高校入学を期に一人暮らしをした俺は〇〇系女子を拾った

意外な場所で一人暮らしを始めた主人公の話
謎サト氏
謎サト氏

目が覚めると水着姿の零達が!

公開日時: 2021年2月7日(日) 14:45
文字数:4,024

「恭……」

「恭君……」

「恭ちゃん……」


 不快な視線を感じ、目を開け、右を見ると水着を着た零、闇華、東城先生がいた。何かの間違いだと思い、左を見ると……


「恭クン……」

「グレー……」

「灰賀殿……」

「恭くん……」


 飛鳥、茜、盃屋さん、琴音がいた。俺の部屋の場所は飛鳥と茜しか知らないから零達を連れて来たのは彼女達で間違いなく、加えてカギを持っているのは飛鳥しかいない。これらの事を踏まえると入室させたのは飛鳥だ。今問題とすべきは何で全員水着を着て俺を取り囲むように立っているかだ


「何で全員揃って水着来て俺を囲んでんだよ……」


 零達がいる事に対し、特に言う事はなく、どちらかと言えば何で水着を着ているのかという方が気になる


「何でってそんなの恭に覗き趣味があるって知っちゃったからに決まってるじゃない! モニターまで用意しちゃって!」


 零の一言で全て察した。モニターは零達の行動を監視し、ドッキリを未然に防ぐ為にホテル側が用意したもの。本来の目的は零達を監視するためで覗き目的ではなく、事実俺は不要な場所の映像は切っていた。ホテル全体の様子を見られるから覗き目的と言われても反論は出来ないんだけどな


「それはお前達がドッキリを実行するとホテルに損害を与えるから未然に防いでほしいって監視の為にホテル側が用意したものだ!」

「そうなんですか?でも、やろうと思えば恭君は私達のお風呂やトイレを覗けましたよね?」


 闇華の言う通りやろうと思えば風呂やトイレを覗けた。それをしなかったのは単に彼女達が柔肌やわはだなど家で散々見ていて見慣れているからだ


「確かにやろうと思えば覗けたけどよ、家で常日頃から水着ありとはいえ一緒に風呂入ってんだぞ?今更風呂なんて覗く意味ないだろ」


 慣れとは恐ろしいもので、未知なるものも最初はドキドキしたりワクワクする。それも見慣れてしまえばどうという事はなく、トキメキのようなものは感じなくなってくる


「それって恭ちゃんにとって私達には女としての魅力がないって事?」


 悲しそうな表情で問いかけてくる東城先生は今にも泣きそうだ。誰も女としての魅力がないとは一言も言ってないんだけどなぁ……


「魅力がないとは一言も言ってないだろ?藍ちゃん達は十分に魅力的だ。油断したら襲ってしまいそうになるくらいには」


 慣れたとは言っても俺だって男子高校生。美女、美少女に誘惑されると理性などあっという間に吹き飛んでしまうお年頃なのだ


「そ、そう……それならよかった……」


 顔を赤らめ安堵の息を吐く東城先生だが、一つ言わせてくれ。襲うって聞いたら女性側は嫌がるのが普通なんじゃないのか?


「襲うって言われたら女性は嫌悪感をあらわにするのが普通なんだけどなぁ……」

「恭クン、私達はキミに女性として見てほしいんだよ。女として見てほしい相手から襲いたくなる程魅力的だなんて言われたら喜ぶに決まってるよ」

「私達ってそれは盃屋さんも入ってんのか?」


 自分で言うのもなんだけど俺は盃屋さん以外の女性陣からは好意を持っていると伝えられている。しかし、盃屋さんからは何の告白も受けていない。というか、ちゃんと話した事も数える程度だから彼女がどんな人なのかすら分からない


「当たり前でしょ?」


 零、何が当たり前なんだ?


「いや、当たり前と言われても困るんだけど?」


 何一つとして聞いてない俺からすると当たり前でしょ?と言われても困るだけだぞ、零


「恭……、どんだけ鈍感なのよ……」

「鈍感って俺が盃屋さんと話したのなんて数えるくらいで内容だって事務的な事しかないだが……」


 なんて言っても話したのなんて盃屋さんがここへ入居した日に何があったのか、何でこんな事になったのかって話をしただけで恋バナとか突っ込んだ話は何一つしていない。それよりもドッキリの元ネタとホテル側が被った損害が何なのかを教えてくれねーかなぁ……


「そうだったかしら?まぁいいわ、その話は真央本人から直接聞きなさい」

「分かったよ。それより、今回のドッキリの元ネタって何なんだよ?」


 盃屋さんの話は後で聞く事にし、今回のドッキリの元ネタとホテル側が被った損害に話題を移す


「元ネタは超人ドラゴンって特撮ドラマよ」


 超人ドラゴン……聞いた事ないな。そもそも俺は特撮に対してあまり関心がない


「超人ドラゴンねぇ……。まぁ、それについては興味ないから別にいい。それよりもホテル側が被った損害の方が重要だ」


 ドッキリの元ネタなどキーワードさえ聞いておけば後でいくらでも調べられる。今重要視すべきは零達がドッキリを実行した事でホテル側がどんな損害を被ったかだ


「損害って言っても電話代がバカみたいに掛かったってだけよ?」


 悪びれる様子もなく言う零。電話代がバカみたいに掛かっただけって……何したらホテルのオーナーが危険視するほどになるんだよ……


「何したらこんなデカいホテルのオーナーが危険視するほどの電話代がかかるんですかねぇ……」


 小さなビジネスホテルもだけど、電話なんてフロントにあるものと客室にそれぞれ置いてあるもの。市それぞれの数を合計すると台数など計り知れない。特にこのホテルみたいに東側と西側に分かれているホテルなんて部屋の数が多いからだ。そんなホテルのオーナーが危険視するほどの電話代……何に使用したんだと小一時間ほど問い詰めたくなる


「何したらって、ドッキリ開始の合図にホテルの各所から色んな部屋や売店に電話掛けただけよ?」


 掛けただけよ?って……詳しい事は分からないけど、それじゃあ電話代も掛かるわな


「アホかよ……」


 たかが高校生のクソガキをビビらせる為だけにホテル全体と今回この旅行に参加している奴全員を巻き込むだなんてアホとしか言いようがない


「アホって……、恭、アタシ達はアンタを驚かす為に必死になって考えたのよ?それをアホだなんて酷い……」


 大ホール同様、俺が裏切ったみたいな雰囲気の零。しかし、驚かされる側の俺からすると手の込んだものほどつまらないものはなく、呆れるしかない


「こんな手の込んだ事しなくても俺がビビってる姿が見たいなら普通に驚かせりゃいいだろ」


 普通なら部屋入ろうとして中からお化けの面を被った人が飛び出してくるといった軽いドッキリを仕掛けるものなのだが……


「だ、だって、普通にドッキリ仕掛けても恭は驚かないと思ったんだもん……。アタシ達の水着姿見ても動揺しないし……」


 零さん?それは常日頃から貴女達の水着姿を見慣れているから動揺しないだけなんですよ?


「常日頃から水着着用で一緒に風呂入ってりゃ同様なんてしねーよ。それと何着ても似合うって思ってるからってのもあっけどな」


 今のは紛れもない本心で嘘偽りはない。実際、零達の水着姿は見慣れているし何着ても彼女達なら似合うと思っている。と、零達限定で言うなら日頃から見ているから慣れているだけなんだけど、茜と盃屋さんに関して言えば人気声優の二人の水着姿はマンガ雑誌とかに掲載され、現に何回か目にした事があり、こちらも今更だ


「そ、そう……、な、ならいいわ……」


 てっきり怒るかと思っていた零は真っ赤な顔をし、俯く。俯いたのは零だけじゃなく、闇華や琴音、人気声優の二人までもが零と同じ状態。たかが一人の男子高校生に褒められたのがそんなに嬉しかったんですかねぇ……


「それはそうと、早く着替えてくれ。そろそろ本当に襲いかねない」


 見慣れているのと欲情を抱くのは別問題で零達の水着姿は見慣れている。そうは言っても欲情というか、劣情を抱かないのは全く別でこれ以上彼女達の水着姿を見ているとこう……な?


「分かったわよ。その言葉に免じて着替えてきてあげるわ」


 そう言うと零から順番に着替えるべくトイレに入っていった。その間、俺はぼんやりと天井を見て過ごし、途中、由香がパソコンを持って乱入するというアクシデントがあったものの、それも穏便に済み、現在────────


「またゴミを掴まされたか……」


 俺は自身のパソコンで二次創作を読み漁り、零と闇華はというと……


「これのどこがゴミなのか具体的に説明してほしいわ」

「ですね、私達には普通の小説にしか見えません」


 俺の膝上にいた。琴音、東城先生、由香、盃屋さんはスマホを弄り、飛鳥と茜はスペースウォーでレベル上げ。そんな中、何で零と闇華は俺の膝に乗ってる?おかしくない?


「零と闇華が何で俺の膝に乗っかってるんだよ……」


 現在読んでいるのは『ボッチの俺にハーレムなんてあり得ない』というラノベの二次創作作品。いや、二次創作っていうよりヘイト創作と言った方が正しいか。とにかく、素人が書いた小説なんだけどよ


「そんなの恭と少しでもくっ付いていたいからに決まってるじゃない」

「そうです。それで?この小説の何がゴミなんですか?」

「理由が単純すぎる……まぁ、いい。世界人権宣言については中学で習っただろうから名前だけは聞いた事あるよな?」


 今読んでいる作品の何がゴミなのかを説明する前に零と闇華の知識がどこまでなのかを確認しなきゃならない。二人の過去が過去なだけに中学に行ってたかどうかすら怪しく、知らない可能性が無きにしも非ずだからだ


「それくらい知ってるわよ。1948年の12月10日に賛成48票、反対0、棄権8で採択されたものでしょ?」

「世界人権宣言は、すべての人民とすべての国が達成すべき基本的人権についての共通の基準で世界の人権に関する規律の中で最も基本的な意義を有するものですよね?それくらい知ってます! もしかして恭君は私達の事バカだと思ってるんですか?」


 中学でいつそれが決定したか触り程度には習うから知っているだろうけど、零と闇華が何年の何月、賛成、反対、棄権の票数と内容まで知ってるとは思わなかった。


「バカだとは思ってないけどよ、ちょっと具体的に知り過ぎない?」

「アタシ達だって勉強くらいしてるのよ」

「将来の為に勉強するのは当たり前じゃないですか」


 零と闇華が将来何になるのかは知らんけど、ちゃんと勉強してるんだな

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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