カケルは走る。
走る。
走る。
ただひたすらに走る。
戦いきった仲間達の分も。
どれだけ走り続けたのだろう。
もうわからない。
両足の痛みは、すでに感じられない。
ちょっと油断すると意識すら飛びそうだ。
カケルの肉体は、ひたすらに水と休息を求めている。
それでも前へ!
足を止めれば、奪われるのはカケルの命だけじゃない。
ここまで共に戦ってきた4人の仲間達の命も失われる。
フトシ、ケイミ、ツヨシ、それにカオリ。
(みんなはオレに託してくれたんだ)
だから、足を前に。
一歩、一歩、一歩、また一歩。
ただそれだけを考えろ。
この地獄の道を、一歩でも前に。
そんなカケルに、閻魔王女が相変わらずのニヤニヤ顔でささやく。
「カケルく~ん、がんばるね。でも無駄だよ。キミに勝ち目はない。人間が鬼に勝てるわけないじゃない」
(うるさいっ! 鬼だろうが神様だろうが、オレは負けない!)
「もう足の感覚もないんでしょう? 疲れて、眠くて、お腹がすいて、喉が渇いて、とってもつらいんでしょう?」
(うるさい!)
「楽になりなよ、カケルくん」
「うるせぇー!」
叫ぶカケル。
(そうだ、オレはあきらめない)
足が動く限り――いいや、足が動かなくなっても前に進む!
みんながオレを信じてくれた。
だから、オレもオレを信じる。
絶対に負けない。
生きて、この地獄の世界から抜け出して、カオリ達と一緒にまた学校に通うんだ。
決意を胸にカケルは地獄の道を駆け続ける。
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