李夜伝

恋して、愛して、裏切られて散っていく。復讐、愛憎、悲恋の中華ダークロマンス
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おまけ 髪と因果

公開日時: 2022年12月3日(土) 00:46
文字数:431

 夜の荘園しょうえん長屋ながや

 農民たちと夏桑かそう夜糸やしがざこねしていた。

 みなつかれはて、死んだように眠っている。夏桑などは、があがあと大きないびきをたてている。

 夜糸だけは眠れずに、しきりと首をおさえていた。


「はあ。首が寒くて眠れない。これも春桃しゅんとうのせいよ」


 夜糸は爪をかむ。


「ううん。それだけじゃないわ。髪を切ることになったのも、もとはといえば日利ひりのせいね。全部あの子のせいだわ」


 


 夜、郊外こうがい永達えいたつのやしき。

 日利の部屋の前に、永達がやってきた。

 

白環びゃくかん、いるか? ひさびさに相手をしてやろう」

 

 部屋のとびらから、ちらりと日利が顔をのぞかせた。

 

「すみません。今日はちょっと」

「なんだ。私の好意をむげにするのか? それになぜ頭巾ずきんをかぶっている?」

「すみません」

 

 日利はすぐに扉をしめる。



 部屋の中で日利が頭巾をとると、彼女の髪はそられ、丸ぼうずになっていた。

 

「永達さまにも怒られたじゃない。もとはといえばお姉さまが『あれ』を私の髪の油にまぜたせいで丸ぼうずになるはめになったのよ。全部お姉さまのせいだわ……」

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