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まめたんくっ! 神も悪魔も、彼を襲わずにはいられない

イラスト:ふみり
公開日時:2021年4月22日(木) 20:52更新日時:2021年5月17日(月) 22:20
話数:40文字数:115,562
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あらすじ

『剣は捨てても盾は捨てるな』

 

未だ人類と魔族の戦いが各地で続く混沌の時代。

 

先祖代々受け継いだ言葉を胸に、立派なタンクとなるべく旅立った十三歳の少年――アルルン・ツインシールド。

彼は一族から受け継いだ効果範囲無限・完全ターゲット固定の伝説のヘイトスキル「全挑発」を武器に、運良く出会った勇者レオス率いる魔王討伐パーティーへと加入する。

 

しかし――――。

 

「いくらヘイトを稼げても、それを維持できないタンクに用はない」

 

アルルンは旅の途中、勇者レオスから直々にパーティー追放を告げられる。

その理由は、タンクとしてはあまりにも貧弱なアルルンの肉体。

 

身長百二十センチと少し。体重も三十キロに満たないアルルンは、タンクはおろか冒険者としても小さすぎたのだ。

 

「お願いしますっ! 今はまだ小さいけど、いつか必ず大きくなって勇者様の力になりますからっ!」

 

「アルルン……君は仲間の命を守るタンクとして、最も大切なことを何も理解していない」

 

大粒の涙を零しながら自分をパーティーに残して欲しいと懇願するアルルン。

しかし過酷な戦いを続ける勇者レオスの決意は固く、アルルンは一人その場に残された。

 

こうして、その体の小ささを理由にパーティーから追放されたアルルン。

しかし彼はくじけなかった。

 

「待ってて下さいレオスさん! きっと立派なタンクになって、貴方のお力になってみせます!」

 

無慈悲に追放されたにも関わらず、アルルンは再び歩き出す。

再び勇者レオスの仲間として、彼の力になるために!

 

こうして、その大きな瞳に決意を宿し、アルルンは一人旅立つのであった――――。

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天城リョウ
天城リョウ 投稿日:4月26日 更新日:4月26日

多人数協力型ゲームにおいて高い防御力で味方の盾となる職業「タンク」の使う、敵の注意を自分へ引きつける能力「挑発」系スキル……でもそれって具体的にはどうやってるの? そんな素朴な疑問を突きつめて物語へと昇華し、作品世界上での明確な答えが用意さていたことに感銘を受けました。

 

 そこはスキル説明欄に書かれた、ゲームシステム上の効果と直接は関係ない、世界観に則った演出「フレーバーテキスト」に当たります。それは、その世界の住人にとっては、ありのままの現実。そこが説得力を持って描かれているこの作品を読むと、私たちが MMO や TRPG を遊ぶ時に魅了される「作品世界への没入感」を深く味わうことができます。

 

 その世界で生きている自分を、ありありと想像できるような。

 

 MMO や TRPG を遊んだことのある人なら、その経験から「あるある」と共感したり、新たな発見をして「なるほど」と感心したりして楽しめると思います。あなたがそうしたゲームでタンクを務める人でも、そうではなくても、タンクに対する見方が変わるかも知れません。もちろん様々の層の方々に読んでもらいたいですが、個人的には MMO や TRPG が好きな人たちに強くお勧めしたい一作です。

3人の読者がこれを役に立ったと思っています