厳正なる最終選考の末、6作品が受賞となりました。
大賞受賞作品はコミカライズに向けて準備を進めてまいります。
金賞の2作についてもこれからコミカライズの検討に入ります。
純文学っぽさがあり、他応募作品とは毛色が異なるため選考に非常に時間がかかりました。
主人公であるメアリ以外でも、ケンやフォッグ二世、教授ら個々の個性と不気味さがたまらなく良い。
そして彼らや彼らの思惑に翻弄されるメアリとウィリアムの関係性もドラマティックです。
まだ読者もメアリも気付いてない仕掛けがあるのでは!と、その世界観に読み入ってしまいます。
服飾・建築・小物など様々な描写からもヴィクトリア朝時代について著者の知見が深い(あるいは調査を徹底している)という点が良く伝わります。
第三章までで目立つメアリの繊細な心情描写や、彼女の感じ取る声の色に関連するウィリアムをはじめとする周りの人間の性格や思惑が美しく幻想的な印象を受ける。さらに今後、戦闘要素・スチームパンク要素が増えてくるという予感が随所にあり、コミカライズという観点でみても、戦闘シーンや前述の「声の色」「当時の風景・小物」は非常に絵映えすると感じました。
大きく取り挙げる欠点もなく、圧倒的に面白い、大賞にふさわしい作品です!
今作は、本コンテストに応募いただいた作品の中でも、会話劇のリズムの良さが随一であることが目を引きました。かつては人気のあった純文学作家(ヒロイン)とその担当編集者(主人公)のセリフの応酬は読んでいてクスっとさせられます。また、第1話を読むだけで、主人公とヒロインの関係性がわかりやすく把握できる点を高く評価させていただきました。前述したツーマンセルの関係を常に意識しながら、次々と出てくる個性的なキャラクターや事件を受け入れることができるので、作品への没入度も自ずと高くなります。
業界の当事者として見ると、少々話運びがご都合主義な点がボトルネックではありますが、すべてが高い水準でまとめられている作品と判断し、選出させていただきました。
本作で一番評価をした点は、文章の読みやすさ、理解のしやすさです。徹頭徹尾、細やかに世界や人物の事象・心象をまわりくどくなることなく説明することに成功しています。どんなに斬新で魅力的なキャラクターが登場する作品でも、キャラクターを含め背景世界などの描写・表現が拙いと、その魅力は読者には伝わりません。本作はその点において安定力が抜きん出ていました。そして前述したことは、物語の可視化のしやすさにも繋がります。
また、主人公マーズの転生の思惑や魔法の新旧カテゴリー分けの設定がユニークであり、読んでいてワクワクします(表現力の高さがこれらを後押ししていますね)。これらのことから、本作は本コンテストにおける評価基準を高い完成度でクリアしていると判断し、金賞に選出させていただきました。
借金を背負った町娘が「クエスト受付所」と出会い、そこで働き始める中で様々な出来事に巻き込まれていく話。
ありきたりな世界観設定にもかかわらずついつい引き込まれて読んでしまうのは、やはりキャラ造形が優れているからだと思います。個性の強さだけで押し切ろうとすると何となく「薄っぺらい」という印象を受けてしまいがちですが、本作のキャラクターには息づかいや深みがきちんと感じられるほか、くどくなりすぎないようにうまくコントロールができていると思います。
乙女ゲーム転生モノ。割とやり尽くされている題材ではありますが、主人公がとにかく死んだり殺されたり、自分を殺してきた相手が攻略対象として設定されていたりと、置かれている状況はかなりのハードモード……という設定に目を惹かれました。ありふれた題材も組み合わせ次第で新鮮なものになるよい例と思えます。
死に戻りを利用して自らの死の謎を解き明かしていくという構成にはミステリっぽい雰囲気を感じましたが、きちんと攻略対象者である男性キャラの心情にもフォーカスしており、乙女ゲー転生という設定も形骸化させずに生かせていました。
シリアス一辺倒になりそうな話の流れをテンポ感のある筆致で読みやすくさせているという点も評価いたしました。読者の性別を問わず読ませてくれる作品だと思います。
女性版伊達政宗という設定で、コメディに振るのか史実に忠実にいくのかと気になったところであるが、非常にバランスよく感じた。
「政宗様」を中心に繰り広げられるドタバタ歴史コメディも面白く、合戦シーンでの表現力の深さには目を見張るものがあった。筆の力はかなり高いと驚きました。
ノベリズム大賞に多数のご応募ありがとうございました。
全体的に応募作のレベルが想像以上に高い印象を受けました。同じジャンルの中では甲乙付けることも何とかできますが、今回はたくさんの異なるジャンルから同等にレベルの高い作品の応募をいただき、編集部の選考もかなり難航いたしました。
最終的に入賞した作品の選出理由は、選評に書いた通りでございます。
ここで残念ながら入賞を逃した作品についてもいくつか言及させていただきます。
ライトノベルの題材で人気のある「戦記もの」。本作は、中国の春秋戦国時代に実在した名将中の名将・楽毅(がくき)を主人公とした中華戦記ファンタジーです。文章力やキャラクターの作り込みはもちろん、各話の読後感が非常に良い点を評価しております。総じて完成度がずば抜けて高いです。
架空欧州を舞台で交錯するアーシェをはじめとするシユウという異能力者たち。
数多くのキャラクターが登場しますが、読んでいてややこしくならない様うまく出し入れをコントロールしているように思えます。
作品独自の用語も多いが、第1話から分かるように物語に組み込むことで、説明くさくならないのも良かった。
以上、入賞作品につきましては、ノベリズム上にて契約作品化への準備を進めます(既に契約作品となっているものは含まれません。また、契約作品化は著者様とのお話し合いを経て、双方合意のうえ進めるものとします)。
また、惜しくも受賞に至らなかった選考作品の中には、契約作品化に値するレベルの高いものが幾つか見られました。前述した作品につきましては、ノベリズム運営スタッフ間で協議をしたうえ、各著者様にお声掛けする予定でございます。
なお、次のコンテストも現在計画中でございます。こちらもご期待ください。
それでは、今後ともノベリズムをよろしくお願いいたします。
Novelism大賞にたくさんのご応募をいただきありがとうございました。
Novelismは2020年9月1日にローンチをしたまだ新しいWEB投稿小説サイトですが、予想を超える数をご応募いただき誠に感謝しております。
力作ぞろいの中から厳正な審査を経て、49作品が一次選考を通過したことをお知らせいたします。
本大賞はコミカライズを前提にしたコンテストでしたが、純粋に文学作品として読みごたえのある作品も多くお寄せいただきました。編集部一同で「可視化されたら面白そうな作品」はもちろんとして、「契約作品」としても当サイトにて十分に機能する作品を選出しております。
ジャンルについては、異世界もの以外にも現代劇、時代小説、ホラー系の作品など、多岐にわたっており、幅広い層からご支持をいただける実力を伴った作品が多いという印象でした。
一次選考を通過した良作の中からさらなる選考を経て、大賞・金賞・銀賞を選出してまいります。
結果発表まで今しばらくお待ちくださいますようお願い申し上げます。
一次選考通過作品は、以下の49作品となります。
※順不同、敬称略