金鷲の雷槌~もしも最強の無法者が銀髪碧眼美幼女になったら~

金!! 暴力!! SEX!! の無法者が銀髪碧眼幼女に……!?
ひがしやま
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第一二話 陰キャ女子、一ミリタバコをふかす

公開日時: 2022年4月15日(金) 01:48
文字数:1,322

「……ッたく、世間知らずの嬢ちゃんの相手は疲れるぜ。考えてみりゃ、ああいうヤツは客として来なかったしな。純粋すぎるのも難儀なもんだ」


 ルーシの煙草は二メニー五メント。日本円に換算して二五〇円ほど。一七〇〇年代末期にしては喫煙にうるさい国だが、それでも一箱の値段は安い。二一世紀ヨーロッパだったら、その一〇倍の値段でもおかしくはない。

 だが、喫煙にたいする法律もできあがっているらしい。酒・煙草は一八歳未満が購入することはできない。その一方、一八歳になればマリファナは合法となる。また、エナジードリンクも一六歳以上でないと購入できないらしい。一八世紀にエナジードリンクがあること自体が不思議な話しだが、いつだかルーシがいったように、この国は「近未来異世界」だ。ある意味やりやすく、ある意味やりにくい。

 そんなわけで、ルーシは屋外の喫煙所へ入る。雲ひとつない天気だ。これでゴスロリファッションを着せられていなければ、さらに世界のよさを体感できたかもしれない。


「……はァ。どこまでが本当のオレなんだか」


 そうやって愚痴を漏らしていると、あたりにひとり女子がいることを確認する。明らかに一八歳以上ではない。一五~一六歳といったところか。

 おおきな丸メガネをかけていて、身長は一六〇センチほど。顔立ちは悪くないが、よくもない。ただし不気味な雰囲気がねっとりと漂っている。まず近寄りたくない人間だ。

 そんなわけで、声をかけることにした。尊厳を踏みにじられすぎてルーシもたいがいおかしくなっている。


「よォ、メンソールか?」


「……そうだけど」


「お……ワタシ、メンソールは吸ったことねェんだ。一本交換しようぜ」


「……良いけど」


「それとこれは友だちに」ルーシは三本彼女へ渡す。


「どうもありがとう」いまいち棒読みだ。


「じゃ、もらうぜ。……一ミリか?」


「そうだけど」


「喉のやられたおっさん以外吸わねェと思っていたが、ガキでも吸うんだな」


「ガキはお互い様だと思うけど」


 無視し、

「しかし、一ミリのメンソールって、ただ爽快感があるだけだな。煙草の味がしねェ。よくこんなの吸っているな」

 ルーシは勝手に文句をつける。


「……お子様にはわからないんじゃない?」


「そうかい……じゃあ、ワタシのやった煙草吸ってみろよ」


「……レギュラー?」


「ああ。王道だ」


 彼女は恐る恐るといった感じで火をつける。


 なんだ、結構ガキらしいところあるじゃねェか。


「…………ゲホゲホっ!? おえええ──!」


 ルーシは嫌味な笑顔を浮かべ、

「これじゃどっちがお子様かわからねェな?」

 唾を垂らしながら涙目になる彼女へいう。


「そ……んなこ……とな……い」


「無理するな。水飲んですっきりしろ」


 ルーシは近くにあった自動販売機で水を買い、彼女へ渡す。彼女をそれを飲み干し、もはや意地になりながらタール一二ミリの煙草へ向き合う。


「最初はふかしても良いんだぞ? 徐々になれていくもんだからな」


「いや……絶対肺に入れる……」


 結局、五分ほど彼女はもだえながら煙草を吸いきった。たいした根性である。


「すげェすげェ。じゃ、ワタシは行くが、最後にひとつ。名前は?」


「……メリット」


「ワタシはルーシだ。いつかまた会おう」


 こうしてふたりの少女は出会いを果たした。


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