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〇月×日。私は自殺した。
そのはずだったのに、私が目覚めたのは、アンティークショップのような、小洒落たお店の中だった。
「ようこそ。自殺用品店、スーサイドへ」
そう言って迎えてくれたのは、黒いローブを着た美人の女性、死神さんだった。
自殺者の動機を聞くことで、より良い死を提供することを生業(なりわい)にする死神さんは、いつも優しく、真剣に話を聞いて、客にとって最も相応しい自殺用品を勧めてくれる。
その身を何年も綺麗に保ったまま死ぬことのできる毒薬
意識が失っていく中で、温かな思い出だけを想起できる首吊りロープ
人の温もりに包まれながら溺死できる水汲みバケツ
想い人と共に引き金を引くことのできる拳銃
自殺を計った者だけが訪れることのできるお店の品々は、客にとってどれも甘美なものだ。
しかしそれを得るためには、嘘偽りなく、正直に自分のことを話さなくてはならない。
「あなたはウソをついていますね」
死神さんのそんな言葉と共に、私は、私自身ですら知らなかった、自殺する本当の理由と向き合うことになる。
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