初朱えいちさんの作品レビュー

初朱えいち
初朱えいち 投稿日:9月13日 更新日:9月13日

たった1人の女の子が持つ、狂気的な願望が周囲の人間を狂わせていくサイコ・サスペンス。

『狩られたがっている女の子』柏恵美がその願望の思うがままに、『彼』に殺されるため行動する度に、どこにでもいるような普通の人間ですら狂っていく様は恐ろしい。

例えるのなら、凶悪な感染症ウィルスのようなヒロインだ。

その狂気にスポットライトを当て続けるこの作品は、ある程度読み進めるまで『普通の思考』では理解し難いかもしれない。

だが、彼女の狂気を理解してしまった時、その指は次の話を読むのを止めることが出来なくなるだろう。

万人にオススメ出来るとは言えない作品だが、我こそが『狂っている』――或いは、『間違いなく健常だ』と自負する者が居るのなら、是非とも読んでもらいたい。

――もっとも、読み終えた後もその思考を保っていられるかは保証しかねるが。

 

続きが非常に楽しみであり、同時にこのまま狂気を加速させていくことが出来るのか想像もつかない作品である。

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