数日後。8月中旬、某日──夜。
今夜は4人で夏祭りに行く約束。
立花 咲也は岩永 常磐と男子2人で公園まで歩いてきて、その入口に名雪 六花・月影 小兎子の女子2人の姿を見つけ、大きく手を振りながら声をかけた。
「六花! 小兎子!」
「リッカくん! 岩永くんも、こんばんは」
「オッス。咲也、岩永」
「ああ、こんばんは。名雪、月影」
自分と常磐で、自分だけ女子2人とお互いの呼びかたが以前と変わっていることが今の会話に現れていて、咲也は照れくさくも嬉しかった。
夜空の下、地上は屋台の灯りで明るい。見慣れた公園に普段はない屋台が並んで、辺りには良い匂いが漂っていて、大勢の人で賑わっている非日常感にワクワクする。
人々の格好は、洋装と和装が半々。
咲也たち4人は和装のほうだった。
咲也は緑色の〔甚平〕。
上は半袖・腰丈の羽織で、それ自体についた紐で前を合わせるので腰帯はない。下は上と同じ生地の半ズボン。履物は特に和にこだわらず運動靴。
常磐は黒い〔浴衣〕。
裾が踝まである着物で、腰に角帯を巻いている。これで帯に日本刀でも差していたら時代劇の着流しの浪人に見える。足には雪駄(和風サンダル)。
六花は青い〔浴衣〕。
裾が踝まである着物なのは男性用と同じ。腰には男性用より華やかな、白い半幅帯を巻いている。足には女性用の下駄。
加えて目を引いたのは髪型。いつもは下ろしている長い黒髪を後頭部でお団子にして、雪の結晶型の飾りのついた簪を挿している。
小兎子は黄色い〔法被〕。
上は背に大きく〔祭〕と書かれた半袖・腰丈の羽織で、甚平と違って帯で締めている。下は短いスパッツだけ。履物は運動靴。
茶色い短髪はいつも後ろ髪を残して左右でまとめるツーサイドアップなところ、後ろ髪ごと左右でまとめるピッグテールに。
個性がよく出ていた。
甚平と浴衣は男性のお祭り衣装の定番。
甚平は子供っぽく、浴衣は大人っぽい。
と言われている。
実際、小学5年生なのに背も顔つきももう中学生のような常磐に浴衣は似合っている。風流で落ちついた、大人びたイメージを引きたてている。
一方、甚平は下が半ズボンだから子供っぽく見えるのだろう。似合っていればかわいくはなっても格好よくはならない。
咲也もそれは理解していたし、好きな子の前では格好つけたい気持ちもあったが、小柄な自分では浴衣を着ても大人っぽくならないので、背伸びせず甚平にした。
一方、その咲也の好きな女子2人の姿。
浴衣も法被も女性のお祭り衣装の定番。
六花の浴衣はおしとやかな彼女によく似合う。簪の飾りの雪の結晶は彼女そのもの──〔六花〕とはその結晶が六角形なための、雪の異称。いずれも彼女本来の魅力をいや増している。
小兎子の法被は祭りで太鼓を叩いたり神輿を担いだりする人が着るもののため動きやすく、活発な小兎子によく似合っている。開いた胸元と、スパッツから伸びる生足が眩しい。
それに、2人とも。
今夜のいつもと違う髪型では、うなじが見えていた。いつもは見えない背中側の首筋、髪の生え際。なんだか色っぽく見える。
(2人とも最高……ッ!)
咲也は恋人(ではないけど両想い)の2人の、いつもとはまた違う魅力にメロメロになって、その美を称える言葉を探したが、頭がボーッとしてなにも浮かばず、仕方なく率直に褒めた。
「2人ともカワイイ」
「えへへ」「そう?」
六花は素直に嬉しそうに口許を緩めたし、小兎子も素っ気ない振りをして本当はまんざらでもないという顔。そして、お返しのように六花が言った。
「リッカくんもカワイイ♪」
「か……」
「あっ! ごめんなさい、男の子は『カワイイ』って言われても嬉しくない、よね……?」
「ううん、悪い意味じゃないの分かってるし。六花がこの格好、好意的に思ってくれるなら嬉しいよ。『ガキっぽくてダサい』って嫌がられないか心配だったし」
「リッカくん、イザって時はすっごく、かっこいいから。普段はかっこつけなくて、大人っぽくなくていい。かわいくていいの、かわいいのがいいの……!」
「そ、そう?」
性差による感覚の違いのせいか、なにがそこまで『いい』のか咲也には分からないが六花がそう言うならと思っていたところ、小兎子が呆れた声で言った。
「ショタコンなのよ、この子」
「リッカくんは同い年だよ!」
そういう嗜好か。
「僕は気にしないよ、六花が喜んでくれるなら」
「ありがとうございます! ショタコンです!」
本人の許しを得ると、六花は一転して白状した。咲也は自分の低身長や女顔をそこまで気に病んではいないので、そこに魅力を感じられて悪い気はしない。
むしろ心が軽くなった。咲也も六花には二次性徴による変化が微かな今のままでいてほしいので。六花は同い年なのでロリコンにはならないが。
それに発育のいい小兎子には、そのまま発育してもらいたいと思っている。ストライクゾーンが広いのだ、専門ではな──
「咲也、やらしーこと考えてない?」
「小兎子⁉ ……はい、考えてます」
「って正直すぎ!」
「どう答えれば⁉ 小兎子に嘘はつけないよ!」
「いや、いいけど。ならアタシのこの服、本当はどう思った? 『 カワイイ 』ってだけ?」
「えっちで素敵だと思いました」
「……で、でしょ? ふふーん」
小兎子は自分で言わせておいて照れていた。こういうところもカワイイが、そんな小兎子を横目でにらんだ六花が『エロ女』とつぶやく。怖い。
などとしていると。常磐が溜息をついた。
「公共の場でする話か?」
「「「ごめんなさい」」」
「屋台、行こうぜ」
「「「は~い」」」
祭りで賑わう雑踏を歩く。数年前の2019年に発生した致死率の高い新型コロナウイルス感染症COVID-19が世界に蔓延し、感染防止で人の密集がさけられていた頃なら非常識な光景。
無事に収束してよかった。
平和な喧噪の中、4人がまず向かった屋台はドネルケバブ屋。店頭で、無数の牛肉の薄切りを円柱のように積んだ塊が、1本の串に貫かれて垂直に立てられ、豪快に炙られている。
香ばしい、いい匂い。
注文があると店主がその炙った肉塊の表面をナイフで削いで、ピタ(薄いパン)に野菜と一緒に包み、注文された味のソースをかけて渡している。4人の注文は──
六花はヨーグルトソース。
小兎子はチリソース。
咲也と常磐はヨーグルトソース&チリソースのミックス。品を受けとり、歩きながら食べつつ。六花と小兎子から物言いたげな視線を浴びて、咲也は弁解した。
「いや、2人のあいだを取ったわけじゃ」
「「ふ~ん?」」
好きな子2人と同じものを注文しようとして、2人のあいだで注文が割れたので、その両方のミックスを頼んだ──かのような形になってしまった。
本当に違うのに。
「俺たちが生まれる前に放送されたロボットアニメで、主人公がこのミックス味のドネルケバブを食べるシーンがあるんだ。俺もリッカも、それでこれを食べたくなった──だろ? リッカ」
「そう、それ!」
さすがは常磐、自分とほとんど同じ作品を見ているだけあり、示しあわせたわけでもないのに同じことを考えて注文していた。六花と小兎子の顔から疑いが消える。
「そうなんだ! そういえば岩永くんも食べてるね」
「岩永にはアタシたちに合わせる理由、ないもんね」
「……そういうことだ」
疲れた表情でそう言った常磐に咲也は小声で『サンキュー』と礼を言ってから、六花と小兎子のほうに向きなおった。
「分かってもらえた?」
「疑ってごめんなさい、リッカくん」
「ごめん、咲也」
「怒ってないから、シュンとしないで」
「「ありがとう」」
2人が笑顔に戻ってくれて咲也はホッとした。疑われた原因は二股をかけている自分にある。2人ともを真剣に愛していても、そこは変わらない。自分のせいで2人の笑顔を曇らせたくない。
「そのアニメ、題名は?」
「あ、アタシも知りたい」
気を取りなおすように訊いてきた六花と小兎子に、咲也がその題名を告げると、2人とも『試しに少し見てみる』と言った。
それでいい。
合う合わないは人それぞれ、合わなかったら無理に全部を見る必要なんてない。2人がこうして自分に合うロボット作品を探すようになってくれただけで咲也は嬉しかった。
元々はロボットに興味のなかった2人だが、林間学校の日から積極的に知ろうとする姿勢になってくれている。
最初は自分と常磐、ロボットオタク2人を理解するためと半ば義務感からだったが、ロボット島園での体験を経て、2人自身もアークのみならずロボット全般に興味を持ち始めている。
出会った頃には考えられなかった。
自分も、常磐も、趣味のロボットを興味ない相手に押しつけはしない主義だが、向こうが求めてくれるのなら大歓迎だ。いずれ2人ともロボット談義に花咲かせられる日が来るかも。
(そうなるといいな)
¶
それからも4人で屋台を巡って楽しんだ。
各自アイスキャンディーを購入。六花と小兎子がそれを舐める姿を見て咲也はまた卑猥な想像をして、即座に考えていることが本人たちにバレて赤面した。
空気銃で撃ったコルク栓を当てて倒した景品をもらえる射的に4人で挑み、初めに常磐の弾が当たったのに景品が倒れなかったのを見て、全員でそこに攻撃を集中してなんとか取れた。
ビスケットの小さな箱1つ。
当然、4人分の射的の代金より普通に買ったほうが安くついたが、4人で射的を楽しんだ時間にお金を払ったと思えば。4人で分けあったビスケットの味は、いつもより美味しく感じた。
六花が魔法少女のお面を買った。
小兎子がスーパーボールをすくった。
そして咲也はトイレのために一時3人から離れて、戻る途中に1人で買いものをして。3人の所に戻ったところで、横から声をかけられた。
「よぉ立花、岩永」
「六花と小兎子も」
「「うぇーい♪」」
こちらと同じく、男女2名ずつの4人組。同じ小学校の、同じ5年生の同期生たち。男子の片方が冷やかすように言った。
「おまえらもダブルデートか?」
(は?)
咲也はキレかけて、抑えた。
ダブルデート、それは2組のカップルが一緒に行うデート! つまり六花と小兎子のどちらか(多分、小兎子)が咲也ではなく常磐とカップルだと見なされた。
ふざけるな、どちらも自分の恋人(未満、友達以上)だ──と咲也は立腹したが、それは言えない。自分たちの関係は常磐以外には秘密と、六花・小兎子との会議でも決めた。
その非常識さを外野にとやかく言われるのをさけるためにと。だがこういう時どうすればいいか分からず、咲也が反応できずにいると、小兎子がズイッと前に出た。
「そんなとこよ。だから邪魔しないで?」
「ひゅーひゅー♪」「お熱いね!」
「お邪魔虫は退散するね」「じゃーねー♪」
その4人はあっけなく去った。
常磐が小兎子に小声で言った。
「よかったのか? あいつら、おそらく学校の他の連中の多くもだが、俺とお前がカップルだと思ってるぞ」
そう。
7月7日に咲也が劇的に2度も六花を助けて、その六花が咲也を教室まで訪ねて、それから交流を始めた咲也と六花にはすでに交際しているという噂が立っている。
そして噂は独り歩きして、その2人といつも一緒にいる常磐と小兎子も交際していることになっている。小兎子のことも好きな咲也としては極めて不愉快だが──
小兎子は肩をすくめた。
「あー。1学期からそう見られてるわよね。アタシたちの実態を知られても面倒だし、そう思われてたほうが好都合でしょ……あ、岩永には迷惑?」
「いいや。お前がいいなら俺もいい。この4人の中でだけ真実を共有していれば、他人にどう思われようと構わん」
「アリガト♪」
それからまた屋台を回り……時計の針が回って、もう遅いので帰ろうとなった時。常磐が『1人で帰る』と言いだした。
「リッカ、2人を家まで送ってやれ」
「あ、うん! ありがとう、トキワ」
「ああ、じゃあな」
あとは3人で過ごせという、この気配り。なんていいヤツだ。常磐が小兎子と噂になって不快に思っている自分とは器が違う。咲也は己を恥じつつ、親友を誇りに思った。
「うん、また明日」
「またね、岩永くん」
「バイバイ、岩永」
常磐の渋い背中を見送って、咲也は左に六花、右に小兎子と、2人に挟まれて夜道を歩いた。本当は手を繋ぐくらいしたいが、誰に見られるか分からないので自重する。
歩きながら2人と他愛のない話をしているあいだ、咲也は胸が高鳴っていくのを感じた。どんどん大きくなっていく。ときめきだけではない、この先のことに緊張している。
そして住宅街、2人どちらの家もこの近くという所まで来て、咲也は辺りに人がいないことを確かめ、立ちどまった。
「2人とも、ちょっといい?」
「「え?」」
怪訝な顔で足をとめた六花と小兎子に、咲也はさっきこっそり1人で買った……3つの指輪を取りだして見せた。雪、月、花──それぞれに異なる飾りのついた、指輪を。
「「っ」」
2人の顔に緊張が走った。指輪は、たとえそれがオモチャでも結婚指輪を連想させる。意図は正しく伝わったようだ。
咲也は花をかたどった飾りがついたものを自分の左手の薬指にはめ、雪の結晶をかたどった飾りがついたものを六花へ、三日月型の飾りがついたものを小兎子へ、それぞれ差しだした。
「リッカくん……」
「咲也……」
「今は、こんなのしか。だけど大人になったら本物の結婚指輪を贈りたい……っていう、僕の気持ち。受けとって、くれるかな」
2人はじっと、こちらを見つめて。
やがて……コクン、と頷いた。
そして柔らかく、微笑んでくれた。
「嬉しい。小兎子と2人でお嫁さんになる気はないけど」
「アタシも。どっちにしろ日本で重婚はできないけどね」
「カハッ……!」
指輪は受けとってくれても二股はダメか。仕方ない、延長戦は始まったばかりだ。2人の気持ちを変えられるよう、これからも努力しよう。
そんなことを考えて黙りこくった自分が落ちこんでいるように見えて心配してくれたのか、六花と小兎子の声が優しくなった。
「水差しちゃってごめんね?」
「嬉しいのはホントだから!」
「そっか、よかった」
「えっと……そうだ! その指輪、リッカくんの手ではめて? もちろん、左手の薬指に♡」
「アタシの左手の薬指にも。六花のと同時にはめなさいよ、そうしないと揉めるでしょ?」
「っ……うん‼」
指輪を贈っておいて、そんな一部とはいえ結婚式のマネをする展開になるとは予想しておらず、咲也はまた心拍数が上がった。
深呼吸して、気合いを入れる。
咲也は左手で雪の指輪をつまみ、右手で月の指輪をつまみ……それぞれを左右にいる2人の左手の薬指へと近づけて……そして六花には雪の指輪を、小兎子には月の指輪を、同時にはめた。
「「~っ!」」
2人は顔を真っ赤にした。でも嬉しそうに口許が緩んでいて、それを見れただけで咲也は幸せだった。すると2人が顔を近づけてきて──
「「大好き」」
ちゅっ──と。咲也は左右の頬に、六花と小兎子に同時にキスされた。破裂しそうに脈打っていた心臓が、今度はとまったかと思った。
初めてのキス。
3人で決めた規約により唇にはできないので、頬にだったが。熱く、湿った感触がずっと頬に残っていて、じ~んとする。
「リッカくん?」
「ぼーっとしてないで、アンタからもしなさいよ」
「あ、うん! じゃあ、六花から……大好きだよ」
ちゅっ
「えへへへへ……」
「小兎子、大好き」
ちゅっ
「ふーん。六花が先でアタシは2番なんだ」
「いやそれは! ほんの少し、本当にほんの少しだったけど六花のほうを先に好きになったから、その順を元に、ね⁉ どちらも同じくらい好きだから、好感度順じゃないから!」
「あーもー分かったから、イジワル言って悪かったわよ……まだ感触、残ってる。胸も、ドキドキして……悪くないわね、これ。ほっぺたになら、これからもいっぱいしよ?」
「う……うん!」
「リッカくん!」
「もちろん、六花とも」
「うん♪」
「「「……ぷっ」」」
3人同時に吹きだして、しばらく体を震わせて笑った。全く、なんて会話をしているのか。我がことながら可笑しい。
自分の願いどおり2人ともと恋人になって、ずっと3人一緒にいられる未来は、まだ確定していないけど。少なくとも今、この瞬間は。3人で幸せな時間を共有している。
この一瞬を、永遠にしてみせる。
咲也はそう、花の指輪に誓った。
¶
その翌日。
常陸グループが正式に、彼らが手がけるロボットテーマパーク【ロボット島園】の存在を公表し、その開園が間近であることを告知した。
そこで観られる新たなモータースポーツ【機甲道】に使われるマシン、全高3.8mの搭乗式人型ロボット【アーク】の存在もまた明らかにされ、世界は騒然となった。
〔搭乗式巨大人型ロボット〕
元は空想の産物であり、これまでも様々な団体が開発を行ってきたが。ここまでしっかり戦える、ロボットアニメの中の本物と言っても通るほどの性能を備えた例は、世界初だったから。
アギャァァァ‼
世界中のロボット好きが狂喜乱舞した。
そして8月下旬、ロボット島園が開園。
初日から日本はおろか世界中から客が押しよせた。チケットは完全予約制で予約開始直後に売りきれて、入手できなかった咲也たちはその熱狂ぶりを動画配信で眺めた。
画面越しにも、歴史が動いたのを感じた。
ロボット島園には当面のあいだ行けそうになかったが、そこの目玉商品はロボット島園でなくても楽しめる。
アークによる模擬戦競技【機甲道】は日本全国のスタジアムやサーキットで開催されることになった。
アークとは操縦方法の基礎を共有する、ロボット型ゴーカート【ロボット・カート】も全国の遊園地などにあるゴーカート場で乗れるように。
そして。
アークのコクピットを模した大型の筐体で、実機と全く同じ操縦方法でアークを駆って戦うアーケードロボット操縦ゲーム【機甲遊戯アーカディアン】も全国のゲームセンターに設置。
その、稼働開始の日──
咲也たちはアーカディアンが置かれた近所のゲームセンターにやって来た。ここも、やはり凄い人だかりになっている。
4人の内、宇宙飛行士を目指す小兎子をのぞき、咲也・常磐・六花の3人はアーカディアンでアークの操縦技術を磨いて機甲道のプロを目指す(六花がその話をした時は言わなかったが常磐も当然そうだった)。
今後、自衛隊がアークを導入すれば、自衛隊のアーク操縦士に転向するのも視野に入れて。
どちらにせよ相当の腕が要る。
そこまでの実力者になれる保証などない。だが、この生きかたしかないと心に決めた3人は『やるしかない』と闘志を燃やしていた。常磐と六花と頷きあって、咲也は拳を振りあげ宣言した。
「僕たちの戦いは、これからだ‼」
「リッカ、打ちきりみたく言うな⁉」
「おーっ♪」
「アタシも一応、おーっ♪」
読み終わったら、ポイントを付けましょう!