神奈さんとアメリちゃん

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第三百八十四話 たまにはこんなのもアリでしょう

公開日時: 2021年10月17日(日) 21:01
文字数:2,193

 今日は二人で駅前ショッピング!


 せっかく駅前に来たのでってことで、お昼に「アールサイン駅ビル」のテナント、「角鶴製麺うどん屋」さんで、お昼をいただくことにしました。


 ここのおうどん、美味しいのよねー。


 アメリともども冷のぶっかけを頼み、付け合せに野菜のかき揚げをチョイス。これ、美味しいのよー。


「おねーちゃんと同じの食べるー。取ってー」


 アメリには位置が高いので、代わりに取皿に載せてあげる。


 お会計を済ませ、「ご自由にどうぞ」なネギと生姜を適量乗せたら、天つゆをかき揚げにかけ、お水を持って席へ。


 ふう、なんだか流れ作業のセルフサービスで忙しないのよね、ここ。まあ、まだ混んでないし、ゆっくりいただきましょ。


 まずはかき揚げ。うーん、甘くて美味しいわあ。


 アメリも同じように食べると、「おお~」と感心の声を上げる。


「美味しいね」


「うん!」


 おうどんも……うーん、美味しい! もちもちしてて、コシがあって。のどごしもグー! これで、おうどんだけなら三百円ちょっとなの、すごくない? 野菜のかき揚げと合わせてもワンコイン五百円しないのは素晴らしい!


 アメリも美味しそうに、おうどんをすすっている。良きかな良きかな


 こうして美味しく食べ終わり、ささっと「麗文堂本屋」さんへ。髪切ってる間、アメリ暇になっちゃうからね。


 アメリちゃん、歴史にも興味が出てきたようで、江戸時代のうんちく漫画をおねだりされてしまいました。気に入ったのね、江戸時代。


 お買い上げして店を出ると、時間もちょうどいいので「nana美容室」さんへ。


「いらっしゃいませー」


 入店すると、スタッフさんたちに愛想よく迎えられる。もちろん、私がひいきにしている、いつもの女性美容師さんもいます。


 アメリと声を抑え気味におしゃべりしながら、前のお客さんの終了を待つ。


 そして、私の番に。


「ちょっと時間かかるけど、いい子にして待っててね」


「はーい」


 買いたてほやほやの本を開くアメリちゃん。というわけで、着席。


 美容師さんと相談しながら、夏ということで、私としては思い切った短さにセットしてもらうことにしました。まあ、それでも肩にちょっとかかるぐらいの長さなんだけどね。


 洗髪とドライヤーの後は、ちょきちょきとハサミが入ります。


「そういえば、猫崎さん」


「はい、なんでしょう?」


 美容師さんに話しかけられたので、応える。


「娘さん……とお呼びしていいのでしょうか、噂の猫耳人間だったんですね。店内でも帽子取らないから、ずっと不思議に思っていたんですけど」


「あー、すみません。やはり、今までは内緒にしていたほうがいいかなって思ったんですけれど」


 三月末に帽子が飛び、四月初頭にテレビ出演した話をする。


「え! あれ猫崎さんだったんですか! 私、あれ見ましたよ! 感動しました~」


「あはは……思わず泣いたりしてしまいまして、お恥ずかしいです」


「いえいえ。ずっと秘密になさってたんですものね。私たちにもばれないようにして。ずいぶんご苦労なさってたんだなって思います」


 ハサミが前髪に移ったので、会話中断。


 セットが一旦終わり、鏡で具合を確かめる。


「相変わらずお上手ですねえ。文句なしです~」


「では、洗髪に移らせていただきますね」


 はあ~……美容院で一番気持ちいい時間の到来です。


 「かゆいところはありませんかー?」と問われながら、頭をわしわししてもらう。


 以前彼女に聞いたところによると、やはり洗髪にもプロならではの技があり、頭皮を揉んで、皮脂を絞るのだそうな。美容院で洗髪すると、実にさっぱりする理由はそれかー、と、うちでも真似するようになったものです。彼女ほど上手じゃないけどね。


 アメリは良くも悪くも髪が伸びないけれど、一度洗髪だけは体験させてあげようかしら? すっごく気持ちいいものねえ。


 でも、さすがの彼女でも、猫耳にシャンプーだの水だのが入らないようにうまく洗えるのかな、とちょっと心配になったり。


 なんて考え事してるうちに、気持ちいい洗髪タイムも終了。


 ドライヤーで乾かされた後は、ストレートアイロンをあてて、毛先を整えてもらう。


「お疲れ様でしたー」


 終了! うーん、猫崎神奈・夏モデル!


 お礼を述べ、お会計。


「ありがとうございました。またおいでください」


 深々とお辞儀される。


「アメリちゃーん、終わりましたよー」


「おお、おかえりなさーい」


 ぱたんと本を閉じる。ページが随分後ろのほうだったな。だいぶ熱中してたのね。


「良かったら、何かもう一冊買う?」


 店を出ると、思いつきを述べる。可愛い子には読書させよ……なんて格言はないけれど、あのペースで読んでたのなら、もう一冊ぐらい買ってあげたい。


「おお、いいの!? 欲しい!」


 愛娘もノリ気なので、再び麗文堂さんへ。


 アメリちゃん、どれにしようか随分悩んだ末に、宇宙の本に手を出しました。


「宇宙興味あるの?」


「わかんない! でも、なんか面白そー」


 ふむ。いろんな物事に興味があるのは、良いことです。では、これを買っていきましょう。


 あとはそのままビルを上がり、「ダイナー百均」で細々した物を買っていきます。


 アメリ、今回特にビビッと来るぬいぐるみがなかったようで。海産物ファミリーも、もうすごい大所帯だからねえ。増えなくて良かった……。


 「桜京ストアスーパー」で夕食の材料買っていってもいいけど、いつものスーパーに帰りがけに寄っていきますか。


 わざわざ駅前に来た割には、あまり派手に買い物しなかったけど、たまにはこんなのもアリでしょう。

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