全てのレビュー
レビューなのに変な話だと思うのですが、私は、この作品の内容については語りません。
何故なら、この作品から受ける【次を読みたいと言う欲求が止まらない現象】を体験して欲しいからです。
……とは言え。
何も説明せずに、ただ「読んてみて欲しい」と言っても、誰も関心を持ってもらえないだろうから、少しだけ話をさせて貰うならば、この小説は狂っています。
狂人による、狂人達の心理描写を描いた作品だからです。
ですが、ただ狂っているだけなら、私も、この小説を勧めたりはしません。
その狂った思想の中にも、きっちりとした設定が盛り込まれ。
なぜそうなってしまったのか?と言うヒロイン達の心理描写も見事に再現されている。
要するに【安っぽく狂っただけの、ありがちな狂人が描かれるのではなく】読者をこの世界に引き込んでくれる狂気があるからこそ、私は、この小説をお勧めしたい訳なのです。
そして、それらが上手く融合されているので『読みたいと言う欲求が止まらなくなる』現象に陥る。
これを体験して欲しくて、私は、今回、こう言う変なレビュー書かせて頂いた訳ですね。
―――はぁ?レビューを書いてまで、なに言ってんだこいつは?っと思われた不思議に思われた、そこの貴方。
論より証拠。
折角、こんなおかしなレビューを最後まで付き合って下さったんですから、その勢いで、この作品を読んでみて下さい。
そこには、貴方が知らない世界が開いている筈ですから、絶対に損はさせませんよ(*'ω'*)
【オマケ話】
あぁいや、これはホント、オマケ的な話なんですがね。
作者である『さらす様』が、章ごとに綺麗に話を纏められているので、1章節ごとに読むと凄く臨場感がありますよ。
私自身、此処4日程、①章節ごとに楽しんで読ませて頂いて、最新章まで辿り着いているのですが、最新章を「今」読むか悩んでるぐらいなので。
(めっちゃ読みいたいんですけど、一気に読みたいと言う欲求が・・・・・・(笑))
第一部読了時点でのレビューです。
本作は第一話から独特の世界観が展開され、その中でも主人公である柏さんの狂気的な言動が目を引くかと思います。
しかしながら、それは本作の世界に踏み込むための一つ目のフックに過ぎません。
読み進めていくうち、柏さんを初めとした狂気的な言動、思想を持つ人物達の輪郭が明確になっていきます。
あるときは常識的な思考と行動を持つ人物との関わりによって、またあるときはやはり同じような狂気を抱える人物との邂逅によって。柏さんが持つ狂気の輪郭がより色濃く浮かび上がっていくのです。
そしてなにより、その狂気の輪郭が明確になるにつれて読者が把握できる「正気と狂気の境界線」の描き方が非常に秀逸です。
たとえどんなに狂気的な言動や行動を繰り返そうと、ただそれだけが連続すればやがて慣れ、狂気も平凡な思考に堕してしまいます。
しかし本作では、狂気と対になるように正気的な世界観、思考、行動も丁寧に描くことで、正気と狂気、その双方を際立たせることに成功しています。
私はその点こそが本作の最大の魅力なのではないかと感じました。
ぜひ皆さんも、まるで細い一本の綱の上を渡るような狂気と正気の狭間の世界を体験してみてはいかがでしょうか。
お勧めです。
このレビューにはネタバレがあります。
狂気と言ったら皆さんはどんなものを思い浮かべるだろうか……。嘲笑いながら人を殺して楽しみ人、あるいは絶望的状況に陥れられても笑っていられる人か。
サイコパスには人を惹きつける能力があると言われますが、この小説のヒロインはまさにそれに当てはまるでしょう。
暴かずとも剥き出しになった【狂気】、そしてそれに影響され、深淵から浮かび上がってきた別の【狂気】、この小説はそんな【狂気】たちが織りなす物語と言っても過言ではないだろう。
常人に理解しがたい世界をあなたも是非体感して欲しいサスペンスです。
余談ではありますが、この小説のおかげで改めてサイコパスがなんたるかを再認識できました……。
本物のサイコパスは魅力的で衝動的であることを。
伏線らしきものが匂わされるのだが、本質はもっと深く『やばい』ものが横たわっていると気付かされる。
最初は主人公と思しき少年の名前がタイトルに含まれない意味も、ある程度読むと判明していくが、美しい少女の狂気としか見えない願望と言動には、読み進むと納得しかない動機がしっかりと存在している。
そして、「つまりどういう事なのだ?」と思い出したら最後、最新話迄ページを進めさせてしまう筆力もお見事。サスペンスであり、ヒューマンドラマだが、心理描写は群像劇と言ってよいほどに書き分けもされている。
読んで損はない、むしろ読まないと損する気鋭のサスペンスである。ぜひおすすめ!
このレビューにはネタバレがあります。
たった1人の女の子が持つ、狂気的な願望が周囲の人間を狂わせていくサイコ・サスペンス。
『狩られたがっている女の子』柏恵美がその願望の思うがままに、『彼』に殺されるため行動する度に、どこにでもいるような普通の人間ですら狂っていく様は恐ろしい。
例えるのなら、凶悪な感染症ウィルスのようなヒロインだ。
その狂気にスポットライトを当て続けるこの作品は、ある程度読み進めるまで『普通の思考』では理解し難いかもしれない。
だが、彼女の狂気を理解してしまった時、その指は次の話を読むのを止めることが出来なくなるだろう。
万人にオススメ出来るとは言えない作品だが、我こそが『狂っている』――或いは、『間違いなく健常だ』と自負する者が居るのなら、是非とも読んでもらいたい。
――もっとも、読み終えた後もその思考を保っていられるかは保証しかねるが。
続きが非常に楽しみであり、同時にこのまま狂気を加速させていくことが出来るのか想像もつかない作品である。
このレビューにはネタバレがあります。