宇宙装甲戦艦ハンニバル ――宇宙S級提督への野望――

宇宙を駆け敵を撃つ! タヌキの砲術長と副官のアンドロイドの仲間と一緒に敵を倒して目指せS級宇宙提督!
黒鯛の刺身♪
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【第四章】……さらば地球、遥かなる銀河へ

第百三十三話……N国の反撃! 【神武】作戦発動!!

公開日時: 2021年1月16日(土) 23:13
文字数:2,025

「私が新しいN国の支配者である!」

「明日からの君たちは、私の下僕となる道を選ばせてやろう!」


 TVの地上波の放送に、映ったのは紛れもなく金山の姿だった。

 その姿は椅子に座ったままであり、尊大さを感じる。



「……まぁ、これを見たまえ!」


 画面が切り替わり、見たことのない生物や機械兵器が映った。

 数千もの機械アンドロイド兵も紹介された。



「これを従える私に、君たちは勝てると思うのか!?」

「……いや、勝てまい」


「しかし、迷う時間はくれてやろう!」

「二週間だ、二週間たっても降伏しないようなら、手始めにC県を火の海に変えてやろう!」


「N国の愚民たちよ、せいぜい迷うがいい! あははは……!」


 高笑いとともに、その画像は終わった。



 ムカつくというより、予想の範囲内ではあった……。

 必要なのは対処法であり、この対処法こそが難しいのだ。


 すぐにC県では、避難活動が始まった。


 普通ならこのような放送はデマだと思われるだろうが、現に首都はである西京は宇宙海獣が闊歩し、火の海なのである。

 今日もコンビナート地域が攻撃され、広範囲の地域で地上戦が展開されているらしい。


 昼の報道TV番組は、首都の惨状を地方都市に住む私にも、はっきりと伝えてきたのだった……。


 ……私は一旦ハンニバルに戻り、善後策を練ることにした。




☆★☆★☆


 私は悩んでいた。


 今の巨人の姿で、ワームホールを通って地球側に出たらどうなるかを……。

 世界は同じ精神を持つ私を、二人同時に成立させてくれるのか、ということだ。


 ワームホールを出たとたんに、世界の理として、もし私の地球側の肉体が消えたら、こちら側の私も消え去るのではないだろうか?


 さらに、深く考えてみる。


 もし私が、地球側の私をVR用のカプセルからだして、対面したらどうなるのだろうかを……。

 私が私と面と向かって会話する世界は成立させて貰えるのだろうか?



「困ったポコね」

「困りましたわね」


 この疑問を副官殿と、砲術長に相談した。



「……あ、提督をこちら側に世界に残したまま、私たちが地球というところの提督をお迎えにあがっては如何でしょう?」


「それはいい考えポコ」


 副官殿が提示した案は、私の一つ目巨人の体をこちら側に残したまま、ハンニバルを地球側に航行させてはどうだろうか、という話だった。



「……向こうの世界へ行ってくれるの?」


「OKポコ!」

「お安い御用ですわ!」




 ……こうして、大まかな方針は決まった。

 あとは、実行あるのみであった……。


 ハンニバルは出港に向けて最終チェックに入り、大気圏用の装備を多めに積載した。

 アルベルトを初めとした、ドラグニル陸戦隊を招集。

 その他、船員に対しても招集をかけたのだった……。




☆★☆★☆


 超高速通信モニターを使い、皇帝陛下に出撃の許可をお願いする。



「うむむ……、そういう事情なら仕方がないのぉ……」


「是非、ハンニバルだけでも出撃の御許可を!」


「朕は、そち自身を失っても、本末転倒じゃ!」

「良かろう、少しの期間行って参れ!」

「しかし、こちら側に敵が来たらすぐに戻るのじゃぞ!」


「有難きお言葉!」


 超高速通信モニターを介して、皇帝パウリーネ様の説得に成功した。

 短い期間ではあるが、地球への出撃許可が下りたのだ。



「……では、行ってまいります!」


「うむ」


 皇帝陛下に敬礼をし、超光速通信モニターの電源を切る。



「良かったですわね!」

「お陰様で!」


 副官殿の祝福に、御礼を告げる。



「さあ、出港準備だ!」


「「「了解」」」


 私はこの世界の体を、準惑星ツーリアの寝室に置き、ログアウトを行った。

 あとは皆に任せて、私のアパートに迎えに来てもらうだけだった……。


 予定到着時間は一週間後。

 C県への攻撃に間に合うはずだった……。




☆★☆★☆


(防衛省・国防軍秘密作戦室)



「閣下、逆探知に成功しました」

「金山という男は、太平洋の無人島であるS島にいるとのことです!」


「よくやった!」

「これから、我が国防軍は反撃に転じるぞ!」


「はっ!」


 首都西京の地下シェルター内の秘密作戦室では、首相をはじめとした首脳部が、新カリバーン帝国への反攻作戦に許可をだした。


 太平洋の孤島であるS島へ向けて、F-35をはじめとする航空機、イージス艦や潜水艦を含めた海上戦力が、極秘裏に集結しつつあった。


 ……N国首脳部は、乾坤一擲の反撃作戦を企図していたのだった。




☆★☆★☆


(……太平洋上)


「こちら空母いせ、発艦準備良し!」

「こちら潜水艦あさしお、ミサイル発射用意良し!」


「閣下!」

「うむ、【神武】作戦開始!」


「「「了解!」」」


 未明の空に向けて、爆音を上げて、F-35が発艦する。

 同時に同盟国であるA国の航空母艦からF-18が飛び立つ。


 更には、イージス艦がS島めがけてトマホーク・ミサイルを多数発射した。



 【神武】作戦の目標はS島の金山という男の身柄の確保。

 ……できれば殺さずに、身柄を確保して、新カリバーン帝国の情報を引き出そうとする腹だった。


 そう、金山が正体不明の異星人の先兵であるだけの話かもしれなかったからだ……。



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