ここは高校の屋上。
わたしは飛び降りようとしていた。
2週間前、お母さんが事故で亡くなった。
お父さんはしばらくわたしと呆然としていたけれど、わたしのために働いている……がむしゃらに、お母さんのことを思い出したくないかのように。
お父さんは、日に日に衰えている。
生きる意味がわからなくなった。
今のままではお父さんに迷惑をかけるだけ。
だから……もういいんだ。
さようなら。
───
私が飛び降りようとしたとき。
「ねえ! 待ってよ」
声をかけてくれたのは、クラスメイトだけど話したこともなかった男子。
「話し相手がほしいんだ」
「ねえねえ、遊びにいかない?」
最初は困惑していたけれど、その子は自然に友達になっていた。
そして。
「ねえ、実はね、僕……君のこと」
───
生きる意味を見失っている主人公と、それを静かに支えようと一途に尽くす一人の男子。
重すぎる愛が、ふたりの間で次第に育まれていく……