いまから100年以上前に、この世界で起こった魔法戦争
アルダ・イディオル・カウト
("意志を確認する"という意味。
カウトとは"その為なら"という助動詞だが、捉え方によっては、
その為なら戦う意思がある
..という風に捉えることが出来る為に現在は使われていない)
この戦争の発端は、些細なものだった。
ありとあらゆる魔法が当たり前に飛び交った時代..
魔法が魔術師を生み、召喚師が魔法で魔獣なるものを呼び、魔法で魔法を封じる..魔法が武器であり、
魔法が力比べの対象だった時代...
その魔法を使っての領土権の争いや犯罪(または実験、危険行為、利用、隠滅等)は、
このエレス世紀史上で最も
"魔法が"
最悪だったであろう時代...
いまから103年前、
イルモニカ国とアルルダード国がまだ別々であった時代にそれは起こった。
イルモニカ国のある魔術師2人がアルルダードとイルモニカの国境沿いの森の中で妖精狩りをしていた時だ..
魔術師e「おい! お前は何匹目だ?」
魔術師h「俺か..えーっと..これで16匹目だ!」
魔術師e「ちっ! くそったれ..あの1匹さえ逃さなきゃ今頃は...」
魔術師h「けっ! 負け惜しみとは情けないぞ?
そういう時は、素直に俺を誉め称えるべきよ?」
魔術師e「..何を偉そうに? ...次は負けやしねぇ...
この辺に..あのちっこい野郎が逃げた筈だが...」
そんな妖精狩りを楽しんでいるイルモニカの魔術師等だったが、それに気づいたアルル・ダード側の魔導師がその2人を呼び止める。
a・d「おい! お前たち..
さっきからそこでいったい何をしている?」
魔術師h「..なんだぁ...お前は?」
a・d「..その身なりは...さては、お前たち..
イルモニカ国の魔術師だな?」
魔術師e「だから何だ? ここはイルモニカ国だぞ?
お前こそ、そんな格好して..
アルル・ダード側の魔導師だろ?」
a・d「ああ、そうだ...だが1つだけ違うな?」
魔術師h「はぁん?」
a・d「この付近の森は、イルモニカ国のものでなくアルル・ダード統治下のもので、つまり...この森にお前たちイルモニカ国側は、入っては行けないのだ?」
魔術師e「..何を言ってるんだ?
その国境から先がお前たちアルル・ダードのもんで、
こっちから先は俺たちイルモニカのもんだ?
だからこの森は俺たちのもんだ...分かったか? お前?」
a・d「いいや...分からん?」
魔術師h「..頭の悪い魔導師さんだ...じゃあ、いつからその統治下になったんだい? この森は?」
a・d「つい3週間前かな? ...国境付近で不法侵入者を発見..直ちに応援をたの..」
魔術師e「ふざけたこと言ってんじゃねぇや!」
a・d「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
アルル・ダードの魔導師がほんの一瞬、目を放し風の報せを唱えた時、イルモニカ国の魔術師の1人が炎の魔法を発動させるとアルル・ダードの魔導師の身体は、一瞬にして言葉もろとも炎に包まれ黒焦げになってしまった。
イルモニカ側の魔術師2人も、この起こしてしまった感情的な行為が何を意味するのか分かってはいた。
魔術師h「...おい..不味いぞ...こいつは?」
魔術師e「不味かねぇ..黒焦げになっちまっただけよ?」
魔術師h「..どうすんだい?」
魔術師e「どうすんだって..こうなりゃ1人も2人も..
一緒じゃ...どうだいお前さん?
くそったれのアルル・ダードの下っ端を狩らねえかい?
もういい加減に妖精狩りなんか飽きちまったし..新しい力試しってもん味わいたくなっちまったよ...」
魔術師h「...ふん...そいつぁ同感だ?」
この後、急に消えた風の報せに気がついていたアルル・ダード側の傭兵部隊の1人がアルル・ダードとイルモニカ国境付近の森の中で黒焦げになり、体の部分部分が切り取られバラバラになった死体を発見する。
これが魔法戦争の始まりの始まりで..
後に起こる..
"転生の悲劇"への序章である。
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