◆ ◆ ◆
次の部屋では、ユウが身分証明を出して、受付に確認してもらっている最中だった。
「あら、このパソカ、不備があるわ。性別が入っていない」
「あー……それは……」
ユウは言いにくそうにカードを返してもらう。
「どのライセンスにも言えることだけど、パソカに不備があると登録ができないの。魔法士ライセンスの登録は一旦保留にしておくから、先に不備を修正してもらってきてね。すぐそこにエレベーターがあるから、一階の住民課に行ってみて」
そう言われて登録はしてもらえなかった。
「なんやあ、急いで修正に行こ、ユウどん!」
しかし、ユウは俯いている。
「どした?」
「あの、さ……あー……えーと、どうしてもやらなきゃダメ……だよね」
歯切れの悪い言葉に、みっちゃんは不思議そうな顔をする。
「なんや、なんかあるんか?」
ユウは俯いたままだ。言いたくないのか言えないのか。
その理由は皆目検討もつかないが、ライセンス登録するには、この不備を何とかしなければならない。
「うーん……そねぇなら、言の葉屋に行ってみっぺか」
「コトノハヤ?」
「おう! 一旦役所を出よう!」
みっちゃんに判断を委ねて、ユウはついていくことにした。
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