私はいつの間にか眠っていた。
二ズルが私の体で遊ぶことに満足したのか...
何も言わずに寝室を出て行った。
そのあと私は、閉じていた目を開けて付けっぱなしの灯りの方に身体を起こしカチッと音をさせ暗いベッドの上にまた..
バタン..と倒れ..そのまま考えること無く...
二ズルの所為でベトベトになったお腹のヘソを無視して眠りに着いた。
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16歳になる手前、私は2階の部屋から3階の部屋に移るよう二ズルに言われ、私は言われた通りにその部屋に移った。
その部屋は、2階の部屋より広く出入口から続く通路の先にバスルームが付いている豪華な(?)作りだ。
おまけに外にバルコニーまである。
これだったら気分転換にこのバルコニーに出て空を眺めたりくつろいだり出来るし、悪くはないと思っていた。
でも、なんでこんな部屋があるのに使っていなかったんだろう?
私は、その事を聞こうとした、でも...やめた。
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「...悪くねえだろ? ここもよ?」
セシリアの新しい部屋となるその3階寝室にやって来た二ズルは開口一番にそう言った。
「まあ..真っ新とはいかねえがな...もう使わなくなって結構経つな..お前が来る前に使ってた奴が居なくなってな?」
「...」
「..なあに、気にすんな? 臭いなんてしねえだろ?
シーツくらいは替えてあるよ...それくらいな。...なぁに気にすんな? 幽霊なんて出やしねぇ? ここに居た奴が勝手に居なくなっちまっただけだからな? この部屋でよ? ハハハまあ、お前のその姿には嫉妬はするかも知れんがな? ハハハハハハ」
ニズルの笑い声にセシリアは、何がそんなにおかしいのか分からなかった。ただ黙ったままニズルの立っている場所を見ていた。
でも二ズルはニズルで、そんなセシリアの顔を嬉しそう眺めている。
「..どうだ? 気分はいいか?」
この急な質問にセシリアは、目線を何処に向けていいのか分からず、しばらく黙ったあと..
「...別に..特にないよ」
..と答えるだけだった。
そのセシリアの声にニズルは更に笑みを浮かべ近づいて来る。
「そうかい...特に..ないか? うーん?」
そう言ったニズルは、セシリアの頬に手を遣りその肌を撫で始める。
「いい肌だ...本当に..いい肌だ」
何度も何度もセシリアの頬をシワシワになった手の平と甲で撫で、首筋に持って行ったあと下を向くセシリアの顎をその手で上げた。
「..あの男さえ居なけりゃよ...今頃お前は..俺の女にしてやってたところだがな?」
二ズルのもう片方の手がセシリアのスカートを捲ろうとした時、自然とセシリアはその場を離れようとした。しかしその去ろうとするセシリアの右腕を二ズルが強引に掴むと、痛みからセシリアは声を上げる。
「痛いよ! ..離してよ?」
「..け! この女...」
嫌がる彼女に二ズルは抱きつき、そのまま近くのベッドの上に押し倒す。セシリアは身体中をバタつかせ抵抗するも、二ズルはそんな彼女の胸元に自身の顔を擦りつける。
「や、やめてよ! 1回だけだ..って言ったでしょ?!」
セシリアが自分の胸元から二ズルの顔を引き離そうと両手に力を入れると二ズルは顔を上げ、そこから見えた彼女の顔に抑えの効かない性欲を見せるような形相で笑った。
「ケチな事を言うなよ? ..どうせ今夜にはあの男に処女を奪われるんだ..1回だろが2回だろが...一緒だ..構うもんか!」
身体を揺らし抵抗し続けるセシリアのスカートを強引に捲るニズル。それに対しセシリアは股を折り畳むようにして片膝をずらしたが二ズルはその片膝を力いっぱいに退かした。
するとセシリアの両足から力が抜けた。顔を横に向けて唇を震わす彼女は、次にどう逆らえばいいのか分から無かったからだ...。
開かれた股の間から白い下着が見えて、その両足の曲がり方が妙にだらしなく見え二ズルには、それが以上に性的なものに思え、生唾を飲み少し眺めてからそこに片手を置いた。
「...生暖かいな..お前はよ?」
その手に身体を一瞬震わすセシリアは、黙ったまま開けていた両目を閉じた。
二ズルがその下着をずらそうとした時、下の階から呼び鈴が鳴って人の声が届く。
「..け! なんて間の悪い野郎だ?! あと少し待てばいいもんを...」
二ズルはその間の悪い訪問者に声を上げるも、更に下の階から3階に届く程の大きな甲高い声で、この酒場の店主を呼び続けていた。
「分かったよ! 直ぐに下りるさ! ..全く...おいセシリア? お前は今日から新しい立場なんだからな..忘れんなよ? ..それと19時を回る頃にはシャワー浴びとけよ?」
ベッドのシーツに項垂れるように顔を横にして目元に右手で隠すセシリアに二ズルは言葉を置いて寝室から出て行った。
セシリアは、そのまましばらく動かなかった。
何も考えずに、そうしていた。
その寝室に響く針時計の音に気づきながら...
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19時を前に、言われていた通りにセシリアは、寝室にあるシャワー室で汗を流していた。蛇口からいっぱいに出るザーっという音にセシリアの鼻歌が交じっていた。軽やかな彼女の歌からは、とても穏やかな空気を感じさせ楽しそうであった。
これから何があるのだろう?
彼女は、そんな質問を持っているかのような態度でシャワー室を出る。
濡れた髪にタオルを巻いて少しばかりの水滴を垂らしながら全裸のままシャワー室にある洗面台の鏡でなく、寝室にある化粧台の鏡の前に座る。そこでもセシリアは鼻歌を歌いながら頭に巻いてあったタオルを手に取って、そのタオルで念入りに髪を拭いてから手ぐしで整え、髪を振った。
(何だろう?)
開けた窓から入って来た風に当たると、急に気持ちが外を気にして開けた窓の方へ歩き外を覗いた。
...そこで遠くに飛んで行く黒い1羽の鳥を見る。
セシリアは、そんな日が沈み明かりを失っていく空の中に見えた影に微笑んでから窓枠に肘を置いた。
下の階から酒場を訪れた客たちの騒ぎ声が聞こえるが、セシリアにとってはどうでも良かった。
ただその目の前の光景を眺めていたかったから...
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19時を過ぎ、軽い化粧を終えたセシリアは、染みのついた衣装棚の中から数着の内、考えてから1つを取り出して、鏡の前に立ち、それを着てから鏡を覗き見る。
鏡に写る自分は笑っていた..だが
この時には、もう外は暗くなって何も見えない。
20時を前にセシリアは、ベッドの上で落ち着いた表情をしてただその時間を待っていた。
溜め息をついて声を出して伸びをするセシリアの耳に下の階から上がって来る男の声がするのが分かった。
一人は二ズルで..もう一人は聞いた事の無い声。
重い足音だけが遠慮なく上がって来るのを感じると、
彼女は急に口の中が不味くなり、胃に違和感を覚えた。
「...大きな扉だったら..」
その足音に意味を求めない声を出した数秒後、遠慮なく寝室の扉が開かれ、自分を見て微笑む鎧を纏った大きな男が..ズシンズシンと音を立てて近づいて来る。
セシリアは、さっきまで夢中だった窓の方を見たが、その窓はもう閉じてあった。
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私は..私は......怖かったんだ私は。
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