第一章 魔名なき者たち
第二章 千年路の果て
第三章 高らか響く
第四章 東西戦端
第五章 剣閃の向こうへ
ここではない何処か「居坂」。そこは、不思議な力「魔名(まな)」が人々とその生活に広く浸透している世界。
ある少女がいた。少女は「魔名」を与えられることがなかった。「魔名」を授けてくれる「名づけ師」を探し求め、少女は旅をする。
ある少年がいた。少年は「魔名」と記憶を奪われていた。少年は自身から奪われたものを取り返すため、奪った者への報復のため、旅をする。
ある客人(まろうど)の猫がいた。彼女は「居坂」に現出したときにはすでに別種の知識、知性、記憶を具えていた。自身の存在意義を自問しながら、彼女は旅をする。
円熟しきった「魔名」の世界。さまざまな者のさまざまな思惑で、大きな変革が起こりゆく。「居坂」の神話の時代の終わりに、翻弄され、成長し、いずれ台頭する、三者の物語。