「でも、ほんとに来るかな?」
「さあ、あの人のことはよくわからないから」
「鈴ちゃん、ちゃんと謝ってね?」
「なにを?」
「さっきの通話」
「謝る必要ないって」
「相手は一応先輩なんだから」
コンビニの駐車場で話をしていると、自転車に乗って彼が来た。
デニムパーカーにスウェットのズボン。
スニーカーにワイルドツーブロックの黒髪。
この場所で待ち合わせをしてた。
私たちが呼び出したんだ。
ある“事件”の解明のために、東高の生徒である高杉賢士という男を。
足は細かった。
長くて、凛とした背筋。
さすがサッカーをやってるだけあり、立ち姿がスリムで、ほどよく筋肉のついた男らしい体格をしてた。
悠人先輩と違って、ただ背が高いだけじゃなかった。
上から下まで清潔感があって、手入れが行き届いている。
別に悠人先輩が不潔って言ってるわけじゃないよ?
この場合で言う「清潔感」っていうのは、清涼感みたいなもの?かな。
ニキビはひとつもないし、スニーカーが汚れてないから、やけに小綺麗なフォルムをしてるなぁって印象。
ぱっと見の印象は、草食と肉食の間って感じ?
ガツガツした見た目じゃないけど、外の外気に触れ、日の光をちゃんと浴びてる健康的な肌の色。
おまけに3年だから、少し大人びて見える。
「…ほんとに会いに行くん?」
横山さんは私たちを見ながら、そう言った。
籾岡さんは彼に歩み寄った。
「由紀はほんとにいないの?」
隣で同じように視線を向ける横山さん。
それよりも、彼は気になっているようだった。
さっき話した『内容』について、本当なのか?って。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!