高校生家政夫の俺がチートなロリっ子たちに囲まれちゃってました。

矢田あい
矢田あい

第3話 事件の予感! 神社の地下には……

公開日時: 2020年9月3日(木) 11:05
文字数:2,525

◾隆臣


 ようやく地面に到着した。


「ふぅ、さっきはまじで死ぬかと思ったぜ……」


「はい。わたしもとっても怖かったですっ」


 見ると凛の細っこい足が小刻みに震えているのがわかった。


「怖かったのによく頑張ったな」


「これくらいへっちゃらですっ! 落ちても隆臣と一緒に死ねますしっ!」


 凛は薄い胸を張ってにこっえみを向けてくる。


「さらっと恐ろしいこと言わないで! ヤンデレ属性持ちだったの?」


「?」


 俺の言葉に凛は首をかしげた。白銀のツインテールと切りそろえられた前髪が同時に揺れる。その仕草がたまらなくかわいくて、俺はつい表情が緩んでしまう。


「まあとにかく、先に進もう」


 そう言って歩き出そうとした俺に、


「ま、待ってください! わたし、足が震えて……」


 老人のようにヨボヨボ歩く凛。


「え? まさかそんなに怖かったの?」


「はい……」


「高所恐怖症? スカイツリーに登ったときは、楽しそうにガラスの床の上で飛び回ってたのに」


「それとこれとは違いますっ! あれは落ちる危険性はありませんが、あんなはしごだったら落ちちゃうかもしれないじゃないですか! それがだめなんですっ!」


 それを聞いてジョーカーはやれやれといった感じで、


「頼りないご主人だわ。ほんとうに」


「それどういうこと?」


「あら? 怒っちゃった?」


「からかうなんてひどいよっ!」


 ほっぺたをぷくーっと膨らませて激怒する凛。かわいいっ!


「ふふふっ」


 それを見て上品に笑うジョーカー。

 ジョーカーはちょっとお嬢様っぽい性格なんだよな。所作がちょっぴり上品で、それがまた背伸びしている感があってかわいいんだよ。

 すると凛はほっぺたを膨らませたまま、生まれたての小鹿のような足取りでようやく俺のところまでたどり着き、腕に抱きついてきて上目遣いで、


「だっこ……してください」

 と。


「え?」


「だっこ……」


 目をうるうるさせて手を差し出してくる凛。ちくしょう! かわいい! かわいすぎる! 完全反則なかわいさだ!


「おう。わかった」


 そう言って俺は凛をお姫様のようにだきあげる。

 凛の体は驚くほど小さて軽く、強く抱きしめれば骨が折れてしまいそうなくらいだ。

 幼い子特有の温かな体温が伝わってくる。すっごく気持ちがいい。ずっとこのままでいたいくらいだ。


「ふふ。目線高いですっ」


 凛は頬を少し赤らめながら満足そうに微笑む。


「そりゃよかった」


 と、俺。


「あららん? りんちゃんは赤ちゃん返りでちゅか?」


 ジョーカーは凛をあおった。


「違うから~!」


 涙目で叫ぶ凛。


「ふふふ。そうなんでちゅか〜」


 ジョーカーは意地悪く笑う。まったくこいつら、本当に仲がいいよな。


「おーい! はやくおいでよー! こっちになんかあるよー?」


 先を歩いていたエースの声が、暗闇の中に浮かぶ小さな光の方から聞こえてきた。


「おう。今行く」


 俺は凛を抱えたままジョーカーを引き連れて、エースのところに向かった。


◾隆臣


「神社の下にこんな空間が……」


 エースがスマホのライトで照らして見詰める先には、暗くて奥までは見渡せないが、だいたい体育館一個程度の広さの空洞があった。

 中央には大きな石造りの十字架が、美しくてかわいらしい花々や装飾に囲まれた状態で地面に突き刺さっていた。

 近づいて見てみると、その十字架の表面には、


Linka von Schwarzburg-Rudolstadt

Geboren 1646

Tot 1659


 と書かれていた。


「墓? どうしてこんなところに」


「ドイツ語で文字が彫られています。まさかこれが御神体ってことでしょうか?」


「墓が御神体の神社ってどんな神社だよ。しかも名前も知らない人の墓だぞ? そもそも読めないけど」


「もしかしたら他にも何かあるかもしれないし、もう少し探索してみようよ」


 俺たちの会話を聞いたエースは、そのような提案をした。

 その提案に全員が賛成して、俺とエース、凛とジョーカーの二手に別れて地下空間を探索することになった。


◾隆臣


 俺とエースは外周付近を調べることになった。

 暗いので、自分たちの位置がわからなくならないように、壁に手をついた状態で歩みを進める。


「あの十字架の墓もそうだけど、この地下空間……なんか雰囲気違うよな。言い表せないけど、なんか違う。


「うん、私もそう感じてたよ」


「それに、俺にもわかるほど土の質が違う……一ここは体なんなんだ」


 俺は手に着いた土をスマホで照らして眺めながら言った。

 そうこう会話しながらしばらく歩いているうちに外周を一周していた。


◾凛


 一方でわたしとジョーカーは墓とその周りを探索していた。


「どうしてこんなところに外国人のお墓があるんだろう?」


 わたしはジョーカーに尋ねた。


「さぁ、わたしに聞かれたってわからないわよ。でもここに刻まれている名前……リンカ・フォン・シュヴァルツブルク=ルードシュタット…………なんか聞き覚えがあるようなないような……?」


「何か思い当たるの?」


「うーん……いや、やっぱり知らないわ、そんな名前の人」


「そっか。でも、もしかしたら記憶を取り戻すきっかけになるかもしれないし、頭の片隅留めておいたら?」


「どうかしら? まぁ、一応ね」


 わたしたちは話しながら十字架の反対側に回り込んだ。


「あ、ジョーカー、ここにも何か彫られてるよ?」


 わたしは十字架の裏側に彫られている文字をライトで照らして逆の手でなぞりながら、


「不思議……ドイツ語なんて読めないはずなのに、どうしてわかるんだろう。『扉を開こうとするとき、すでに扉は開かれている』……だって」


「この空間自体、時空が歪んだみたいな感じがするし……そもそもここって何のためにあるの? 本当に神社の地下なの?

きっと読めない言語が読めるってことも含めて、ここはわたしたちには知りえない何か特殊な力がはたらいている空間なのかもしれない」

と、ジョーカー。


「特殊……魔術と何か関係があるのかな?」


「おそらくね。……いや、おそらくじゃなくて、絶対そうだわ。こんな現象、魔法以外には考えつかないもの」


 魔術とは、魔法という物理法則下では起こりえない現象を導くための手段で、その規模から大魔術と小魔術に大分されている。

 ジョーカーは手をポンと叩いて、


「あとでエースに見てもらいましょ。きっと何かわかるかも」


「そうだね。そうしよう」



 To be continued!⇒

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