Robotech Touchdown 〜ロボテック タッチダウン〜

失った足を代替して頂点を目指す
芳川 見浪
芳川 見浪

Bye Bye Friend ⑥

公開日時: 2020年12月20日(日) 21:14
更新日時: 2020年12月30日(水) 23:58
文字数:1,436

「相談したいことがあるんだが」

 

 三日後の事、放課後になって健二からそのようなメッセージが届いたので急遽ファミレスに集まることとなった。

 呼ばれたのは宇佐美と武尊、ようはいつもの3人だ。

 

「突然の呼び出しで驚いたよ、どうしたの? お母さんは大丈夫?」

「おう、手術すれば大丈夫だってよ」

「ほんまか! 良かったやん!」

 

 これは朗報、これだけでも来たかいがあった。

 

「それで相談てなんなん?」

「あぁ、えとちょっと言いにくいんだけどさ」

「水臭いな、僕達の仲じゃん。遠慮なく言ってよ」

「せやせや」

「サンキュ、じゃあ言うけどさ、手術できる医者が東京にいるらしくてな、だから俺、母さんについて関東に行く事にした」

「あぁなるほど……」

 

 しばしの沈黙。

 そして。

 

「えっ!?」

「ほんまか!?」

 

 冷静に考えれば、執刀医が東京にいるのだから手術した後は東京の病院に入院しなければならない。

 それに家族が付き合うのは至極当然であろう。

 

「あぁ、俺一人ここに残ってもいいとは両親が言ってたんだけどさ」

「いや、家族はなるべく一緒にいた方がええと思うで」

「僕も同感」

「悪いな、そこで相談なんだが」

「ああそうだった」

 

 健二の引っ越す発言の衝撃が強くて元々の目的を忘れてしまっていた。

 

「相談てなんなん?」

「なんつーかまあ、俺がチームを抜ける事を九重に言うのを手伝ってほしい」

「はい? それくらいなら一人で言えばいいじゃん」

「いやお前めっちゃ言い辛いぞ! 考えてみろ、あと一人メンバーが加入したら結成できるこのタイミングで一人抜けるんだぞ」

「ん〜、そんな言い辛いか?」

「僕もわからないけど、健二がやりにくいなら手伝うよ」

「よし早速作戦だがな」

 

 こうしてこの日は健二の脱退表明作戦会議により丸々潰れる事となった。

 

 



 

 TAKE1 正面から堂々と。

 

「まずは普通に九重さんに伝えに行こう。今なら事務所に九重さん一人だからさ」

「よし」

 

 作戦会議をした翌日、インビクタスアムトの施設の片隅で三人は一昔前のヤンキーのようにうんこ座りでたむろしていた。

 最初の作戦はド直球に正面から、一人になった九重に伝える事だ。

 

「しゃあ! 一発で決めてくるぜ!」

 

 健二が事務所に入る。祭は正面のデスクで嫌いな書類作業に苦戦していた。

 こちらに気付いたのか、書類に落としていた目線を上げて健二を見る。

 

「あらどうしたの?」

「おう、実はよ」

「あ、そうそう聞きたいんだけど」

 

 祭は健二の言葉を遮って、机の引き出しからバインダーを取り出して目的の用紙を取り出した。

 用紙は二枚あり、いずれも設計図らしき写真が貼り付けられていた。

 

「これアリの改造プランなんだけど、片方は軽量化を図って機動力を上げるやつで、もう片方は逆に装甲を増して重量を上げるプランなんだけど、どっちがいい?」

 

 前者だと機動力の代償としてパワーを失うだろう、正面からぶつかり合えば基本的に重量の低い方が負ける。

 後者だと当たり負けはしないだろうが、その分機動力が落ちて対応が悪くなる。


「装甲を増して機動力を上げるプランはねぇのか?」

「今のところ無いわ」

「じゃあ装甲増し増しプランで」

「OK、メンバーもあと一人だし、一年でここまでこられたの凄いわよね」

「おうそうだな」

「そういえば健二は何か用があったの?」

「えっ!? ああ……えぇそのぉ、お、俺もアリの改造プランてなんかねえかなて相談に来たんだよな」

 

 退室。

 

「やあ健二くーん」

「ちょい話あんねんけどさぁ」

 

 事務所を出ると宇佐美と武尊が怖い顔して立ち塞がっていた。この後たっぷり二人から責められました。

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