「ファッ?」相談員は耳を疑った。
母子で転生なんて前代未聞だ。
ここは女神組合。
異世界転生をプロデュースする女神のギルドだ。
この業界にはいろいろなしくじり神様がいる。
「ちょっとした手違いで前途ある若者を死なせてしまった。
そのお詫びに新しい人生をうんぬん」というのは建前だ。
業務上必要なスキルだ。
欠点が利点というのもおかしな話だが転生神がドジを踏まないと転生は始まらない。
だが毎度トラックで勇者候補を轢き殺す神様は優秀だ。
これとは別に本当にどうしようもない転生を仕掛けてしまう神様がいる。
転生事故物件の神とか地雷神と揶揄される神々だ。
今回のレアケースも「勘弁してくれよ」と言いたくなる。
相談に来た女神が言うには「母娘連れをトラックに轢かせてしまった。
親子でダブル転生なんて想定外だわ。
どうしましょう」という。
どうにかして欲しいのはこっちだ、と相談員は思った。
その母娘はというと別室で魂状態のままワアワア泣きじゃくっているという。
「厄介なことにそのお母さん、妊婦だったらしくて」
相談に来た女神は机に突っ伏す。
「神様助けて!」
おめーが神様だろう。
相談員は暫く同僚と相談した。
「どうします?匙を投げて門前払いしますか?」
「いや、迷って悪霊にでもなられたら困る」
「しかし親子三代トリプル同時転生なんか本邦初ですよ。
しかも胎児、女の胎児、どうやって転生させますか?」「……」皆が考え込んだ時だ、相談所の入り口の方で物音が聞こえた。
バン!と扉が開かれて、一人の若い女が現れた。
そして、相談所の惨状を見るなり叫ぶ。
「あんたたち何やってんの!」「え、ああ、あの」「女神なのに客を待たせるなんてどういうこと?」その女は明らかにベテランの風格だった。
新人の女神たちは顔色を失う、慌てて相談者を迎え入れる。
「すみません」「さあ仕事よ!」その年かさの女の神様は有無を言わせず相談者たちに言うのだった。
「ダブル母子のトリプル魂ですよね?」その一言で場の緊張は解かれた。
相談室は一気に喧騒に包まれた。
女神たちの話を聞く限り、かなり難題なケースだったらしい。
だがベテランの女神の登場によってあっさりと片が付いた。
相談者が「女神様すごい!」と言ったことで相談室のムードはさらに盛り上がることになった。
こうして女神たちは相談者の感謝を一身に浴びて、意気揚々と天界へと帰っていった。
「……という夢を見たんだ」「へぇ、それはまた随分とお楽しみだったようですねぇ、先輩。
今日も相談所に来ますかね?」女神は欠伸をして言う。
後輩女神の言葉は皮肉だった。
「来るわけないよ、あんな連中、ただでさえ扱いにくいのに……あれ?」「どうしました?何かありましたか?」
相談者はふと思い出して、相談室にやって来たときよりも少しだけ笑顔になって言った。
「相談料のこと、忘れて行っちゃった」「まぁ、別にいいじゃないですか、大したことしてないし」「そうだね」女神たちがそんなことを言って相談者と笑っているうちに、相談室のドアがバタンと開いた。
相談者の姿はなかった。
代わりに先ほどの年かさの女神がいた。
彼女は腕を組んで立っていた。
そして、後輩の女神たちにビシッと言う。
「相談者にはきちんと料金をお支払いするのが基本でしょう?相談を受けたからっておごってもらった気分になられては迷惑なんだけど?」「「申し訳ありません!」」後輩の女神たちも背筋を伸ばし、敬礼して言うのであった。
ここは女神の相談所。
女神と女神を繋ぐ橋渡しをする場所だ。
だからどんな女神でもウェルカムだ。
たとえそれが女神とは名ばかりのポンコツ女神でも歓迎されるだろう。
なぜなら相談者は「女神様」と敬意を持って接してくれるからだ。
相談者が女神のところにやって来る理由はそれだけだ。
「相談員さんはいつも相談に乗る方なんですね。
尊敬しますわ。
私なんか相談員としての能力がないと、みんなに言われちゃって。
どうすればいいでしょうか?」
「相談に答えられる能力が大事だよね」
相談員と受付嬢が話していると、横から女神様の声が入った。
「でもあなたには『女神の才能』はあります。
相談に回答するのはあなたの得意分野ではないかもしれませんが、『相談者に寄り添う女神になる』という才能なら誰よりあるのです」
相談員は嬉しそうにして女神様に抱きついた。
相談員の頭を撫でながら女神様は言う。
「大丈夫ですよ。
あなたは素晴らしい女神になれますとも」
相談員は満面の笑みを浮かべて言うのだった。
「ありがとうございます!」
ここは女神の相談所。
女神と女神を繋ぐ橋渡しをする場所だ。
女神と女神が出会う場所はここしかない。
相談員はいつでもここにいる。
「相談員さんは毎日ここで働いているんですか?大変じゃありませんか?」
「大変なこともあるけど、楽しいことも多いよ」
「そうなんだ」
「それにね、ここにはいろんな女神がいるから。
私の知らない女神のことをたくさん知れるんだよ」
「例えば?」
「えっとね……」
ここは女神の相談所。
女神と女神を繋ぐ橋渡しをする場所だ。
女神と女神を結ぶのは、この場にしか存在しない。
女神の居場所がどこにもなくてもいい。
相談員がいるかぎり、この場所で女神は女神になれる。
相談員がいるかぎり、この場所で女神の悩みを聞ける。
相談員がいるかぎり、この場所でしかできない相談もあるのだ。
相談者は必ずやってくる。
この場所に女神の居場所があることを知っているから。
女神に会いたいならば、必ず相談員に会うのだ。
この世に悩みはつきものだ。
それを解決する女神もいれば、その女神を支える者もいるだろう。
この世界にはいろいろな悩みがある。
それと同じように、女神の数も多いのだ。
悩みの種類も人それぞれだ。
だが相談員がいるかぎり女神の悩みはすべて解決するだろう。
なぜなら、女神は相談員を必要とする女神しかいないのだから。
女神の相談員はこの世界にただ一人しか存在できない。
相談員は相談を受けなければならない。
それが女神にとって、相談員の存在意義であるのかもしれないから。
ここは相談員が女神を救って導く女神の楽園なのだ。
私は女神の相談所の職員、通称:相談員だ。
女神の相談を受ける仕事をしている。
この職業は天職だと私は思う。
女神たちの相談はどれも深刻なものではあるのだが、相談に乗れるという経験が私を強くしたように思える。
最初は失敗ばかりだったし、同僚には叱られたりしたものだが、最近やっと褒められるようになった。
相談者の悩みは十千万。
女神の相談所の仕事は多岐に渡る。
その中でも一番のウエイトを占めているのが相談者の対応である。
女神の悩みを真摯に受け止めてあげるのがこの仕事だ。
時には心無い言葉を投げかけられることもあるが、女神に信頼された相談者はとても嬉しいらしいので我慢する。
私が女神様に相談した時は、優しく諭してくれた。
そのおかげで今の自分があると思っている。
女神には感謝しても仕切れない。
だからこそ相談者は女神に感謝すべきだと思う。
相談に来ることが女神の相談所の最大の目的であり喜びなのだ。
だが、中には勘違いをしてくる女神もいるようだ。
女神が女神であることを鼻にかけて威張ったり、逆に気を遣いすぎると萎縮したり、相談者も様々な反応を示す。
その違いを見極めるのはなかなか難しく、難しい。
そのあたりをうまくやる先輩の相談員たちはやはり頼りになった。
だが、そういう人たちはなぜか私には冷たい態度を取ってくることが多かったが。
まあそれも当然と言えば当然の話なので気にしないことにする。
先輩たちからは相談に答える力はないと言われたが、先輩たちにできて自分にできないことはないと思うのだった。
相談に答えられないというのは謙遜が過ぎる。
自分は相談に乗って相談者の悩みを解消する女神をサポートすることができる女神だと信じているからだ。
「女神様は本当に偉いよ」「相談者を安心させてあげたらどうかしら」「女神様にはそれだけの力があるよ」先輩たちも後輩もそう言ってくれていた。
相談者は女神様を信じるべきだし、相談者は信じてあげてほしいのだ。
女神を尊敬する気持ちがあれば、自然と信仰は芽生えるはずだと思った。
女神への信仰は相談者にとっては最も手っ取り早い方法だが、それ以外にもあるのだ。
それが「感謝」だ。
感謝の念を持つことで信仰の一歩となるだろう。
「ありがとうございます」「ごめんなさい」「助けてくれて、感謝しています」と口先だけの謝罪の言葉よりは、感謝の方が心に響くものがあるだろう。
女神も相談者が感謝すればきっと喜んでくれるだろう。
そして、それは女神だけでなく、相談員にも返ってくるものだった。
相談員は感謝されるようなことをしていないと自問することがある。
そんなとき相談員がすることは女神の悩みを聞くことだ。
「女神様のおかげです」「相談に乗ってくれてありがとう」「女神様にお会いできました」そんな言葉を相談者から言われるととても励まされる。
女神だって一人の相談者だ。
女神の相談に乗ることもまた、女神の存在そのものに感謝されることに繋がるとわかったとき、相談員は自分のしていることの意味を知ることができた。
女神を敬うことが相談者にいい影響を及ぼすことは間違いなかった。
ここは女神の相談所。
女神と女神を繋ぐ橋渡しをする場所だ。
女神と女神を結ぶものは、ここ以外には存在しない。
女神の相談所にはさまざまな種族がいる。
神々しいもの、禍々しものをその目にしたとき、人々は畏怖を抱く。
神は人々を救うものであるという常識を覆す、理不尽さを感じる者もいるだろう。
だが、すべての女神が同じ女神ではなく、相談者が望む女神がここにいることが救いであることに変わりはなかった。
今日もまた、相談者は女神に救われることを夢見てやって来る。
相談員はいつも通り女神の相手をしようと相談室に顔を出した。
するとそこには見たことのない女神がいた。
金髪に金のドレスを着た、美しい女神だ。
相談員は目を疑った。
なぜこんなところに上級の女神がいるのか? 相談者がここに来るのは何も珍しいことではなかった。
むしろよくいる方で、女神を崇めない人間たちがたくさんいたのを覚えている。
しかし、ここに来たことがあるのは下級の天使と人間の男だけの女神だった。
しかもその女神は相談者に対し、冷たく接していた。
相談者に話しかけることもなく、自分の椅子に腰を下ろしたまま動かない。
まるでそこが自分の場所だと言っているように。
「あのぉ……」と声をかけると、「うるさい」と怒られてしまった。
何なんだこいつ。
何様だ? 女神を相談者にするわけにはいかないが、相談員は目の前の女を睨みつけるしかなかった。
すると女は相談員を指差して言った。
「何だ貴様!ここは相談所で私の相談室ではないのだぞ!」「えぇ!?でもここは相談所なんですが」
相談員はこの女の言う意味がわからなかった。
ここは女神が相談に来る場所であり自分が働く場所である。
だが女も「ふざけるな!」と言ってきた。
この相談所のルールを知らないということか。
面倒だなぁ。
だがルールを知らないからといってこの女をこのまま野放しにしておく訳にはいかなかった。
「いいですか。
ここにいるのはあなたがたと同じ女……神です」
一応注意だけはしておこう。
女を神と呼ぶことに抵抗はあるが、同じ神だと言うとこの女はさらに怒りだした。
「私のほうが格上だ!!」……は?この女、頭おかしいんじゃないか?「相談者の悩みを聞いて、適切なアドバイスをして悩みを解消するのが相談員の仕事です」
女は何だそれはと言わんばかりに顔を歪めた。
相談員は説明を続ける。
「それをあなたが妨害するというなら出ていってください。
他の女神の相談室に行くべきですよ」
この場を追い出されると相談者が来るまでこの女は相談所に居座ることになる。
だがそれはそれで厄介だ。
「ふむ。
では仕方がない。
おい、相談員よ」
何だよと相談員は思った。
まさか追い出すつもりじゃないだろうな。
「ここは相談員の相談所であって、相談者でない女神の出る幕などないというのが分からんのか?」女が偉そうに相談員を怒鳴りつけたその時、後ろから聞き覚えのある女性の声が響いた。
私は相談所の先輩である、赤毛の猫の耳を持つ獣人、ルーニャ・サテリットである。
相談者の相手ももちろん大事な仕事だがそれ以上に大切だと私に思わせてくれたのは、この女神の相談役の仕事だった。
相談者と話をすることよりも相談者の話を聞き続けることが重要なんだという事に気付いた。
女神も、悩みはあるものだ。
女神だって悩みがある。
その悩みを一緒に考え、解決することが私の仕事だ。
私を先輩と呼んで慕ってくれる可愛い後輩もいるし、私を先輩として認めてくれる人もいる。
どちらも大切な存在だった。
相談にくる人の悩みを女神と一緒に解決していくことが何よりも大事で楽しいと思えるのだ。
女神の悩みを聞くことも大切だが、悩みを抱えている人が相談にやってくる。
相談者はみんな不安に満ちていて怯えている。
だから女神と共にその悩みに向き合うのは大変な作業ではあるがやりがいがあると最近ようやくわかってきた。
だが、それでもたまには息抜きがしたい。
そういうときはどうするか。
私にできることをしようじゃないか。
たとえば今みたいに誰かが何か困っているときに力になろうではないか。
そういう気持ちを忘れてはならないのだ。
ある日のことだった。
「先輩。
先輩が女神の相談役になってくれて本当に良かったですよ」とある少女が嬉しそうに話してきた。
「先輩って女神の相談に乗ってくれるでしょう。
それが嬉しいんですよ」彼女はとてもうれしそうだ。
相談に乗ることも確かに重要だが、一番の目的はそれだった。
「そういえば先輩。
女神様に失礼な態度を取ってしまい、すいませんでした」女神の悩みを聞かないどころか追い出した女神に怒った私。
「でも大丈夫です。
もうそんなことはないはずですよ」「そうなんですか?」
彼女の言葉の意味はすぐに分かった。
数日後に彼女がまた相談に来たからだ。
彼女は「この間のことで少しわかった気がします。
相談者にとって相談所は相談する場所だということに気付かされました。
私が女神に質問責めにしたのも悪いと思いました。
女神様が話してくれるのを待つのではなく、自分で探すべきでした。
そして話を聞いてくれたことを女神様にお詫びしたく思っています」と言った。
どうやらあの日の出来事で気付いたようだ。
女神にもそれぞれ性格というものがあって個性があり、女神によって考え方が違うこともまた然りだ。
だからこそお互いの意見を交換し合って話していくしかない。
その点において女神は話ができる相手でなくてはならないというのを学んだのだろう。
相談員が相談者に教えられるというのはなかなかないことだ。
彼女を見て思う。
女神はやはりすごいんだな、と。
相談所が休みになったその日の夜のこと、相談員たちは酒を飲みながら談笑していた。
「そう言えばさー」相談所の相談員が口を開いた。
女神も相談員も飲みすぎて頭がぼんやりしている中、ふと思った。
ここにあるのは、ただの世間話のつもりだった。
だがそれは相談室における禁忌でもあった。
なぜならここにあるのは転生に関することであるから。
女神にその悩みを漏らしてはならないという決まりごとがあった。
転生神はその秘密を知っているが、転生神が話すことはない。
しかし転生神の悩みというのは実に多かった。
特に多いのは転生先の世界と相談内容についてである。
転生先は人間が多いのは言うまでもないだろう。
転生神の中には転生する先を「中世」の世界にする者もいるらしい。
転生する理由や転生させる目的なども様々で、「イケメンハーレムを作りたい」「転生先で金持ちになりたい」「チート能力で無双する」などと様々な要望に応えなければならないので相談員は毎日てんてこ舞いであった。
一方女神が相談するのはほとんどが自分の身の上話で相談というよりも「愚痴」を零すことがほとんどだ。
女神も悩みを抱えており、女神の悩みは大抵転生神絡みだ。
だが相談員にすれば、それはどうでもいいことであった。
「相談所のルール」その三に「相談者の相談内容は女神に教えてはいけない。
たとえ女神自身が望んでも」
だが、その夜の女神は様子がおかしかった。
相談員が何を言ってもそのことばかりを気にかけ、話の内容が全く頭に入らないような様子だ。
やがて「実は……好きな男がいて……でも……」と女神が呟いた。
転生相談員も女神も相談室に長く務めていればいろいろな女神に出会うことになる。
「男」も何度か見かけたことがあった。
相談者のほとんどが女性なのだ。
それも「若い女」が。
相談に来るということはそれだけ悩んでいるということであり「恋」もする。
女神だって悩むことがあるのだ。
だが相談員はそれを口にしてはいけない。
もしその事実を口にしてしまえば…… 女神が泣き始めた。
どうした?失恋か?恋愛経験が乏しい相談者には慰めの言葉も思いつかなかった。
「うぅ……グスッ」嗚咽する女神を眺めていた相談員は思わず相談してしまった。
「……転生先が……『戦国時代』だと……言ったら……どうなりますかね……先輩」「はぁ?」
「……相談者の話を聞くうちに、相談者も転生先に悩み始めるようになりましてね……でまぁ戦国時代の転生希望とかいろいろ増えてしまって……相談者が……相談に来たら……転生先が戦国だと……相談者の夢を壊しますから……ねぇ?だから言わないほうがいいと僕は言いましたがね」
「いやお前なんでそれを相談しなかったんだ」
「えぇと何と言いますかね。
こういうルールが相談所にあったわけですよ」
「じゃあそれを早く言えよ! 何でそんなことになったんだよ!」
相談員は慌てて相談所のルール集を読み直し始めた。
相談員は焦った。
「ちょっと待ってくださいよ」と慌てる相談員だったがすぐに「あれ?」と首を傾げた。
その翌日から転生相談員は相談者への対応が変わってきた。
「転生先が現代なら」という条件を付け始めたのである。
「転生相談所での相談でしたらいつでも承ります」
そう答えるようになっていた。
そして次第に相談者の転生先に対する悩みも増えていくようになった。
だが女神はそんなことを知る由もない。
だが転生相談所に行けば転生できると噂が流れ始めてきたせいもあり少しずつ転生希望者が相談所にやって来るようになっていった。
女神は相談室で転生を希望する相談者を見かけると「どんな転生を望まれているのですか?」と優しく話しかけることが多くなったという。
女神と転生相談所、その両方が少しずつ変化していったある日のこと。
「先輩。
相談したいのですが」
その少女の名は「サテリット・エテルナ」と言った。
「私にできることでしょうか」
相談員は言った。
「はい。
先輩に頼めばなんとかなると思っていますよ」と笑顔で返した。
相談者は少女の姿をしていたが年齢はわからない。
だが、おそらくまだ二十歳くらいではないかと相談員は考えていた。
猫の耳をした獣人で、茶色の毛並みの美しい髪に整った容姿はどこか愛くるしさを感じた。
彼女は女神が転生した姿だというが、本当だろうか。
「相談員の先輩が猫の獣人だって聞いたんですよ」と相談者から聞き及ぶ。
相談員の姿を見て納得した。
どう見ても女神ではないし、むしろ女神に相談すること自体がおかしい。
相談員は女神に「あなたが転生者ですか?」と尋ねたが「いえ、違います」と否定した。
「転生相談室ができてどれぐらいですか?」
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