高校生家政夫の俺がチートなロリっ子たちに囲まれちゃってました。

矢田あい
矢田あい

第6話 第一の事件! いざ行かん

公開日時: 2020年9月3日(木) 17:05
文字数:2,320

やっぱり、今日は第9話まで投稿します!

◾隆臣


 俺たちは魔術学園の制服に身を包み、品川駅から上野駅までの区間を山手線で行き、上野駅からは少し歩いていつもどおり学園に登校した。


「じゃあ放課後、高等部の噴水の前にで待ち合わせな」


「はい、わかりました」

「りょーかーい」

「おっけー」


 俺の言葉に凛、エース、ジョーカーは頷いた。

 短い会話をして、俺は高等部の校舎の中に入った。


「おっはー品川君」


 玄関で声をかけてきたのは、


「おお、石沼か」


 同じクラスで、茶髪ショートカットの石沼いしぬまかなでだ。


「珍しいね、こんなに朝早く」


「そうか? って、その包帯どうしたんだ?」


「あ、これ? ちょっと火傷しちゃってさ、ははは」


 奏はそう言って笑った。


「そうなのか、お大事にな。あ、1つ聞きたいんだけど、石沼って豊園尚子と仲良かったよな?」


「うん、ずっと同じクラスだからね。それで尚子がどうかしたの?」


「べつに大したことじゃないんだけど、最近のあいつ、様子が変だったりしてなかったか? なんか隠し事してる……みたいな」


 すると奏は急にニヤニヤし出した。そしてからかうように、


「うーん、特に心当たりはないかなぁ。ねぇねぇもしかして、尚子に惚れたの?」


「んなんわけあるかッ!」


 食い気味で全力否定する。奏はそんな俺にやわらかなほほえみを向け、手を振りながら、


「んじゃまた教室で! ……おっ! アンナ、おっはー!」


 クラスメイトの赤毛長髪の女子に元気よく挨拶して、そのまま教室方面に消えていってしまった。

 俺はきのう以前のことを思い出してみる。

 あまり尚子のことは気に止めていなかったが、クラスでの様子に特におかしいところはなかったように思った。


◾凛


 ちょうどその頃、初等部玄関では、


「みなさまごきげんよう」


 わたしたち3人に挨拶してきたのは、同じクラスの十六夜いざよい七海ななみちゃんだ。黒髪の一部と瞳が金色なのが特徴的で、とってもかわいらしい容姿をしている。

 その隣には、いつも通りモジモジしている七海ちゃんの双子の妹の四谷よつやちゃんもいる。四谷ちゃんは髪の毛の一部と瞳が銀色になっている。


「おはようございます。七海ちゃん、四谷ちゃん」


「おはよ!」


「おはよー」


 わたしに続いてエースとジョーカーもあいさつをした。 


「ところで今日は並々ならぬ表情をしていますことよ? 何かおありでして?」


 七海ちゃんはそう尋ねてきた。


「べつに。大したことはじゃないわよ」


「ほら曇ってるし、テンション上がらないだけよ」


「うんうん」


 七海ちゃんはとってもお節介焼きだ。これ以上突っ込まれたら七海ちゃんに怪しまれちゃう。

七海ちゃんは、


「ふーん」


 とわたしたちの顔を一瞥して、


「その気持ちとてもよくわかりましてよ。天気が悪いと気分が滅入りますわよね」

 と。


「それじゃあ私は日直なんで」


 エースはわたしとジョーカーの手を引いて歩き出した。


「そうですね。わたくしたちもこれから風紀委員の仕事がありますから、ではまた教室で」


 七海ちゃんは笑顔で言って、四谷ちゃんと一緒に逆わたしたちとは方向に歩いていった。


「ふぅ、悟られなくてよかったね」


「そうだね」


「サザエさんとスピードワゴンもびっくりなお節介焼きよ、七海は」


 エース、わたし、ジョーカーはそれぞれそう言いながら、職員室の方に向かった。


◾凛


 放課後。

 わたしたちは隆臣と待ち合わた高等部の噴水に、中等部を通り抜けてやってきた。

 普通、同じ学園内でも初等部の生徒が高等部へ来ることは滅多にないので、好奇的な視線が集まる。


「おい見ろよ、初等部のやつらが来たぜ?」

「誰かの妹か?」

「けっこうかわええやん」

「矢田が喜びそうだな」

「矢田ってあの8組の?」

「そうそう。あの四皇・ガチロリコンの」


 なんて会話も聞こえてくる。


「うう、やっぱり高等部は怖いよぅ」


 わたしは肩をすぼめながら高等部の中庭を歩く。


「大丈夫よ、凛。あなたには指一本触れさせないから」


「わたしも守ってあげるからねっ」


 そんなわたしをジョーカーとエースは笑顔で励ましてくれる。

 実際、ジョーカーやエースが能力を使って一般人と戦ったら、大怪我を負わせることは間違いない。

 そのため、ガイストや上級感覚覚醒者、魔法使いが能力や魔術を不必要に使用することは、国の法律や世界の条約により制限されている。また校則ではそれよりもさらに厳しく禁止されている。

 なので、そう容易にドンパチ起きることはないし、もしそうなったとしても月級ムーンの魔術師である鬼瓦おにがわら先生や陽級ソレイユの上級感覚覚醒者の鬼塚おにづか先生に関係者が全員しばかれるだけだ。


「うん、2人ともありがと。でも学園内で能力は使ったらダメだよ。鬼が出るからね」


 そんなこんなで隆臣よりもはやく噴水前に到着した。

 噴水の真ん中には、学園の誰もがそれが何者なのか知らないヨーロッパ系の美少女の石像が立っている。


「2人は知ってた? この学園にある3つの噴水の女の子の石像は、みんな違う人だってこと」


「知らなかったけど。それがどうかしたの?」


 と、ジョーカー。


「特になんでもないんけど、初等部にある像、ジョーカーに似てるなって思ったの」


「そうかしら? わたしあんな顔してる? そしたらあんたにも似てるってことよ?」


「たしかにけっこう似てるかも」


 そう呟いたエースにわたしは、


「中等部にある像はエースに似てると思うの」


 と言った。


「え? そうかな?」


 エースは小首を傾げた。ポニーテールが振り子のように揺れる。


「うん。ちょっとだけね」


 そんな会話をしばらくしていると、


「悪い、遅くなった」


 隆臣が走って噴水前までやって来た。


「いえいえ、気にしないでください。わたしたちも今来たんです」


 わたしはにっこり笑って答える。


「それじゃあさっそく生徒会室に向かおう」


 わたしたちは隆臣の言葉で、生徒会室のある高等部部室棟へ歩き出した。



 To be continued!⇒

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