cover
連載中 長編 異世界 / 恋愛

人魚は久遠を詠えない

公開日時:2020年10月13日(火) 23:56更新日時:2020年12月9日(水) 08:31
話数:20文字数:64,142
ページビュー
287
ポイント
348.3
ブックマーク
8
レビュー
0
作品評価
9.8
わたしの評価

あらすじ

――人魚は誓いを交わした人間に、航海の安全と永遠の命を約束する。

 

アルミリア国の辺境から一歩も出ることなく育ったアリオンは、ある日父の訃報を受け取った。

≪人魚≫であるアリオンを手に入れるため、海賊ディアギレフが海軍提督の父を殺したのだ。

 

あまりにくだらない、そんな理由でたった一人の家族である父を失ったアリオン。

絶望の中、少女はディアギレフに復讐を誓う。

 

世間知らずの少女は武器を手に、たったひとりで敵である男の海賊船≪海洋の秩序(オーシャン・オーダー)≫に乗り込んだ。

早々に正体を見破られるも、待っいたのは暴力的な支配ではなく予想外の歓待で。

 

そうして船で過ごしながらディアギレフの命を付け狙ううち、過去から続く男と自分の因縁にアリオンは気づいていく。

 

ディアギレフ、この男は自分の『何』だったのか。

 

≪――アリオンとディアギレフはずぅっと一緒にいるの≫

 

失われた過去の亡霊が自分の前に現われたとき、人魚はすべてを知り、思い出す。

優しかった父の裏の顔、どうして自分は船を降りることになったのか。

ディアギレフの言う、「俺の人魚」とはいったい誰を意味するのか。

 

幼い過ちの記憶と復讐に板挟みになりながら、少女が漕ぎだす「航海」の果ては。

 

「――俺が探していた人魚は、お前じゃない」

父を殺しアリオンからすべてを奪いながら、かつてと変わらず残酷なまま男は少女にそう言った――。