◾隆臣
神田明神の火災はニュース速報になり、都民を不安のスパイラルに招くことになった。
翌日。俺、エース、凛、ジョーカーは神田明神へやってきた。
「凛は御神体を見たことあるのか?」
「いいえ、ありません」
「そうなんだ」
凛とジョーカーは神田明神参道入口にある天野屋という甘味処でアルバイトをしている。
凛の父である和也さんが引きこもりがちな2人を家の外に出すために、友人のつてで始めさせたものらしい。
最初は嫌々やっていたが、最近は熱を入れて仕事に取り組んでいて、神田明神の方でも巫女として助っ人したりもしている。
かわいい双子の巫女がいるということで、ひそかに秋葉原のオタクたちの人気を集めたりもしている。実際巫女姿は半端なくかわいい!
「でも場所だけはわかります。本殿の奥のところに隠し階段があるんです」
そして今日は神田明神の地下にあるとされる御神体を回収しに来たのである。
どうしてこんな危険な場所に、年端もいかない凛が来ているのか。それにはちょっとしたわけがある。
それは、ここの神主がどうしても凛とジョーカーに御神体を見せたいと言ったからだ。
2人で行かせるわけにはいかないので、俺とエースが着いてきたのだ。もちろん警察や消防に許可を取ってこの場にいる。
◾隆臣
肩甲骨まで伸ばしたつややかな白銀の髪の毛をツインテールに束ね、赤い宝玉のようなきれいな瞳を持った小さくてかわいらしいこのロリっ子の名前は三鷹凛。
コスプレのような髪の毛や瞳だが、髪の毛は地毛だし、カラコンをしているわけでもない。
つんつんまつ毛も白銀色で、肌も日本人にしてはかなり白い方で、イメージカラーは間違いなく白だ。
凛はジョーカーやエースとともに台東区にある東京魔術大学附属学園の初等部4年に所属している。
凛の父である和也さんは東京魔術大学――通称東魔大で魔法マテリアルというものの研究を行っている准教授だ。
凛は極めて秀才で、運動神経も抜群で、礼儀も正しく、楽器も才能に溢れており、なおかつ初等部のミスコンでジョーカーとともに2年連続グランプリに輝くほどの容姿の持ち主。いわゆる非の打ち所のないパーフェクトガールだ。
その多彩さを評価され、学園初等部のホームページではトップ画面に写真が掲載されていて、初等部の看板娘的な存在となっている。でも家では至って普通の女の子だから、そのギャップがまたかわいい!
俺とエースは先導する凛とジョーカーに着いていく。
鉄筋コンクリート造なので跡形はあるが、かつての本殿の光景はもうない。
規制線が引かれており、ここにいるのは俺たち4人だけだ。
「それじゃあさっそく作業に取りかかろっか」
「そうだな」
エースに俺が頷くと、
「でもこの瓦礫……どう退かせればいいのかしら」
ジョーカーがそう呟いた。
「大丈夫! 私の能力ならなんとかなるよっ」
エースが薄い胸を張って答えると、俺の隣にもう1人の俺が現れ、それに続いてもう何人もの俺が現れた。
この世にはガイストという存在がある。
ガイストとは、特殊な能力を持つ守護霊のようなもので、それを保有する人をガイスト使いと呼ぶ。
ガイストは誰しもが持っているわけではないが、様々な個体があるのが特徴で、1人につき1人だけ保有することができる。
名前の由来は、ガイストの使う能力がまるでポルターガイストのようだから、というところからである。また、ガイストは例外なくロリっ子だ。
そして俺と凛はガイスト使いだ。俺のガイストはエースで、凛のガイストがジョーカーなのだ。
ジョーカーは凛と容貌が非常によく似ていて、髪の毛の色を白から黒へ、瞳の色を赤から水色にしたような見た目で、一卵性双生児と疑われることが多々ある。真っ黒い髪の毛が印象的なので、イメージカラーは凛とは真逆の黒だ。
そして俺のガイストたるエースのガイストとしての能力は、身体能力を強化したり分身体を作り出りだすことである。
エースはそれを利用して俺の分身を何体か作った上で、身体能力を底上げ。それで分身たちに瓦礫をどけてもらうのだ。
「今回はわたしの出番はなさそうね」
ジョーカーは空中で腕と足を組みながら言った。
おっと危ない。空中で足を組んでるもんだから、短いスカートの隙間からジョーカーの秘密の白い布が見えてしまうところだった。
ガイストは霊体と実体の2つの特性を併せ持っており、実体はあるのだが、今のジョーカーのように幽霊のごとく浮遊することもできるのだ。
「そうだな。2人とも危ないから下がってて」
俺の言葉で凛とジョーカーは瓦礫のそばから離れてくれた。
◾隆臣
分身が瓦礫の撤去を行った後、俺は地面に取り付けられた金属製の蓋のようなものを発見した。
そのことを報告して凛とジョーカーを呼ぶ。
「ではさっそく中に入って御神体を回収しましょう」
凛の言葉でエースは分身体をすべて消した。
俺が鉄製の蓋を開けると、その下は黒洞々としていて、地下へと続くはしごが見える。
「暗くて下が見えないわね」
ジョーカーが言うと、エースは地面に落ちている石ころを手に持って、穴の上でそっと手を離した。約2秒後に石ころが地面と衝突した音が反響して聞こえてくる。
「深さはだいたい17m。結構深いね。まずは私が降りるよ。下に着いたら合図送るから、その後に2人はジョーカーと一緒に降りてきて」
と言ってエースはポケットからスマホを取り出し、懐中電灯機能で下方を照らしながら、浮遊能力を利用してゆっくりと地下に降りていった。
しばらくして、
「いいよー!」
エースのソプラノボイスが聞こえてきた。あいかわらずかわいい声だ。
その声を聞いて、まずはジョーカーが穴の中に降り、続く俺と凛の足元をスマホの懐中電灯で照らしてくれる。
「こ、怖いですっ……」
凛の声は震えている。相当怖いんだろうな。
「あんま下見ない方がいいよ」
と、上を見て凛にそう伝えた瞬間、
「うおッぶね!」
俺は足を踏み外してしまった。
その理由は単純だ。上を向いたとき、凛の短いスカートの間からちょうど水玉模様のかわいらしい秘密の白い布が目に入ってしまったからだ。
凛は9歳で歳の離れた妹のように思ってきたが、やはり他人なのでどうしても驚いてしまった。
「大丈夫ですか隆臣?」
「う、うん。大丈夫大丈夫」
俺はそう返事して、煩悩を振り払い、まっすぐ前を向いてはしごを降りることにした。
To be continued!⇒
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