宇宙装甲戦艦ハンニバル ――宇宙S級提督への野望――

宇宙を駆け敵を撃つ! タヌキの砲術長と副官のアンドロイドの仲間と一緒に敵を倒して目指せS級宇宙提督!
黒鯛の刺身♪
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第八十二話……ルドミラ教国の大飢饉

公開日時: 2020年12月11日(金) 21:32
文字数:2,293

 古の熱核戦争の悲劇から、人類は再び人口が増加し始めていた。

 それに応じて、何故か戦乱も併発してしまうのである。



――宇宙の民たるものは常に戦をする。

 それは人口増加に食料生産が追い付かないためである。



 これはグングニル共和国のパウロ博士が提唱した説である。

 つまりすべての戦争は、すべての民に物資が届かないために起こるとされている。


 たしかにこの説はある程度正しかったのだが、それはより文明がすすんでない種族の排除や差別へと繋がった。

 足りないなら『分け与えられるべき種族は限られる』という考え方である。



 その考え方が最も強かった国家が、グングニル共和国より近年分離独立したルドミラ教国だった。

 彼等は平和と平等を唱えていたが、それは人種族に限られた話であり、他種族に対しては差別と弾圧で臨んでいた。



 新規に独立したルドミラ教国は、やはり産みの苦しみとして国家の予算が不足気味であった。


 よって、他の勢力が内乱等で食料不足に陥ったのをみて、食料の輸出にて早期の勢力拡大をする方針を打ち立てた。


 極めて短期にて食糧増産を厳命されたブロンズ内務担当枢機卿は、各星系の他種族農家に対し指定された単一農作物のみを生産させることを命じた。


 種類割り当てと画一的な作物の生産を行わせることによって農業生産性を急激に引き上げようとしたのだ。

 さらには豊作時の余剰作物を農家から強制的に接収し、不足気味の外貨獲得手段として他勢力へ輸出することを政策として発表した。




――カリバーン帝国暦853年



 ルドミラ教国を大飢饉が襲う。


 農作物に対する未知の病が発症したのである。


 経験に培われた適正農地を無視した画一的な管理農法は、不作を引き起こす農作物の病気を一気に拡大させた。

 また、余剰作物を収奪されることにより、やる気をなくしていた農家は土壌改良などを怠っていたために連作障害などを併発。

 星系単位の猛烈な大飢饉へと拡大していった。


 この農作物にたいする病原菌は、グングニル共和国の破壊工作だとする説もある。



 何はともあれカリバーン帝国、グングニル共和国、ルドミラ教国と3勢力とも全てが更なる食料不足となっていったのであった。


 ……人類は有史以来、天災だけでなく無理な政策と人為によって繰り返し激動の時代を迎えたのであった。




☆★☆★☆


「お昼ご飯の時間ポコ~♪」

「もうちょいやってから行こうよ!」


 私は惑星カイの農地にて汗を流していた。


 再びの予備役。

 ……しかも、今回は自分での申し出なので、早期の復帰はかなり期待薄であった。



 化石燃料を使う重機を動かし、畑を耕す。

 ゆっくりと、しかし確実に豊かな農地が切り開かれる。


 食料プラントによる栽培はエネルギーコストが掛かりすぎるため、水と空気がある惑星では、結局はこのような懐古的農法が今も主流である。



「冷たいですわ♪」

「奇麗なお水ポコ♪」


「みんな気を付けてね」


 近くの小川から水を引く。

 用水路の工事も平和であるからのんびり行えるわけで、治安が悪いとテロなどで度々爆破される羽目となっていた。


 こうして、惑星カイに緑の恵みの礎が築かれつつあった。




☆★☆★☆


【DATE】


名前・ヴェロヴェマ


提督レベル・AA+級

特定スキル・羅針眼

A級スキル・魔眼


乗艦・装甲戦艦ハンニバル

階級・准将

爵位・子爵

領地・衛星アトラス、衛星ガイア、惑星ベル・準惑星ツーリア

借地・惑星カイ


砲撃スキル・B+

ミサイルスキル・B

白兵戦スキル・C-

防御スキル・A


農業スキルB+

漁業スキルA

鉱業スキルA

造船スキルA+


…………。

……。




「あはは……、お前なんだよこれ!?」


 アパートに兄が様子見を兼ねてお見舞いに来てくれていた。

 私が先日入院したので、気がかりだったらしい。


 兄はPCのモニターを覗き込んで笑っている。

 最近農業やら漁業をしているせいで、砲撃などの戦闘スキルより内政スキルの方が上になってしまっていたのだ。



「まぁ、お前らしいわな……適性があるんじゃないか?」


「そ……そうかな?」


 兄はにんまり笑って褒めてくれた。



「……またな、元気でな!」

「ありがとう!」


 二人で昼食を摂った後、夕方に兄を駅まで送る。


 兄はいつも忙しい。

 ……仕事がデキル人ってやつかもしれない。



 実は、この現実世界の情勢もあまりよくないらしい。


 ……また、電気が止まらないといいなぁ。



 私は再びカプセルに入り、赤いボタンを押す。

 白い薬剤が噴霧され、意識をゲームの世界へ誘う。




☆★☆★☆


「アンナ殿! 星系ラム所属の軽巡洋艦プリンの艦長を命じる!」

「謹んでお受けいたします!」


「レーナ殿 星系ラム所属の軽巡洋艦ミルフィーユの艦長を命じる!」

「はっ! 喜んで!」



 二隻の新規就航艦艇には、件の少女艦長たちを配属した。

 その幕僚や部下たちも同出身者で固めた。


 艦は一つの家族であり、集落であったほうがやりやすいだろうとの配慮だ。

 もしかしたら、間違っているのかもしれないが……。



 また、その周りを固める護衛型駆逐艦4隻と補給用の中型輸送艦1隻を無事完成させ、我がラム星系はカリバーン帝国軍制の定員であった10隻を無事に就航させることに成功した。


 他、オムライスとジンギスカンも改修を施し、新型の航空巡洋艦として再就航した。




☆★☆★☆


ラム星系 ヴェロヴェマ艦隊

司令官ヴェロヴェマ准将


旗艦

〇装甲戦艦ハンニバル


艦長・ヴェロヴェマ


司令部付幕僚

・クリームヒルト(首席・副官)

・ポコリーヌ(砲術)

・クマ三郎(整備)

・ヨハン(内政)

・アルベルト王子(陸戦)


〇ミサイル型航空巡洋艦オムライス

艦長・マルガレーテ


〇突撃型航空巡洋艦ジンギスカン

艦長・バフォメット


〇軽巡洋艦プリン

艦長・アンナ


〇軽巡洋艦ミルフィーユ

艦長・レーナ


〇護衛駆逐艦4隻


〇中型輸送艦1隻

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