ある村の神社に、御神木として、大いちょうが立っていた。
とても、立派ないちょうで、皆に崇められ、親しまれていた。
昼には、大いちょうの写真を撮りにきたり、神社に参拝に来た人々は、必ず大いちょうを見に寄った。
大いちょうの前には、看板が掲げられていた。
ー大いちょうには、触れないで下さいー
しかし、村の人々は、そのような看板がなくても、御神木として、崇めていたので、そのようなことをする者は、誰もいなかった。
夜中の2時になった。
近くの宿に泊まったツアー客の一部が、十数人が村に一軒しかない居酒屋で飲みに行った帰りに、神社の中にずかずかと入って来た。
そして、その中の1人が言った。
「触れないでって書かれてると、余計、触れたくなっちゃうんだよな」
すると、もう1人が反対した。
「駄目だよ。御神木だぞ。お前、少し酔い過ぎじゃないか」
その時、神主がふと現れた。
「大丈夫ですよ。どんどん触れちゃって下さい。祟りなど起きませんから。触れないと、剪定も出来ませんしね」
最初に、触れようと言った1人が得意気に言った。
「ほら、私の言う通りだろ。こんなことは、めったにない。ほら、皆も触れようぜ」
神主は、満面の笑みで言った。
「どうぞ、どうぞ皆様も」
そう言いながら、その男が触れると、手から、木に吸い込まれていった。
バリバリッ!バリバリッ!
「ギャー!」
皆は、その悲鳴を聞き、逃げようとしたが神主は、豹変し、1人1人木に押し込んだ。
バリバリバリバリバリバリッ!
「ギャーーー!」
しばらくすると、大いちょうは、更に大きくなった。
神主は、嬉しくなり、大いちょうをポンポンと触ろうとした。
しかし、手を慌てて引っ込めた。
「危ない。危ない。午前2時には、大いちょうに喰われてしまうから、触れては、いけなかったんだ。それにしても、良かったな。今夜は、大量の餌を得られて、これでまた、大きくなった」
すると、その時、神主に感謝するように、通り風が吹いた。
了
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