高校入学を期に一人暮らしをした俺は〇〇系女子を拾った

意外な場所で一人暮らしを始めた主人公の話
謎サト氏
謎サト氏

闇華と飛鳥がメイクをしたようだ

公開日時: 2021年2月5日(金) 23:27
更新日時: 2021年3月6日(土) 22:27
文字数:4,048

「とりあえずやりたい事ある人! 挙手!!」


 双子がやらかしたイタズラによって俺が絶叫してから早二時間。寝起きだった零達の誤解を解き、朝食を済ませた俺達はこれからどうするかを話し合っていた


「恭ちゃん、やりたい事以前に私との約束忘れてない?」


 東城先生との約束……それって東城先生がここに入居した日に言ってた荷物を取りに行くってやつか


「藍ちゃんの実家に荷物を取りに行くってやつだろ? 忘れてないぞ。ただ、荷物がどれぐらいあるか分からなかっただけで」


 実際問題東城先生の実家に荷物を取りに行くという事は忘れてない。が、ここに引っ越すと言っても過言じゃないのでどれぐらいのものを運ぶのか分からない


「布団や食器はあるから私の荷物と言ってもスマホの充電器や私のノートパソコン、後は衣類ぐらいだよ。荷物の量にしてキャリーバッグ一つ+αだね」


 化粧品の類は持ってこなくていいのか?とは思ったが、そんなの衣類と一緒にキャリーバッグに放り込んでしまえばいい。それに、化粧品の事を聞いて女性陣にキレられたくない


「わかった。じゃあ、俺と藍ちゃんは荷物を取りに東城家に行くとしてだ。他の連中はどうする?」


 俺と東城先生は荷物を取りに東城家に行くとして、その間他の連中はどうする? ただ何もせずボケーっと待っていても暇なだけだ


「私は恭君に着いて行こうと思います。藍さんが恭君に妙な事をしないかどうか見張るという事もありますが、女性という事で荷造りのお手伝いが出来ると思いますので」


 闇華は同行希望か……


「闇華は俺達に同行希望として、他は? 零達はどうするんだ? このまま家にいるのか? それとも、各々で遊びに行ったりするのか?」


 闇華は付いてくるとして、零達はどうするんだ?


「藍の荷物を取りに行くのはいいとして、恭、アンタは一つ大事な事を忘れているわよ?」

「大事な事?」

「琴音のスマホの事よ! 飛鳥と双子はどうか知らないけど、琴音はスマホどころか持ち歩き可能な連絡手段を持ってないのよ? 買う買うって言っておきながら未だに買ってないじゃない!!」


 そういえばそうだった。琴音のスマホは未だに未購入のままだった。入学式や東城先生の入居、飛鳥達の救済とかいろいろあって忘れていた


「あー、今日に至るまでいろいろあったから忘れてた」


 学校外だと入居者が一気に四人も増え、学校内のだと校舎が燃え、爺さんが新しい校舎を用意してくれた。新校舎に通えるのがいつになるか俺は知らんけど


「アンタねぇ……」

「悪かったって! んじゃ、藍ちゃんの実家に荷物を取りに行った後で琴音の新しいスマホを買いに行くってのはどうだ? 話によると荷物はそんなに多そうじゃないようだしよ」


 荷物を取りに行くだけだから一日も掛からないだろう。東城先生が両親に余計ない事を言わなければ


「それじゃ私も付いてっていい? 恭クン」


 飛鳥が来るのは問題……ないのか? 一応、教師と生徒だからなぁ……


「俺は別に構わないが、こればかりは藍ちゃんに聞いてみないと何とも言えない」


 友達とか知り合いなら実家に行くのは問題ない。しかし、同じ家に住んでるとはいえ曲りなりにも教師と生徒だ。生徒が教師の家に転がり込んだ事が学校にバレたら面倒な事になる


「東城先生! 私も恭クンと一緒に付いてっていいですよね?」

「いいけど、学校みたいに男の格好じゃなくて女の子の格好して。恭ちゃんは幼い頃から知ってるからいくらでも言い訳出来るけど、飛鳥の時は言い訳考えるのめんどくさいから」

「分かりました」


 意外な事に飛鳥は女の格好するならという条件付きで同行を許可された。つか、言い訳めんどくさいなら断ればいいのに


「飛鳥と闇華、恭は藍の実家に同行するならアタシは留守番でもしてるわ。琴音と碧、蒼はどうするの? 恭達に付いてくの?それとも、ここで留守番してるの?」

「私は零ちゃんと一緒にお留守番かな。やる事もあるから。それに、恭くん達がいるなら問題ないと思うし大勢で押しかけても迷惑だろうからね」

「そう。琴音は留守番ね。碧と蒼は?」

「アタイは蒼とイチャイチャするために女湯に行くから行かねぇ」

「ボクも遠慮させてもらいます。姉ちゃんを全力で愛するのに忙しいですし、恭さんと一緒にいたらヘタレが移りますので」


 零達が留守番を買って出てくれたのは助かったとして、蒼、お前はいちいち俺に毒を吐かなきゃ気が済まないのか?


「零達は留守番か。んじゃ、俺達は着替えたら部屋の前に集合な」

「「「分かった」」」



 東城先生の実家に行く組は各々着替えるため一旦離れた。この部屋の良いところは元映画館だけあって部屋の隅っこに行けば着替えが丸見えという状況を避けられるところだ。後は電気を点けたままで寝てもさほど眩しくないってところかな



 着替えが終わった俺はいち早く部屋の前へ。


「そういえば女って化粧の時間とかあるからかなり時間掛かるんだったな」


 今更になって女性には化粧の時間があるという事を俺は忘れていた。つか、家に化粧道具ってあったか?俺は見た事ないけど


「すっぴんでも素で可愛いから別に化粧しててもしてなくても同じなんだけどな」


 芸能人はもちろん、最近じゃ声優も顔出してるから声優にも言える事なのだが、別に化粧しててもいい。ただ、すっぴん晒された時に何て言われるか予測出来ないから油断大敵だ


「闇華達の化粧か……」


 東城先生の化粧顔は……あれ?学校で会ってる顔と家にいる時の顔大して変わらなくね?ナチュラルメイクか?それとも、すっぴん?どっちだ?闇華は……学校の校則で化粧禁止だったら化粧は出来んわな。飛鳥が女の格好して俺と出かけるのは初めてだからいいや


「うん。闇華達の化粧については触れないでおこう。期待して化け物が出てきたら目も当てられない」


 闇華や零、飛鳥が過去にどんな生活を送って来たか、どんな環境にいたかは知らない。俺は拾った時の彼女らしか知らないんだから。だから闇華達の化粧にはこれ以上触れない。触れたら最後どうなるか……想像もしたくない



 闇華達を待つ事五分─────


「お待たせ。恭ちゃん」


 最初に出てきたのはバッチリメイクした東城先生だった。


「そんなに待ってませんよ。それよりも闇華と飛鳥は?」

「それが……」

「それが? それが何です?」

「アレ」


 東城先生が指差した方を見ると扉の影に隠れた闇華と飛鳥がいた


「何で闇華と飛鳥は隠れてるんですか?」

「恭ちゃんに少しでも可愛く見られたいって言った二人に私がメイクしたんだけど思った以上にいつもと違うから戸惑ってるのと恭ちゃんに笑われたらどうしようって不安になってるみたい」


 戸惑うのは解らんわけではない。初めての事で不安があるのも解る。それでも隠れてたらリアクションのしようがない


「隠れてたらリアクションのしようがないんですけど……」

「うん。私も恭ちゃんは絶対に笑わないって言ったんだけど二人とも不安がっちゃって」


 元がいいのに何を不安になる事があるのやら……


「素材がいいのに何を不安になってるのやら……」

「女の子はみんなそうだよ。特に初めてメイクした時はね」

「ったく、出てこないなら俺から見に行くまでだ」


 隠れている闇華と飛鳥の顔を拝みに扉の方へ向かう


「おら! 隠れてねーでさっさとしろ!」

「「きゃっ!」」


 俺がいきなり顔を出した事で驚いた闇華達は倒れこんでしまった


「せっかくメイクして二人とも可愛くなったんだから見せなきゃ損だろ?」


 闇華と飛鳥の顔をまだ見てなかった俺だが、メイクした顔に自信がないと聞かされた手前可愛い事前提で声を掛けなきゃ『出たくない』『出ろ』の応酬になるだろうから一応、可愛いと言ってはみたものの……


「だ、だって……恭君は笑うじゃないですか!」

「そうだよ! 恭クンは絶対に笑うでしょ!?」


 普段俺の妻を公言している闇華とよく分らないが俺への好感度が異常に高い飛鳥。その二人がメイクしただけで自信喪失とは……普段の根拠なし自信はどこ行ったんだ?


「笑わねぇよ。もし笑ったら結婚は無理だが婚約くらいしてやるよ」


 元がいいからメイクして不細工になるだなんて事はない。婚約すると言ったのは闇華達が起き上がるキッカケを作ったに過ぎない


「「ほ、本当?」」

「ああ。本当だ。だからさっさと起きろ」

「「わ、分かった……」」


 手を貸そうと思ったが倒れこんでいる状態だったからそれはあえてしなかった。女性の扱いがなっていないと笑いたければ笑え。


「全く、メイクごときで大げ─────」


 起き上がった闇華達の顔を見て俺は言葉を失う。なぜなら……


「きょ、恭君、に、似合ってますか?」

「み、見つめてないで、こ、コメントしてよ! 恭クン」


 ナチュラルメイクをした闇華と飛鳥に見惚れたからだ


「そうだな……まぁ、アレだ。二人きりになったら襲い掛かりたいくらいには可愛いと思う」


 我ながら最低な褒め方だと思う


「恭君……」

「恭クン……」

「ほら、コメントしたんだからさっさと行くぞ。時間がなくなる」


 気恥ずかしさから俺はメイクで可愛くなった闇華と飛鳥の顔をこれ以上見る事が出来ず顔を背けてしまった。それだけ二人が可愛くなったという事だ



 闇華と飛鳥が恥ずかしがって出てこないというハプニング的なものがあり、時間は食ったが、俺達は無事家を出発。現在、熊外駅に来ていた


「藍ちゃんが引っ越してから実家に行った事ないけど今はどこにあるんだ?」


 幼い頃一緒に遊んだ事すら覚えてない俺が実家の現在所在地を聞くのは変だと思う。もっとも幼い頃一緒に遊んだのを覚えてないのは俺だけなんだけどな


「そういえば恭ちゃんは一度も来た事なかったね」

「ああ。何しろ幼い頃一緒に遊んだって事だって親父に確認するまで冗談かドッキリだと思ってたし、今まで親父に連れられて行ったのが遊園地とか映画館とかだけだったからな」


 もっと言うと爺さんの家もだが、それを話すと東城先生を含め、知られたくない過去まで話す羽目になりそうだったので言わなかった。多分、その知られたくない……いや、違うか。知ったところでどうにもならない過去もそのうち話す事にはなりそうだ


今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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