期待と緊張した割には、もやっとした感じで終わった六月四日が過ぎ、その翌日。
今日は土曜ということもあり、アメリ以外の子は習い事です。
台所から持ってきたポータブルテレビにイヤホン挿して、昨日の国会を振り返るワイドショーを片耳で聞きながら執筆中。
そういえば、昨日優輝さんから送られてきたキャンプ場の写真を見せていただいたけれど、やはり主催者である彼女の高所恐怖症を考慮してか、「絶景かな、絶景かな」というものはなく、低地の自然あふれる物が多かったです。
彼女が仰るには、道具無しで楽しめるコテージ系のところもあるそうだけど。そういうところに行くのもオツかなあ。今度、打診してみよう。
意識をテレビに戻して番組はというと、やはりご意見番たちの間でも考えが別れているようだ。
私としては、まりあさんの仰るように、とりあえずそこは差し置いて話を先に進めてもらいたいのだけど、法律って一度制定するとおいそれとコロコロ変えるわけにもいかないから、改めて考えてみれば、どうしても慎重にならざるを得ないよねえ。
もっとスムーズに話が進むと楽観視していたけれど、意外なところでつまづいてしまったものだ。白部さんが考えられるように、やはり研究者にして当事者である彼女の招致と発言を待たないと、どうしようもないのかもしれない。
実際、先日の帰宅後、彼女に上司から声がかかったようで、資料とプレゼンの内容をまとめておいてほしいと言われたそうな。まだ招致の話は来てないけど、可能性としていつ声がかかってもおかしくない状況の模様。
国会は六月には終わるから、それまでには何らかの結論が出るとは思うけど、やはりむずむずするな。
そんな考え事をしながらも、すいすい進む作業。我ながら、ほんとに器用ですこと。
ちなみに、読み切りの執筆作業は現在中断し、連載のプロットをカチャカチャ打ち込んでるところです。読み切りのほうも進めなきゃいけないから何案も出す余裕ないけど、月曜の朝にはとりあえず真留さんに提出したい。
まりあさんとクロちゃんの化身、「ありあ」と「クク」の顔見世も終わり、あとは六人と三匹に増えたレギュラーを、どう回していくか。
史実みたいにバーベキューパーテイーじゃ、猫アメリたちの出番、なくなっちゃうからね。
優輝さんの化身「由加」の元ネタのキャラを尊重しつつ、話を練っていくと……やっぱり、お隣に集まって、猫同士の交流を中心にティーパーティーとかかな。読者さんが見たいのは、私たちより猫だからね。おもいっきり、猫と遊んでる話にしよう。
ククちゃんはまだ、この頃は人見知りだから、そこをアメリとミケちゃんの化身、「ミキ」ちゃんと仲良くなっていく感じに……。うん、展開が見えてきた。
アメリとミキちゃんが、二人がかりでククちゃんを毛づくろいしてあげるのなんか、尊くていいなあ。よし、盛り込もう。
よしよし。とっかかりさえできれば、ストーリー作りってのはスムーズにいくものよね。私、割とライブ感で話作るタイプだからな。
で、人間組でも……じゃらしが上手いのは、私、優輝さん、由香里さん、まりあさんか。それぞれの化身と、猫たちを戯れさせよう。
いいね、いいねー。すらすら進む。
「おねーちゃん!」
「ほい!?」
仕事に興が乗りすぎたもので、突如アメリに声をかけられてビックリ。
「お膝、乗っていい?」
「いいよー」
私の特技の一つに、右手だけでタイピングできるというのがある。なので、椅子を九十度ひねった変な体勢でも、文字で構成されるプロットならさほど問題なく書けるのだ。
いつものように椅子をひねって膝をポンポン叩き「おいで」と言うと、ちょこんと腰掛けてくる。アメリの体重とぬくもりが、心地良い。
こうしてると、猫時代のアメリを膝に載せている気分が蘇る。猫って、構って欲しいときとそうでないときの差が激しいから、猫時代は必ずしもこうすれば膝に乗ってくれたわけじゃないのよね。
ひたすらに人懐っこい今のアメリに慣れすぎて、当時の感覚を忘れないようにしないと。
左手でアメリの頭を撫で、右手でタイピングし、右耳でテレビ番組を聞きながらストーリーを練るという、聖徳太子もちょっとびっくりしそうなマルチムーブを、こともなげに行うワタクシ。
「アメリ、ミケちゃんたちと遊べないの平気?」
「だいじょーぶ! ご本読んでるのも楽しいよ!」
さらには、会話まで始めたり。
土日にほかの子たちが習い事をするようになってから、集まって遊ぶ機会が減って、寂しさを覚えてるんじゃないかと心配になる。アメリは、私がきちんと気をつけないと無理するきらいがあるので、ちゃんとサインを見逃さないようにしないと。
プロットをなるべく早く完成させてしまって、明日公園でともちゃんと遊ばせてあげたいものだ。入梅したら、公園使えなくなっちゃうからね。
ん。国会の話題も終わりか。当たり前だけど、人権法の話は次を待つしかないな。昨日白部さんが仰ってたように、国民の関心度でいえば優先順位はとても低いから、どうしても余った時間に審議という形になるし、その上で研究のことで揉めてしまっているのだから困る。
俎上に載りさえすればあっという間に話がまとまると思いこんで、みんなで気の早い祝賀会なんて開いたものだけど、見込みが甘かったなあ。
まあ、私が今第一に気を割かなければいけないのはお仕事だ。そして、アメリに穏やかで楽しい生活を遅らせてあげること。
ともちゃんと遊ばせてあげるためにも、お仕事さらにブーストして進めまっしょい!
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