あれから三〇時間。ルーシは目を覚ました。
隣にはヘーラーが寝ていた。ルーシはライターで彼女の髪を炙り、メンヘラ天使の悲鳴とともに生きていることを確認する。
「……生きているなァ。歯ァ磨いて風呂入って返信して、と。それで? メンヘラの梅毒はなんでこの部屋へ入ってきたのかな?」
「ルーシさんと添い寝したいなあって思って……。こんなかわいい子と一緒に寝られたら、ワタシもう死んでも本望ですよぉ……」
「一時間一〇〇万メニーで検討してやるよ。だが、金のねェ客は相手にしねェ」
「そんな殺生な!! ルーシさんをワタシ好みの幼女へ創り上げたのは──!!」
「天使って頭撃たれたら死ぬのかね?」
ルーシは近くに置いてあった拳銃をヘーラーの頭へ向ける。
「え、あの、まさかワタシのこと殺そうとは……?」
「この前もいったよな? 本当は死んでほしいくれェ恨んでいるってよ」
ヘーラーは一目散に逃げていった。
ルーシはため息をつき、ようやく新たな一日がはじまるので、喫煙・飲酒より先に首をゴキゴキ鳴らしながらなんとなく携帯を眺める。
「うーむ。ネクスト・ファミリーが侵攻を考えているという情報があると……。ネクスト・ファミリー? ……ああ、ELAでスターリング工業と競っているマフィアか。クールのちいせェシマすらも切り取ろうとするヤツらだ。今度の幹部会で戦略を練るか」
そんな情報を見たあと、ルーシは学校用の携帯を見る。
「……あ?」
そして、ルーシの目を奪ったのは、メリットやメント、キャメルやアークのメッセージではなかった。
『ルーちゃん 助けて』
その悲壮な警報は、おしゃべりな獣娘パーラからのものであった。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!