広がるオリジナルな世界観は伊集院先生唯一無二です。まずこの作品から読んでいただきたいし、一つ選べと言われればこの作品を選びます。

1人の読者がこれを役に立ったと思っています
高宮零司
高宮零司 投稿日:11月1日

剣乃師匠、赤瀬川氏、全力さんにソラさん。

とにかく一人一人の登場人物のキャラクターが「立っている」のがこの作品のキモだと思う。

相場師や元ヤクザといった実際に相対したらまず相容れない人物にもかかわらず、魅力的な人物に感じる。

タイムトラベルものとしての設定も、よく練られていると思う。

今後の歴史がどういう形に変わっていき、どう変わらないのか、ワクワクさせられる。

(作中に出てくる満洲油田の件、ロマンがありますよねえ。自分の作品で扱うために資料を読み込んだ覚えが)。

2人の読者がこれを役に立ったと思っています