「現実世界でさ、共和国軍の旗艦が月に映っていたんだよ」
「……え? 現実世界ってどこですか?」
「一体どこポコ?」
「いやさ、ここってゲーム世界じゃない?」
「……は、はい?」
「何言ってるぽこ?」
……(´・ω・`)
話が通じない。我が副官殿とタヌキ軍曹殿はNPCキャラなのかな……。
しかし、女神レメディオスを崇める人たちが、あの星系を重視していたとしたら怖いな。
ワイマール星系にある『青い海と緑の木々の楽園』だっけ、なにか秘密があるのかな……。
あのあと、職場に置いてきた『南米に墜落したと噂になった宇宙船モドキ』の写真が気になって、兄に電話したが繋がらなかった。
ひょっとして、あの写真に写っている宇宙船は本物ではないか……。
……そんな嫌な予感がした。
☆★☆★☆
「……防衛をだな、少し考えてもらえんか?」
「防衛ですか?」
「そうだ、我がエールパ星系は豊かになった。その分、この星系を狙う輩は増えるはずだ」
「……はぁ」
相変わらず、気のない返事をする私。
実は惑星リーリヤにて、蛮王様に相談を受けていた。
蛮王様が懸念していることは、艦隊戦力以外での惑星リーリヤの防衛守備についてだった。
私はこの惑星リーリヤの雇われ防衛責任者でもある。
「……そうすると、防衛衛星になりますね」
「そう、それだ。良いヤツがあったら買ってきてくれ」
「わかりました」
「たのんだぞ!」
……防衛衛星。
衛星軌道上に浮かぶ防衛施設である。
地上施設だと、大気や重力で有効に敵を迎撃できない場合が多いため、衛星軌道上にも防衛設備が設置されることが多い。
施設本隊の直径は50~100mに及び、ミサイルやレーザービームで接近する敵艦隊を攻撃する。
エネルギーは折り畳み式ソーラパネルにて賄う方式が多く、その場合は簡易な重力シールドも展開できた。
この防衛施設を惑星リーリヤに6つほど設置することが決まっていた。
「……はぁ、防衛衛星か」
衛星アトラスに帰るシャトルの中でつぶやく。
窓から見る星は、ため息が出るほどきれいだ。
「防衛衛星なら、星間ギルドに注文してはどうですか?」
副官殿にアドバイスを貰う。
星間ギルドは武器商人でもある巨大軍産複合企業体である。
おおよそ、ほとんどの物は売ってもらえた。
彼等の売る武器は信用にたるのだが、彼らは必ずお金に従うことが難点だった。
帝国の大要塞、リヴァイアサンが陥落したのも、そのシステムの殆どを星間ギルドに発注していた為ではないかと噂されていた。
よって、部品はともかく、設計自体は自分で行いたかった……。
☆★☆★☆
設計試案をもって、技術長のクマ殿に協力を仰ぐ。
「え~! 自分達で作るクマ? メンドクサイクマ!」
「そこを何とか手伝ってよ」
「嫌クマ」
「このお酒をあげるよ……」
「……も、もちろんやるクマ♪」
……(・ω・`) マジカ。
惑星リーリヤの宇宙港の売店で買ってきたカップ酒で交渉成立。
このクマ殿はいつ裏切るか分からないくらいに賄賂が効いた……。
私の試案をクマ殿が目を通す。
……言っては失礼だが、意外と彼の能力はまともである。
「予算は4億帝国ドルってとこクマね」
「もうちょっと安くならない?」
「敵が来る前に、惑星に落ちても知らないクマよ……」
「……払うよ」
さりげない脅しに屈する私。
後で金策も考えねば……。
試案内容は100m級の防衛衛星。
主装甲はミスリル鋼と複合セラミックを採用。
簡易重力シールドシステムを2つ積載。
主武装にはミサイルVLSが16基。
迎撃用の対空レーザー機銃座を4基搭載。
小型エンジンも4つ搭載し、少しの距離なら移動できるように設計した。
ある程度動けないと、敵への対処が遅れる。
どんな兵器も機動力は大きな力だったのだ。
あと、惑星の重力圏に入ると自爆する機能も付ける。
これは恒星間戦争協定によるものだ。
惑星に落ちたら危ないからね……。
と、まぁ……あとの細かいことはクマ殿がやってくれるはずだ。
出来上がりが、少し楽しみな私だった。
☆★☆★☆
「……あ、よく考えたら、衛星アトラスにも防衛衛星があったほうがいいのかな?」
「そんなお金があったら船を造るポコ!」
「そうですわ! 他にもいろいろと足りないものは多いですわ!」
「今はお金が足りないニャ!」
「食料生産施設にもっと予算が欲しいメェ!」
鍋を囲んだ夕ご飯中に、自分達にも防衛衛星が必要かと聞いたら、皆にボコボコに反論された。
……そこまで言わなくても。
他に必要なモノや欲しいものはたくさんあるけどね。
確かに無駄遣いはダメだ。
駄目なんだけど。
ウチにも防御衛星が欲しいなぁ……。
……なんだか、美味しいはずの鱧鍋に、箸がすすまなくなった私だった。
NPCとは……
ノンプレイヤーキャラクター(英: non player character)とは、プレイヤー(ここで言うプレイヤーとは狭義の意味で、参加者や遊び手の事である。自然や運営者、ゲームのプラットフォーム等は含まない)が操作しない(テーブルトークRPGでは、ゲームマスターが操作する)キャラクターのことを指す語である。プレイヤーに操作されるキャラクターを指す「プレイヤーキャラクター」の逆である。ノンプレイヤーキャラクター「NPC」、プレイヤーキャラクター「PC」と略される。以前はもっぱらテーブルトークRPG用語であったが、コンピュータゲームでも容量の増大等で、コンピュータが操作するキャラクタが「人間らしくふるまう」ことも増えたことから、テーブルトークRPG以外でも使われるようになった。
【出展・ウイキペディア】
読み終わったら、ポイントを付けましょう!