「怖いポコ~」
「真っ暗だメェ~」
謎の惑星に降下した場所のすぐ近くにあった洞窟に入ってみたハンニバル幕僚ご一行。
ちなみに、ハンニバルは偽装モジュールを展開させて、クレーターに隠してある。
この謎の惑星は、近づいてくる船に容赦なく攻撃する特性があった。
他星系なら無視したかもしれないが、ここは我が領地ラム星系である。
安全性を担保するために破壊するか、もしくは詳しく調査する必然性があったのである。
洞窟を徒歩でしばらく進むと、明るい一室に出た。
壁面は金属製の部屋で、なんとエレベーターがある。
「乗るポコ?」
「怖いですわね?」
「流石にやめておこう!」
「了解ニャ♪」
私がチキンなので、のらない判断をする。
ちなみに昔のゲームで、常識的にリスクを回避していたら、勇者的な行動では無いという理不尽な理由でゲームオーバーになった経験も実はあるのだが……。
岩肌の洞窟を段々と下に降り、さらに地下に潜る。
地下水と思しき水滴が上から落ちてきて、その水は冷たい。
再び明るい場所に出た。
壁面は再びの金属製だ。
「ドチラサマデスカ?」
……ヤバい!?
変な格好をした見張り型ロボットに見つかってしまった。
「お……お客様ポコ!」
「失礼イタシマシタ、イラッシャイマセ!」
……お? 好感触? ナイスだ、タヌキ砲術長殿。
「ナーンテ、言ウト思ッタカ?」
見張り型ロボットは背中からバルカン砲を取り出す。
……げげ!?
バルカン砲を構えようとするロボットに、耳を劈く衝撃音と共に3か所の破孔が開く。
「アニキ! なにちんたらやってんだ!?」
「早くいこうぜ!?」
「……あ、ああ」
後ろからアルベルト王子が8人の部下とともにやってきた。
……どうやらこれからは強襲的に進むらしい。
ロボットを破壊した後ろに、再びエレベーターがある。
「これに乗るポコ?」
「乗りますがね……」
「ただ、乗り方はこうやるんでさぁ!」
アルベルト王子はエレベーターをハンドガンで撃ちまくり、破壊。
破壊したエレベーターの空間を、ワイヤーをつたって降りる。
降りた下層部は機械制御室のような所だった。
ロボットさんがワイワイとお仕事をしている。
「問答無用メェ~♪」
今度はバフォメットさんが対戦車ランチャーを撃ちこむ。
皆で慌てて伏せる。
凄まじい爆風が起こる。
我々は装甲服を着ているから無事だったが、かなりの無茶である。
機械制御室と思しき部屋はボロボロになり、大方のロボットは四散し破壊されていた。
――BIBIBI。
サイレンがあたりに鳴り響き、非常事態をつたえる赤色灯が光る。
侵入者が来たとバレたのだ。
「バリケードを作るぞ!」
「任せてください!」
アルベルト王子の掛け声に、何故か元気に応じる副官殿。
こんな非常時なのに、嫉妬心が沸き起こるから不思議だ。
「提督も机を運んでニャ!」
「はいはい!」
そこらの机や椅子で、即席のバリケードが完成。
通路から押し寄せてくるであろう敵に備えた。
☆★☆★☆
「トーシロ提督は頭を下げていな!」
「了解!」
――DADADA!
頭上で銃声が響く。
私は銃撃戦が初めてなので、主に後ろで給弾係だ。
バリケードの中で射撃手より手渡された自動小銃に新規のマガジンラックを装填しなおし、再び渡す。
コレの繰り返しだ。
最初から戦場で巧い奴なんていない。
こうやって、実地で勉強していくのみだ。
「……、うっ」
謎のロボットとの銃撃戦で、アルベルト王子が手首を撃ち抜かれた。
赤い鮮血が装甲服に滲む。
「ポコリーヌ砲術長! 手当を!」
「まかせろポコ!」
アルベルトには瞬間冷凍スプレーが吹き付けられ、止血だけは瞬時に行われる。
タヌキ砲術長殿は地上戦が下手なので看護係を務めているのだ。
「アニキ、あとは任せたぜ!」
「え? あ、うん」
ドラグニル王家の紋章が入った彼の愛銃を受け取る。
次は私が射撃手の番だった。
「提督! 頭が高いです!」
「はい! すみません!!」
副官殿に注意され、頭を低くして相手を撃った。
どうやら、地上戦は副官殿の方が、腕が上の様だった。
「ハインツ兵長! 次は左の敵をお願いしますわ!」
「了解!」
――DODODO!
アルベルト王子に代わって指揮を執るのは副官殿こと、クリームヒルトさん。
体にクロスに弾倉を巻きつけるバフォメットさんは個人主義なので、指揮は苦手の様だった。
ちなみに副官殿は射撃が苦手なので、獲物は指揮刀である。
鉢巻き姿が色っぽくて勇ましい。
胸もぽよよんと揺れる ( ˘ω˘)
☆★☆★☆
「いまです! 突撃ですわ!」
「やってやるメェ♪」
「突撃ポコ!」
防御一辺倒から、2時間後には反撃を開始していた。
じりじりとバリケードを前に積みなおし、敵の司令部と思しき部屋の手前まで来ていた。
――DODODDO
敵からの銃火も激しい。
敵も司令部室を護るために必死の様相だ。
時折、相互に投げられる手りゅう弾が怖い。
投げられた場合は、あらかじめ掘ってある竪穴に素早く捨てるのだ。
……気を抜けない展開が、更に一時間は過ぎようとしていた。
「今です!」
「突撃メェ~!!」
敵の銃火が少し止んだ戦機を素早くとらえ、副官殿の指示の下、最後と思しき突撃がバフォメットさんの射撃を皮切りに行われる。
副官殿の抜刀術も流石で、どんどんと敵のロボットがスクラップになっていった。
……わ、私は常に後ろで支援射撃に徹していたのでした (´・ω・`)
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