インフルエンザにかかっていたこともあり、少し間があきましたが、引き続き書いていきます。
カッカッカッとチョークの音が教室中に響き渡る。『なにする?』の文字がそこそこの大きさで書かれている。
相談でというか、性格上の消去法というか、書いているのはみさとだ。
「なに書いてくの? ここ美術室だから消して帰るんだよね?」
田舎町の子供たちというのは、一つや二つの年齢差ぐらいでは上限関係は少ないと思う。それが大人になってからどう影響するのかはわからないけど、そもそも同級生が少ないので、それぐらいの関係になれなきゃ友達はできにくい。
「とりあえず、SNS始めようと思ってたんだよね。ハッシュタグとかつけて、町の風景とか色々とのっけてみようかなって」
「まぁそうだよね。最初だもんね。どこかで宣伝できるわけじゃないし、できることからコツコツとってことか」
すすきは美術室の大きな木造デスクに突っ伏して、窓からの景色を眺めている。
私は黒板に有名どころのSNSを何個か書いていく。
「そういうのを私が書くためにチョーク持ってるんだけど……」
あっ……そっか。私は書き終えてそっとチョークを置いた。
SNSはどこにするか決めた。どうやって運営していくのかも念密に決めた。三人のスマホからログイン出来るように設定して、朝の挨拶は私とすすきが、夜の挨拶はみさとが担当する。町の風景や、些細な一面などを撮影して、良いのが撮れたら投稿したりもする。
アイコンとヘッダーをどうしようかって話になったとき、ちょうど顧問の先生が様子を見に来てくれて、相談をしてみた。
こんな田舎なので、どこの高校なのか特定はもしかしたらすぐされてしまうかもしれない。制服が写ることでわかるだろう。高校の生徒数がそもそも少ないので、顔を出すか出さないか以前の問題だ。
活動自体はこの町の魅力を発信することなので、町がわかってしまえば唯一ある高校なんてもうここしかない。隠していてもいつかバレるなら最初から公でもいいじゃないかなっていう気持ちもある。それは親とか先生とか、他の生徒からの同意とか色々と必要なのかもしれない。その辺の許可を取れるまでは各自プロフィール欄を考えるということで初日の活動を終えた。
終えたとはいえ、帰る方向は三人とも同じなので校門を抜けて少しの坂を一緒に下る。山道とまでは言わないけど、両サイドは木々が生えていて空からの光は少しばかり遮られる。
「二人ともどう? 高校からの下校道は」
「どうって……知ってるでしょ。見てよこれ」
すすきは下っている途中に左側に見えるものを親指でグッと示した。そこにあったのは木造建築の小中学校だった。
「もう九年もこの坂下ってるんだし、なんも新鮮味なんてないよねー」
「それもそうだね」
みさとも同意する。
「二人が高校生になって、この坂も何か違う味味わえると思ったのになぁ」
私は両手を頭の後ろで組み、背中にスクールバッグをポンポンと当てながら歩く。
残念でしたー。そんな声が後ろにいる二人から聞こえる。
この辺りに桜は咲いてないけど、入学卒業シーズンが春を感じさせてくれる。
「春だね」
誰かが言った。それは誰が言ってもいい言葉で、通り過ぎる景色には目もくれないように、耳を通っては過ぎていっていい言葉だ。
だんだんと短くなっていっている気もするんですが、文字数はだいたい一話1500文字と決めていて、1200文字程度で1500文字前後か? と言われると怪しいですけど、無理に文字数長くするのも良いものが書けないので、無理しないようにしてます。
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