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妖精を自称する古書店主と大学生の主人公のやりとりから始まる物語。
序盤、「ヴァルダさんって呼んで」「私は伝承者を導く心の妖精」といったヴァルダさんの全開ぶっちぎりの中二病が炸裂。ついには世界を揺るがす陰謀論が展開され、一応話を合わせる主人公(と、たぶん読者)。
陰謀論の元となったある本は盗まれてしまっていたが「犯人は分かっているのです」と冷静なヴァルダさん。そこに一人のお客が現れて...。
前半のギャグパートととも言える掛け合いと、後半から本領発揮のヴァルダさんのギャップが魅力。構成的にも、歴史のうんちくから客との駆け引きまでメリハリがあって飽きさせない。
ぜひ頭を空っぽにして、主人公と一緒に騙されてほしい。
”ヴァルダさんは、本当の事しか言わない”
作者の伊集院アケミさんの名前はこのサイトでよく目にするので、今回この小説を読ませてもらいました。
正直に言うと最初はつまらなさそうだなと思いながら読んでいたのですが、この小説の舞台である「死者の書のしもべ」の店主であるシスターの格好をしたヴァルダと彼女を慕う大学生アケミの歴史の知識を交えた会話のやり取りが、古書店や歴史ものが好きな自分にとっては、古書や歴史を語りながらのリア充な感覚を味わえたので、読んでてとても心地良かったです。最後のヴァルダの謎めいた部分が垣間見えた箇所も良かった。
この小説を読ませてもらって、厨二病全開な雰囲気で歴史書や古書が置いてある、メイド喫茶とはまた違うんだけど、そういった遊び場みたいなのがあれば、とても楽しそうなのになって、ふと思いました。結構良いアイデアだと思うんですけど。
それとヴァルダのキャラ設定が良かったので、長編で本格的な奴も読みたいなって思います。期待の意味も込めて、1つ点数を下げた9点にさせてもらいました。とても楽しく読ませてもらいました。良い作品を読ませて頂き、本当にありがとうございました!また他の小説読ませてもらいます。