――人は死んだら、鳥になる。
山奥にひっそりと存在する鴇村(ときむら)で、古くから語り継がれてきた伝承。
その言い伝えが忘れられていく代わりに、村にはもう一つの、甘やかな言い伝えが生まれていった。
――つがいのトキを目にした恋人たちは、必ず結ばれる。
村で暮らす少年、赤井渡(あかいわたる)と青野光(あおのひかる)。
二人にはそれぞれの想い人、真白(ましろ)つばさと緑川(みどりかわ)くうという少女がいて、青春を甘酸っぱく過ごしていた。
けれど、そんな青春が見せかけのものであることを、やがて彼らは知ることになる。
一つの命が鳥になって旅立っていく中で。
失った幸せとは、取り戻せるものだろうか。
失った心とは、埋められるものだろうか。
鴇村という鳥籠の中で、小鳥たちはひたすらにもがいていく。
この選択は間違いじゃないんだと、魂の奥底で叫びながら。
エンケージ計画。
これは魂を試す一週間の物語――。