高校入学を期に一人暮らしをした俺は〇〇系女子を拾った

意外な場所で一人暮らしを始めた主人公の話
謎サト氏
謎サト氏

俺はトイレで意外な物を見つける

公開日時: 2021年2月5日(金) 23:29
更新日時: 2021年3月15日(月) 13:34
文字数:4,635

「何でこんなもんあるんですかねぇ……っていうか、よく今まで見つからなかったな……」


 電話で爺さんからこれここにあると言われ最初は言葉を失ったさ。電話を切った後でそんなバカなと思ったよ?思っても一応、探してみる事にした。本当にあるとは思わなかったけど


「よりにもよってこんなところに隠さなくてもよかったんじゃ……」


 事の始まりは爺さんに柔軟な思考を持てと言われ俺がそれに対して豊富な人生経験が必要なんだと返したところまで遡る





「柔軟な思考を持つには豊富な人生経験が必要なんだよ。それより、さっさと本題に入ってほしいんだけど」


 武装集団に学校を占拠され、爺さんの話に付き合ってる余裕のない俺は本題に入るように促した


『そうじゃったな。実はのう……そのトイレの掃除用具入れにある隠し扉の中にマシンガンが隠してあるって伝え忘れて電話したんじゃ』


 爺さんの話を聞いた俺は驚きで声が出なかった。いや、出せなかった。普通学校のトイレにマシンガンが隠してあると思うか?思わないだろ?電話口で爺さんが何かを説明してる声がするも俺の耳には全く届かなかった


『恭!』

「はっ────!?」

『話、聞いとったかのう?』

「悪い、聞いてなかった」


 学校のトイレにマシンガンが隠してありますよだなんて言われたら誰だって驚く。説明されても耳に入ってこないのも当たり前だ


『はぁ……しょうがないのう……もう一度説明するから今度はちゃんと聞いとるのじゃぞ』

「分かってるよ」


 爺さんは呆れたように溜息を吐く。おいこら、学校にマシンガンが隠されているって聞かされてこっちとらビックリしてんのに呆れるたぁどういう了見だ? あ?


『恭、お前が今いるトイレの掃除用具入れに隠し扉があり、マシンガンが隠してある』

「ああ、それはさっき聞いた」

『その隠してあるマシンガンじゃが、本物のマシンガンではなく電動エアガンじゃから目や耳といった人間にとってデリケートな部分を撃ちさえしなければ撃たれた相手はちょっと痛い思いをする程度で済む』


 マシンガンと聞けば危険な物だが、それが電動エアガンだと言われればほんの少しだけ気持ちが軽くなる。とは言ってもエアガンだって年齢制限があるから取り扱いには十分注意が必要だ


「はあ……とりあえず俺が今いるトイレの掃除用具入れにエアガンが隠してあるのは分かった。それで? そのエアガンは何丁隠してあるんだ?」

『……………老人のひ・み・つ♡』


 武装集団の前にこのジジイの大事な部分にブチかましたろうか?あ?


「もう一度聞くぞ? エアガンは何丁隠してあるんだ?」

『……………恭のいる男子トイレに一丁、女子トイレに一丁、後は各クラスと職員室に二十丁ほどじゃ』


 このジジイ……人の高校に隠し扉を作っただけじゃ飽き足らずその中にエアガンとはいえ銃隠すとかどんな神経してんだ?


「爺さん、俺の通う高校は通信制の高校であってサバイバル訓練をメインとした高校じゃないんだけど?」

『知っとるよ。まぁ、なんじゃ……サバイバル部を作った時に役立つかなぁと……』


 サバイバル部っつーか、この学校には部活動の類すらないんだけど?


「この学校には部活すらねーから。で? 本音は?」

『友人が会長をしているオモチャ会社から余ってる分を押し付けられて置き場所に困ったから隠した』


 余ってるなら販売しろよ!! 爺さんも爺さんで何でンなもん学校の校舎に隠してんだよ!!


「はぁ……学校の校舎にそんな物騒なモン隠すな」

『仕方なかったのじゃ……友人は孫に何丁かあげたとか言っておったがそれでも余った。社員にも持ち帰らせたがそれでもまだ余った。と言っておったからのう』


 それ以上の話は聞かなくても何となく結末が見えた。その友人が孫に何丁かエアガンをプレゼントし、社員達にも分け与えた。男の子がいる家なら子供に喜ばれ、夫婦二人きりだったとしても防犯面で役に立つ。それでも余り、爺さんに押し付けた。で、爺さんも爺さんで余したから星野川高校の校舎に隠したってところか


「何となく爺さんがエアガンを星野川高校の校舎に隠した理由は分った。で? このトイレの掃除用具入れに隠してあるのはいいが、隠し扉の目印か何かあんのか?」


 もう武装集団の事とかどうでもよくなってきた。将来の上司がとか、東城先生と飛鳥が俺の事を恭としか呼んでない上に灰賀は俺の他に由香だっていたのに迷わず俺を指名してきた時点で察した。


『扉になっとるところだけ形が違うからすぐに分かる』

「了解。もう一ついいか?」

『何じゃ?』

「今俺の学校に立てこもっている武装集団だが、アレって爺さんの部下か?」


 将来の上司と言われたが、俺は武装集団のメンバーになる予定はなく、婆さんの後を継ぐのなら教員免許が必要になる。となると爺さんの後釜しかない


『そうじゃが……何かやらかしたかのう?』


 やらかしたかのう? やらかしたどころか何で武装してしがない通信制高校に立てこもったかな?


「やらかしたどころの話じゃねーだろ。何で爺さんの部下が武装してしがない通信制高校に立てこもるんだよ?」

『ちょっとした防災訓練じゃ。センター長ちゃんとごく一部の教員には今日の事を伝えてはあるが、他の教員や生徒にゃリアリティを追及するために教えとらんのじゃが……』


 センター長と一部教員は知ってたのね……


「俺が今いるところに連れて来られる前に武装集団の一人が将来の上司とか、人生の先輩として早いうちに不測の事態へ慣れさせてやるとか言われたんだけど」


 防災訓練をするのはいい。それにリアリティを追及するのも勝手だ。だが、やるなら変なところでボロを出さないでほしい


『元・演劇部だったという三人を選んだつもりじゃったが……ダメじゃったか……』

「ああ。肝心なところでボロが出たからな」

『次からは気を付けよう。それより、そろそろ戻った方がよいぞ』

「ああ。分かってる。とりあえずエアガン探して戻るわ」

『そうしてくれ』


 俺は電話を切り、スマホをポケットへ戻す。そして……


「そんなバカな……」


 自分の思いを一言呟いた


「とりあえず掃除用具入れの中を探せばいいのか」


 個室から出た俺は隣の掃除用具入れを開ける。当たり前の事だけど中にはバケツや雑巾、ゴム手袋といったトイレ掃除必需品しかない


「整理整頓はしてあるものの……どこから探すかな」


 普通に考えて左隣は俺がさっきまでいた個室だから隠し扉がある可能性は非常に低い。で、反対側は……


「…………」


 反対側の壁に変なくぼみを見つけ、それがすぐに隠し扉だと確信した。まぁ、何だ?掃除用具入れの壁なんてちゃんと見る奴は壁マニアくらいだ。見つからなくても無理はないと思う


「分かりやすっ!」


 他の隠し扉もこんな風に分かりやすい作りなんだと思うと若干悲しくなる。突込みばかり入れてられないので俺は物は試しで壁のくぼみに手を掛け、手前に引いた。すると……


「開いちゃったよ」


 扉は簡単に開いた



 扉が開き中を確認したところで冒頭に戻る。で、現在────────


「学校に隠すにしては……アレだな」


 前の前にあるのは形だけ見ると普通のマシンガン。問題は色だ


「エアガンだとはいえハート柄はねぇだろ……」


 オモチャ会社は何でエアガンをこんなみょうちきりんな柄にしたんだろう?もしかしてウケ狙いか?


「これは一部マニアには売れても普通にサバゲ―楽しみたい連中には売れんわな。目立つし」


 ハート柄とかそういったファンシーな柄モノを否定しない。俺が言いたいのはサバゲ―とかそういった類の身を潜めたり、目立つのをあまり良しとしない遊びには不向きだって事だ。


「これ持って歩くの恥ずかしんだが……」


 柄はともかく、形は銃だからまぁ……うん。立てこもり犯も爺さんの部下だって分かったからまぁ……うん。説明は立てこもり犯三人にさせりゃいいか。あれ?


「今回は俺が説明する事ねーじゃん」


 自分で説明するのは面倒だ。授業を受けている時なんか特にそう思うが、人に何かを伝えるっていうのは非常に難しい。授業は語彙力がなくても教科書を見れば教師が何を伝えたかったかは何となく分かる。小道具がない状態での説明ってのは非常に面倒だけどな!


「爺さんからこの防災訓練? の終わり方聞いてねーけど……立てこもり犯の頭に銃口突きつければ終わるだろ」


 電話じゃ爺さんはこれを防災訓練と言っていたが、防犯訓練だという事に今更になって気が付いた。


「早いとこ戻らないと飛鳥達に文句言われそうだな」


 戻ったら戻ったで面倒になりそうだと若干憂鬱になりそうだが、戻らないと学校が終わらず家にも帰れない


「一時的に面倒な事に巻き込まれるくらいいっか」


 長期にわたっての面倒事は勘弁だが一時的な面倒事ならと妥協し、隠し扉にあったハート柄のマシンガンを持って職員室へ向かった




「えーっと……これは一体どういう状況だ?」


 職員室へ戻ると訓練が終わってみんな和気あいあいと喋っているだろう。そんなところに飛び込んだ俺はきっと質問攻めに遭うだろう。そう思っていた。実際は……


「早く金を詰めろ!! 人質がどうなってもいいのか!!」


 最初に来た奴等とは別の奴が人質を取って金を要求していた。ついでに言っとくが、目出し帽を被っていた爺さんの部下連中は全員それを取り、東城先生を始めとする教師連中、飛鳥と由香を始めとする生徒連中を守っているみたいだ。肝心の人質というのが誰かは分からん


「た、助けて……」


 俺は犯人の後方にいる。後姿しか見えないが、声からして人質は由香だと見て間違いないだろう


「この娘を殺されてぇのか!! 早く金を詰めろって言ってんだよ!!」


 後姿だけだから何を突きつけてるのか知らんが、一つ言わせてくれ。強盗するなら銀行行けよ!!


「わ、分かった! 金は詰める! だ、だから、生徒には手を出さないでくれ!!」


 由香に手を出させまいと犯人を必死に止めているのは男性教師。さて、俺はどうしようか? このまま隠れて犯人の頭を狙撃するか、それとも、犯人の頭に銃突きつけて有無を言わさずに発砲するか


「スコープねぇからなぁ……狙いがなぁ……」


 スコープがないと狙いが上手く定まらない。幸いなのは犯人の背が由香よりも高いって事だけで何等かの顔を隠すものは付けてるだろうから頭を狙ったところでってのが正直なところだ


「弾入ってるかとちゃんと動くかの確認だけすっか」


 エアガンは本来人に向けて撃ってはいけない。試し撃ちだってちゃんと空き缶か何かを的にしてやろう。今回は非常事態だから人に撃つけど良い子は真似しないでね! 射程距離と連射弾数が分からなかった俺は……


「背中だったら外す事なんてねーだろ」


 試しに背中を狙ってみる事にした☆ 爺さんはこのエアガンが電動だとは言ってたけどちゃんと充電してあるかとか言ってなかった。それも試すいい機会だ


「とりあえずいつでも隠れられるようにしてっと……」


 壁を背にし、犯人の背中に狙いを定める。


「発射!」


 狙いが定まったところで引き金を引く。モーター音と共に弾が発射され……


「イデデデデデデデ!!」


 見事犯人の背中に命中。それを確認した俺はというと────────


「充電はちゃんとしてあって威力はそこそこ。悪くない」


 命中した喜びを噛み締めるよりも充電されていた事やふざけた柄の割に威力が高かった事に感心していた


「今撃った奴誰だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 撃たれた犯人の雄たけびが響き渡る。ヤッベ、犯人キレちゃった!


「不意打ち食らったら切れんのは当たり前か」


 俺が犯人だったら間違いなく切れる。しゃーない、一先ず名乗り出ますか

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