私はいつも7時半頃に目を覚ます。アラームはほどんど使ったことがない。普段は布団から出て顔を洗った後、服を着替えるのだけれど、今日は休日だった。布団に再度潜り込み、脇に置いてあった読みかけの文庫本を開く。最近好きになった作家さんの作品を、少しずつ集めては読み進めている。10時半頃に読み終わり、一息ついたと同時にお腹が空いた。冷蔵庫には卵が数個と、以前友人が来た時に置いていったレモンサワーの缶が二つしかない。「はあ、、昼飯買いに行くか」私は寝巻きをぬるぬる脱ぎ、近所のスーパーまで歩いていった。ブロッコリーと納豆、あとはレトルトカレーを買って、スーパーを出た私は、なんだか妙に夕暮れの気分になった。今はまだ正午にもなっていないはずだったが、私は確かに、あの何とも言えない物寂しさと、オレンジの空気を感じた。私の右斜め上に太陽はいた。ずいぶんと低い位置で、キラキラと輝いていた。

こういう時に誰かと一緒にいたくなるのは、その体温を求めているからだろうか。ちょうど、うちに帰ってすぐにこたつに飛び込んでぬくぬくしたくなるように。それとも私は、ここにきて、一人で生きていくことができなくなってしまったのだろうか。直截言ってしまえば、寂しくなっているのだろうか。この感情を少し前の私は、そこまで重視していなかった。そもそも、私の心の中にあったのかどうかも定かでない。とにかく私には関係のないことだろうと、どこかの誰かが感じるよくある感情なのだろうと、軽く考えていた。

それが今は大事に大事に、胸の少し下の、鳩尾あたりにぷかぷかと浮かべて持て余している。今の私は、この感情をどう扱えばいいのか分からなかった。初めて赤んぼうを抱くときの、あのぎこちなさによく似ている。何度も深く息を吐いて落ち着かせようとする私の身体は、苦しくて、またなぜか幸せそうであるような気がした。

私はそのまま、近所の骨董屋さんに向かい、来客用の湯呑みと自分用のをふたつ、新しく買った。

太陽が沈む