バイトで”悪魔狩り”始めました。

最強降魔術師の助手のバイトを始めた女子大生エマのお話
さまー
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Case.27「できたことを実感する前にはできるようになっている」

公開日時: 2021年4月1日(木) 23:06
文字数:6,745

 初段昇格試験の今日。この日も術の訓練に励む高虎エマ。本業の大学の授業はもうかれこれ2週間は飛ばしていることになる。しかし、そんなこと今の彼女にとってはどうでも良かった。

 

「……大桐さん、これ効いてるんですかね?」

 

 エマは今、術の発動において重要な要素の一つ、魔力のコントロールの練習をしていた。

 

「……俺は“愚魔”じゃねえからわかんねえが、魔力の“圧”は感じるぜ」

「ってことは、少なくとも大桐さんのところには届いてるってことですよね」

 

 エマと大桐の距離は3mほど。頷く大桐。

 

「しかしだな。エマ……俺のことはチャンプと呼べとあれほど……」

「なんか性に合わなくて。大桐サンと呼ぶ方がしっくりきます」

 

「……そうか」

 

 少し残念そうなのがなんともいえないエマは苦笑いを浮かべる。

 

「……でもなかなか上手くいく気がしないですね。ちゃんと愚魔を引き寄せられているのか」

「馬鹿野郎。術の肝はインスピレーションだ。エマ、お前ができねえって思ってたらいつまで経ってもできねえんだぜ?」

 

 大桐はうねりにうねった前髪をかきむしりながら言った。「まあ確かにそうですけど」と自信なさげにエマはつぶやく。

 

「お前は自己肯定感が低いくせに自分はそこそこできると思い込んでるから質が悪い。自分ができねえと割り切るか、いっそのことできると思い込んで自信持つかどっちかにしろ」

 

 そうだ、と大桐が続けてつぶやく。

 

「……インスピレーションが大事っていうのに、良い見本がいる」

「良い見本?」

 

 エマが首をかしげると、大桐は口元だけ笑った。

 

「真愚魔さ。お前らの大嫌いな」

 

 なぜここで真愚魔の名が出てくるのか、とエマが尋ねようとする前に、大桐は続けた。

 

「真愚魔ってだいたい○○の真愚魔って呼ばれてんだろ。あれ実は、真愚魔界隈が発祥でな」

 

 そういえば……エマは思い出す。自分たちの新人研修の担任である善積よしづみは“自ら”を『格闘の真愚魔』と呼んでいる未登録の真愚魔と交戦した。彼らは、愚魔狩に呼ばれるでもなく、自分たちから名前をつけていたのだ。

 

「ああやって自分の能力を二つ名にすることで、魔力を術に変えるイメージを固めてんだ。あ、でもこれは理性の強い真愚魔だけの習性。普通の愚魔は本能で術使ってッからそこまで考えちゃいない」

「でも、術のイメージを固めているってことは……それだけ強力な術が出せるってことですよね」

「ご名答。頭いいって言われない?」

「昔はよく言われました」

 

 いわゆる、ちっちゃなころから優等生ってやつである。別に鼻が高いわけでもない。

 

「……つまりは、自分でできるっていう明確なイメージを持って、できている様子を想像するしかねえんだ。魔力っていうのはそうやってコントロールするしかねえんだわ」

 

 フケでも出てくるのではないかというくらいに髪の毛をかきむしっている大桐。

 

「電撃の真愚魔、火炎の真愚魔、氷雪の真愚魔、不死の真愚魔、分身の真愚魔、強い真愚魔は山ほどいる」

「……最初の以外聞いたことないです」

「そりゃお前は新人だからな。まあ、段を持てば腐るほど情報は入ってくる」

 

「あ、そういえば……」

 

 エマはふと天井を見上げた。初段昇格試験のことを思い出したのである。

 

――スナやホーセンさんはどうしているだろう。

 

 

 

 ◆

 

 

 第一試験――サバイバル戦。足下に転がっていたドローンを破壊し、スナは立ち上がった。

 

「ありがとう……ホーセンさん」

「良いってことよ。てめえもボロボロだしな。一旦端っこで休んでろ。俺も適当に一体狩ってすぐに潜むことにするわ」

 

 しかし、初段昇格試験を受ける二人は、確かな手応えを感じていた。

 

――アシストの動き、できた……。ああいう距離の取り方、敵の気の引き方ができる。これは使える。

 

――俺の間合い。掴めた。一歩間違えたらスナも巻き込んでいたと思うと、あれは完璧だった。

 

 黒煙がまだ立ちこめている。真ん中から笑い声がした。

 

「!?」

 

「くははは。くはははは。あーあ」

 

 投げやりに叫ぶかれた声。

 

――まだ戦う気か!?

 

 スナを庇おうと、スナの方へと回り込む芳泉。

 

「……あせんな。俺はしばらく立てねえよ」

 

 山崎のしゃがれた声に、まだ警戒心を解けない。黒煙が空気に紛れ、徐々に視界がクリアになる。爆心地と思われるところに、服がところどころ破れた男が寝ていた。びっしりと編み込まれていたコーンロウがほどけており、ただの眉毛のない長髪の男が寝ているだけだ。

 

「……よぉし決めた。俺今回は受かりに行くわ」

 

 この発言とともに上半身を起こす山崎。構えを解かない二人を見て、笑った。

 

「……お前らみたいなつえーやつが初段になるなら、一緒に仕事してえ」

 

 そうつぶやくと、山崎は立ち上がり、スナらに背を向け歩き始めた。

 

「……となると相棒のザコ受からせてやんないといけなくなるなあ。参ったぜ」

 

 捨て台詞は地に落ちる。遠くなる背中を見ながら、二人は呆然と立ち尽くす。

 

「なんだったんだ?」

「……さあ」

 

 

 

 

 ◆

 

 

『第一試験、サバイバル戦。たった今、40体目のドローンが破壊されたため、試験を終了します』

 

 試験開始から2時間と4分。訓練場の隅にて休んでいたスナは、今の放送を聞いて立ち上がった。

 

「芳泉さん、終わりましたよ」

 

 無線の向こうに声をかけるスナ。芳泉からの返事を待つ。

 

『ああ。俺なんやかんやで3体も倒しちまったぜ』

 

「何やってるんすか」

 

 そう笑いながら訓練場をあとにするスナ。5組が突破に成功し、全15名が第二回戦に進んだ。

 

 

 

 ◆

 

 第二回戦に進んだスナ、芳泉、そして井龍がともに行動している。

 

「さすがッすね井龍先生。しっかりと二回戦進んでるじゃないですか」

 

 スナが笑いながら井龍に話しかける。

 

「まあね。俺は三人チームを組んだから。それより、スナくん……君、ボロボロだね」

 

 山崎の攻撃にかなりのケガを負ったスナ。着てきた服は穴だらけ。傷口は治療したとは言ってもまだ塞がっていない。

 

「まあケガをしたって点で言えば、芳泉さんの必殺技を受けた山崎もなかなかでしょうけど」

「死ぬようなケガは与えてないがな」

「攻撃食らった後普通に歩いてましたよね」

「やっぱ山崎陽やまざき はるバケモンだな」

 

 井龍も苦笑いを見せる。そこに、無線から釘塚の声が聞こえてきた。

 

『二回戦は対真愚魔戦を想定した3人チームでの索敵試験だ。チームメイトはこちらで決めさせてもらった。内容次第で第三試験となる面接に行かせてもらう』

 

 

「今回、えらくチーム戦をさせたがるね。何かの意図があるのかな?」

 

 井龍の言葉に、スナはコウマから聞いた言葉を伝えた。

 

「今後、何か大規模な作戦を行うことが予想されているんだそうです。釘塚さんが初段昇格試験の試験資格を緩めたことも、今回の選抜方法を変えたのも、それが関係しているのではないでしょうか?」

「一理あるね」

 

 しかし、スナにも、芳泉にも不安要素があった。

 

――純粋なバトルなら自信はある……が、俺も芳泉さんも術が全く索敵に向いていない。しかしとて、索敵に長けた愚魔狩が何人サバイバル戦を抜けているのかって話なんだよな。

 

 

 ◆

 

 

 第二試験はすぐに始まった。試験内容は、受験者に渡されたレーザーポインターで、場内を飛ぶドローンに光を当てることができればクリア。しかし、釘塚らが索敵の仕方、目的との距離の取り方、チーム内での立ち回りなど評価し、合格者を決める。

 

 人事部長釘塚くぎづか、経理部長天羽あもう、教育部長御厨みくりや、開発部長顎門あぎとと言った幹部4人が、試験の突破者の相談を行っていた。

 

井龍華真いりゅう はるま。彼は合格で良いでしょう。距離を取ることもよくできていたし、チームメイトにドローンの位置を伝えることを綿密に行っていた」

 

 教育部長の御厨がした発言に、ほか三人が頷く。

 

芳泉透里ほうせん とうり。こいつもなかなかやる。というか、サバイバル戦で見せたあの攻撃の多彩さを見るだけでウチにほしいよ」

 

 経理部長の天羽が言う。「何に使うんですか」と釘塚が冗談めかして笑う。

 

「初受験勢で見るなら、新人の順和一緒すな いちお。新人とは思えない戦闘力。レーザーポインターを当てるのも正確だったし」

 

 開発部長の顎門永生が言った。これには御厨も頷く。

 

「……山崎陽はどうです?」

 

 釘塚は笑いながらほか3人に問いかけた。

 

「……合格しても戦闘課ぐらいしか行くところないですよ?」

 

 自虐を込めて開発部長も笑う。

 

「良いじゃねえか。引き受けてやんなよ」

 

 経理部長の天羽が顎門を指さした。

 

「……」

 

 黙り込む釘塚。卓上のコーヒーを一口。

 

 

 

「俺は合格させたい。反対者がいないのであれば合格させても良いかと」

 

 口火を切った釘塚の言葉に、渋々といった様子で顎門と御厨が頷いた。天羽が何か考えている。

 

「釘塚ぁ。なぁんか、お前戦闘に特化した人間ほしがりすぎてねえか? 何か企んでる?」

 

 天羽の言葉は、釘塚にとってはまさしく図星なのだが、釘塚は眉一つ動かさずに言い返した。

 

「そりゃまあ。企んでいるといわれればノーですが、ちゃんと考えてはいますよ。元々、優秀な愚魔狩を昇格させたいだけですから。事務作業に強い、上司に媚びへつらうのが上手な愚魔狩より、愚魔を狩ることという専門性に長けた愚魔狩を合格させたいのは当然でしょう」

 

 釘塚は考えている。この初段昇格試験を一つのターニングポイントとし、真愚魔組織の一斉捜査および殲滅へと向けて――

 

 

 

 

 ◆

 

 

 エマ、リンドウ、そして今日は蜂野スズメの3人が、大桐の経営するクラブハウスに来ていた。エマの術の訓練だ。しかし、初めてここに来た蜂野スズメが口をへの字に曲げた。

 

「なぁんで酒なんか飲んでんのよ! 大桐さんだっけ!?」

「……お? 別に良いだろぉ。酔いてえ気分なんだよ」

 

 まだ昼間である。「こういう人だから」と苦笑いするリンドウ。

 

「……まあ、なんか私が成長した記念だー! とか言ってましたけど。おとといぐらいからですよ。酒飲むようになったの」

 

 エマはえらく落ち着いていた。それくらい術のコントロールができるようになってきているということなのだろう。蜂野はため息をつきながらも、どこかうれしそうである。

 

「……リンドウ! ちょっとさ! 危ないの覚悟でお願いしたいんだけど良い!?」

「ああ。良いぜ」

 

「この“術”が人間相手にはどう聞くのか試してみたい!」

「愚魔相手じゃなくてか?」

 

「最悪愚魔は任務中に確かめられる……けど、新人研修とか初段昇格試験とかって、愚魔狩同士でも戦うでしょ?」

「確かにそうだな」

 

 リンドウは腕を組みながら答えた。ここでスズメが一つ提案する。

 

「せっかくだし、広いところでやったら?」

「良いアイデアですね」

 

 スズメの言葉に、エマの顔がぱあっと明るくなった。

 

 ◆

 

 

 昼下がり。夜は栄える繁華街だが、閑散としている町並み。スズメは地下にある駐車場へと案内する。

 

「ここならある程度暴れられるんじゃない?」

「無断で入って大丈夫なんでしょうか?」

 

 心配するエマ。スズメは首を横に振る。

 

「別に一般人が魔力を確認できるわけじゃないし、遊んでるわけでもないんだし良いでしょ」

 

 良いのかなあと思いつつ、エマは深呼吸を一つ。

 

「何か感じたらすぐに教えて。やばそうだったら術すぐに止めるから」

「おう」

 

 リンドウに忠告するエマ。師である大桐は、肝心な訓練の時に姿を見せない。きっと店の中で酔って寝てしまったのだろう、そう言い聞かせた。

 

「でもまあ……俺のことはあんまりめないでもらいたいぜ」

「じゃ、行くよ……」

 

 エマが構える。リンドウは特に何かするわけでもなく、両手をスウェットのポケットに突っ込み、棒立ちしている。

 

「……『魔忌餌まきえ』」

 

 エマが胸の前で両手を組み、指と指の間に指を通し、ぐっと力を込めた。リンドウはぼーっとしていたが、瞬間――

 

「!?」

 

 ずしんとかかる圧。何もない空が急に重たく感じたが、何かが乗っかったことすら確かめられない。

 

――何だこの圧……ッ!! 動けねえッ!!

 

 何を隠そう、これはエマの術、『魔忌餌』による効果だ。エマの元々持っている高純度の大量の魔力――これを周囲に撒き散らし、圧力として攻撃することができている。

 

「一応愚魔に対しては、この重力みたいな効果もあるんだけど、それだけじゃないの。餌魔えまの味と、酩酊めいていの効果も加えてるの」

「愚魔相手だと、勝手にこのクソ重てえゾーンに入り込んできてくれるし、なおかつ酔っ払って動けなくなってくれる、と?」

 

 圧に耐えながらも話すリンドウ。エマはあわてて術を解除する。

 

「愚魔相手はまだ試してないんだけど、そうなってくれたら術を覚えた甲斐かいもあるかな?」

 

 笑いながらうれしそうに語るエマ。スズメも我が子の成長を見守る親のような、慈悲深い目で見ていた。

 

「でもよ、俺思ったんだけど、こんな術出してたら、バンバン愚魔よってこねえか?」

「……うん。まあ……それも折り込み済みというか……」

 

 

 エマはリンドウに背を向けた。何かの気配を察知したらしく、キョロキョロしている。

 

「私も、ようやく愚魔狩として、餌魔として、私にしかできないこと、私がやらないといけないこと見つけたかなって」

 

 

 

 

 猿のような形をした愚魔が3匹現れた。スズメもリンドウもその姿に気づいたが、エマが二人を制する。

 

「ちょっとエマちゃん、3匹で陣形守って現れた。あいつら連携できるタイプよ。一人で大丈夫?」

「はい、試したいことはたくさんあるんです」

 

 エマはまたしても、胸の前で手を組んだ。

 

「……やばくなったときはお手伝いお願いします。『魔忌餌』発動!」

 

 エマの魔力が周囲に放出される。三匹の猿型の愚魔は、それぞれエマの魔力の放出されている範囲――エマを中心とした半径3.5mあたりをきちんと守って距離を取る。一匹が小石を拾う。

 

――投擲とうてき物? エマの術を罠だと踏んでるッ!

 

 

 スズメがエマの危険を察知し、思わず一歩踏み出しそうになった。しかしここはリンドウが制する。

 

「あいつ、気づいてるッス」

 

 小石を投げる一匹の猿型。しかし――その小石は、エマに届くことなく、地に落ちた。

 

「あいつの魔力の圧、物体にも作用してるみたいです」

「そうね……」

 

 石を投げた一匹以外の残りの二匹がそれを合図に飛び出した――が、すぐに動きが止まった。それを視認するまでもなく、エマは含魔銃を二丁取り出しており、右手と左手、それぞれの含魔銃から放たれた弾丸にて、二匹の愚魔を打ち抜く。

 

 そして――残りの一匹が逃げようとした瞬間に、エマはその背に弾丸を二発打ち込む。

 

 愚魔は鳴き声を上げる一瞬すら与えられぬまま、どさっと崩れ落ちた。

 

「た……倒した」

 

 リンドウもスズメも、あまりに一瞬のことに呆然としている。淡々とした愚魔狩りに、驚いているという気持ちもある。

 

――あのエマちゃんが、あそこまで冷徹に、淡々とさばけるなんて。

――術を罠と気づいていたり、三匹が連携取って攻撃仕掛けたり、ザコ愚魔じゃなかった。けどエマがものともしてねえ。

 

 こんなときに師匠は何しているんだ、とリンドウはスズメの方を見て苦笑いを浮かべる。そんなスズメの方だが、携帯電話にメッセージが届いていた。

 

「あっ」

 

 コウマからだった。

 

『朗報』

『芳泉たち、初段昇格試験合格やってさ』

 

 

 

 

 ◆

 

 コウマは、ある男たちと3人で食事を取っていた。相手は、教育部の部長、御厨旺正みくりや おうせいと、警備部の部長、鳥羽嗣道とば つぐみちであった。

 

「……それでまあ、君がおすすめする芳泉くんとやらは警備部から引き抜かせてもらうつもりだが……」

「いや、それだけやない。あんたらのところにおる隠密行動課に配属させたってくれ」

 

 なぜそのことを、と尋ねる鳥羽に対し、コウマは「常識や」と答える。

 

「でも、それなら僕が呼ばれる理由がわからないよコウマくん」

 

 教育部部長の御厨がコウマに言った。

 

「御厨さん、あんたは俺が“信用”してる数少ない上層部の人間の一人や。どうも最近、愚魔狩界隈がキナ臭い。不自然なまでに姿を現し始めた真愚魔。そして真愚魔組織の摘発に燃える中枢部。何か画策されてる気ぃしかしいひんのやわ。考えたくはないが、裏切り者がおる可能性やってある」

「……俺にまで伝わってしまうのは良いのか?」

 

 鳥羽が尋ねる。

 

「あんたにそんな度胸はあらへん。せいぜい釘塚やらの言うとおりに動くくらいやろ」

 

 図星であるのが悔しく、何も言い返せない鳥羽。

 

「まあ、俺が怪しんでるって言うのは、あんたら2人だけの秘密にしといてほしいねん」

「わかった」

「いいだろう」

 

 コウマの携帯電話が鳴る。スズメからだ。

 

『朗報』

『エマちゃん、術をモノにしたわよ』

 

 コウマが画面を見てにやりと笑う。

 

「さて……本題や」

 

 コウマは次に、鳥羽の方を見た。

 

「例の釘塚が企みよる作戦部隊に、うちの助手と弟子をねじ込んでほしいねんけど、交換条件は俺の参戦。どうや?」

 

 釘塚以上の企みを感じた鳥羽だった。しかし、最強の愚魔狩の参戦など、願ってもない棚ぼたである。

 

「良いだろう」

 

 二つ返事で了承した。これにより、釘塚の画策する大規模作戦が大きく変わる――









――ことを、彼らはまだ知らない――




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