高校入学を期に一人暮らしをした俺は〇〇系女子を拾った

意外な場所で一人暮らしを始めた主人公の話
謎サト氏
謎サト氏

忽然と姿を消した零達はどうやら俺のアルバムを見ているらしいけど、意味が分からない

公開日時: 2021年2月7日(日) 23:20
文字数:3,441

 無事にアカウントを作るのに成功した闇華は飛鳥同様、チュートリアルを終え、順当にレベルを上げていった。三桁には到達しておらず、強い部類とは言い難く、まだまだな部分はある。それにしても零達やホテル従業員達はどこへ行ったのだろうか?と考えながらスペースウォーをプレイしていると……


「恭君、零ちゃん達、どこに行っちゃったんだろうね?」

「藪から棒に何だよ?心配しなくてもその内戻って来るんだろ」


 唐突に闇華が零達の行方を聞いてきた


「そうかな?もしかすると今頃危険な目に遭ってるかもしれないよ?」


 彼女の言うように今頃危険な目に遭っているのかもしれないのは事実。だが、ここは爺さんの関係者が用意したホテルで安全は確保してあるはず。危険な目に遭う可能性は比較的低いと思う


「そうか?零達がいなくなったのは気になるけどよ、どうせどっかに隠れているだけだろ?」

「それでも心配だよ……、探しに行った方がいいんじゃない?」

「探すって言われてもなぁ……どこ探せばいいんだよ?」


 探すと言うのは簡単だが、手がかりなもなく探すのは時間を無駄に消費する事に他ならず、効率が悪い


「うーん、ホテル全体?」

「あのなぁ……手がかりゼロの状態でこのデカいホテルのどこ探すんだよ?」


 ホテルの従業員然り、零達然り、ホテル内を探すと言われても手がかりはゼロ。そんな状態で捜索しても見つかるわけがない。見つけ出すまでに何時間掛かるか……


「ほ、ほら、えっと、例えば恭君が私達を集めた大ホールなら何か手がかりがあるかもよ?」


 取り繕うように言う闇華はどこか焦ってるようにも見える。俺をこの部屋から外へ出したい。そんな気がしてならない


「あそこに手がかりがあるとは思えないんだが……まぁ、行くだけ行ってみるか」

「うん!」


 闇華が何を考えてるのかは分からず、それを知る為には動くしかない。そう思った俺は彼女の提案を受け入れ、大ホールに移動する事にした



 部屋を出て大ホールに向かう途中、分かりきってはいたけど、ホテルの従業員や零達と会う事はなかった。そして、目的地である大ホールに着き、扉を開けると────────


「誰もいない……よな……」


 案の定、誰もおらず、殺風景な景色が目の前に広がっていた


「あ、あはは……、で、でも、零ちゃん達の手がかりはあるかもしれないから手分けして探そ?」

「だな。何か見つかるかもしれない」


 そうして俺と闇華は手分けしてホール内にあるであろう手がかりの捜索を開始した


「こんな何もねー場所に手がかりなんてあんのかよ……」


 手がかり捜索開始から早々に不満が漏れる俺。このホールの使い道などバイキング会場かイベント会場しかないのは火を見るよりも明らか。そんな場所に零達の居場所を示す手がかりなんてあるはずがない


『きょう~、手がかり探すよりも霊圧探知した方が早そうだからお母さんがちょちょいとやってみよっか?』


 今まで黙っていたお袋が口を開く


「頼んでもいいか?手がかり探すだなんて面倒な事したくねーし」

『任せなさい! って言いたいんだけど、その前にきょう、闇華ちゃんどこ行ったんだろ?』

「は?闇華なら零達の手がかり探してるだろ?」

『でも、どこにもいないよ?』

「そんなバカな」


 ホール全体を見渡すと闇華の姿はなかった。こんだけ広いスペースだから出て行ったとしても気づきにくい。だが、闇華が俺に声も掛けずに出て行くだろうか?


『ね?いないでしょ?』

「ああ、いねぇな」


 ホテルの従業員が消え、零達が消え、闇華が消えた。そう言えば爺さん達はどこに行ったんだ?ホテルの従業員と鉢合わせしてないけど、爺さん達とも鉢合わせた記憶がない


『霊圧はあるから生きてはいるんだけどね~』

「それって零達だけじゃなくてホテルの従業員達もか?」

『うん~、ついでに言うと恭弥達もだよ~』

「それなよかった。つか、親父達も消えてたんだな」


 零達とホテルの従業員が生きているのを知り、ホッとする。親父達もどこかに消えてしまったのはお袋の言葉で初めて知った


『恭弥達とはあんまり会わなかったからきょうが知らないのも無理はないよ~』

「その口ぶりだとお袋は知ってたみたいに聞こえるんだけど?」

『うん~、知ってた~』


 知ってたんかい!


「それなら先に言えよ……んで?闇華達はどこにいるんだ?」


 突っ込みを入れるのが面倒になった俺は闇華達の居場所を聞く。一連の失踪(?)事件が爺さんあるいは零達のドッキリだとしたら目的は俺の反応を見て楽しむ事。そうじゃなかったら誘拐して身代金でもせしめようって魂胆なんだろうが、それなら真っ先に俺を始めとした子供を誘拐するはず。どちらにしてもアホみたいなのは確かだ


『ん~っとね、このホテルの地下だよ』


 このホテルに地下なんてあったのか……。初耳だ


「このホテルに地下があるだなんて初耳だぞ」

『お母さんも霊圧探知して初めて知った~』


 霊圧探知便利だなオイ!そのお陰で闇華達の居場所を突き止められたからいいんだけどよ


「霊圧探知便利すぎるだろ……。ちなみに、地下にいるだろう闇華達の様子って分かるか?」

『うん……、でもきょうは知らない方がいいと思うな~』


 俺は知らない方がいいと思う?零達は人に言えないあるいは人に言う事をはばかられるような事をしているのか?


「俺は知らない方がいいって事は人に言えない事か言う事を憚られる事でもしてるのか?」


 仮にそうだったとしたら一刻の猶予もなく、最悪の場合、彼女達に新たなトラウマが増える事になる


『う~ん、人に言えないとかじゃないんだけど……その……、知ったらきょうは絶対に怒ると思うから知らない方がいいかな~なんて……』


 人に言えない事ではないけど、俺が知ったら絶対に怒る?それが何なのか分からない


「怒るかどうかは聞いてから決める。とりあえず話してくれ」


 ゴールデンウィークの一件は除外するとして、これまでにだって普通の人間ならブチ切れる事間違いなしだって事は何度かあった。それでも俺は怒りすらせず、冷静に対処してきた。今更何を聞いたって怒りはしない


『う、うん、で、でも、怒らないでよ?』


 やけに引っ張るな……。一体何だってんだ?


「怒らねーよ。それより、何をしているのか話してくれ」

『う、うん、れ、零ちゃん達はきょ、恭弥主催できょうの幼少期のアルバムを見てるみたい……』


 この瞬間、空気が凍り、俺の中で何かが切れた。誤解のないよう言っとくけど、断じて昔の事を暴露されてブチ切れたとかではない


「そうかそうか、アイツら、俺がガキの頃のアルバムを見てるのか……」

『も、もっと言うと恭弥がきょうのオネショ写真をスライドショーで流してるんだけど……、それを肴にきょうが子供の頃のアルバムを見てるよ』


 クソ親父をどう始末してやろうか?オネショ写真などこの世で最も見られたくない代物で当人からすると写真に収められたくない瞬間だ


「そうかそうか、アイツら……、どう料理してやろうか……」


 いきなり姿を消したと思ったら親父主催で俺の黒歴史を公開している。未だかつてこれほどまでにふざけたイベントがあっただろうか?いや! ない!


『きょ、きょう?もしかして怒ってる?』


 恐る恐ると言った感じでお袋が尋ねてくる。怒る?俺が?何を言ってるんだ?俺は怒ってなどいない。ただ、あの連中を探す気は失せたけどな


「怒ってねーよ。それより、ここから零達に向けて霊圧を当てるのって出来るか?」

『う、うん、今回は地下だから地面に向けて霊圧を放出するだけだけど……、もしかして零ちゃん達に霊圧ぶつける気?』

「もしかしなくてもそうする気だ」


 ドッキリといい、今の事といい、零達はやり過ぎた。イタズラが過ぎた子供には罰を与えるのは大人として当然の行為だ


『や、止めた方がいいんじゃ……、ほ、ほら、ホテルの人達もいるわけだしさ!ね?』


 なるほど、ホテルの従業員も一緒になって人の黒歴史を閲覧しているのか……。それは尚更やらないわけにはいかない。その前にお袋を黙らせるか


「なぁ、お袋」

『な、何?』

「俺はお袋と親子じゃなかったら結婚を前提に付き合いたいと思ってる」


 突然のカミングアウトにより、お袋の顔が一気に赤く染まる


『そ、それって……』

「愛してる。世界中の誰よりも」

『きょ、きょう……、お、お母さんも愛してるよ……』

「じゃあ、あのアホ共に霊圧当てるの黙って見ててくれるよな?」

『うん……』


 ほんのり頬を染めたお袋はそれ以上何も言わなくなり、俺は死なない程度の霊圧をぶつけ、部屋に戻った。補足として言うと、帰ってきた零達はやつれきってた。

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