宇宙装甲戦艦ハンニバル ――宇宙S級提督への野望――

宇宙を駆け敵を撃つ! タヌキの砲術長と副官のアンドロイドの仲間と一緒に敵を倒して目指せS級宇宙提督!
黒鯛の刺身♪
黒鯛の刺身♪

第八十三話……ナマズ族を救え!? ラパト首相ボフ♪

公開日時: 2020年12月12日(土) 16:14
文字数:2,154

「トンカツ美味しいポコ♪」

「おいしいですわね♪」


「とまとサラダもおいしいニャ♪」


 今日のハンニバル食堂のサービスランチはカツ丼だった。

 みんなで仲良く食べていると、突然緊急通信が入った。



「フェーン星系にルドミラ教国が宣戦布告したようです!」

「なんだと!?」


 緊急通信の内容に驚く。


 辺境連合国家の一員であるフェーン星系は、事実上カリバーン帝国の従属下にあったのである。

 しかし、正式な外交関係としては独立を保っていたので、今回攻め込まれた形となった。


 カリバーン帝国とルドミラ教国は軍事同盟を結んでいるので、帝国は表向いてフェーン星系に援軍は送れない。


 私は『……仲良くしているフェーンを見捨てることはできないなぁ』と思っていると、総司令部から通信が入った。


 相手はクレーメンス公爵元帥。

 帝国軍部の名実ともにTOPのお偉い方だ。


 ……背中に緊張が走る。



「つまり……、誰かがフェーンに加勢してほしい……ということだ、ヴェロヴェマ君!」


「……はっ? どういうことでしょうか?」


 総司令部の方針がよくわからない。

 察しろということだろうか?



「帝国としてではなく一貴族として、君が自主的にフェーンに力を貸してほしい!」

「わかるな?」


 つまるところ私だけで行けということらしい。

 義勇軍という形だろうか?



「はぁ……」


「この防衛が成功したら、君にも軍に復帰してもらう! 駄目なら今度こそクビだ!」


「了解しました!」


 地位と給料も惜しいのもあって承諾してしまった。


 ……しかし、フェーン星系のナマズ民族にはいつもお取引がある。

 助ける口実があるのは良いことだった。




☆★☆★☆


 幕僚を集めてすぐさま会議を開く。



「正義の防衛戦争ですわね?」

「頑張って守るポコ!」


「しかし陸上部隊がなぁ……」


 ドラグニル陸戦隊は確かに強いが3000名しかいない。

 戦線が拡がれば手が回らない恐れがあった。



「……蛮王様に相談するか?」


「そうするニャ♪」

「みんなを巻き込むクマ♪」



 蛮王さまに暗号通信のビデオチャットを送った。

 ……迷惑でないと良いが。




「……ふむ、ナマズのラパト首相とは仲良くしておきたいな!」

「よかろう! 歩兵を5000名ほど貸してやる!」


「有難うございます! 今度お礼に銘酒を贈りますね♪」


「ははは、良いのを頼むぞ!」


 今回の件については、蛮王様はご機嫌の様だった。

 彼は冷徹な計算も行う。


 今回の我々に勝ち目があると踏んだのかな?




☆★☆★☆


 ……フェーン星系のラパト首相に力添えをする旨を連絡する。



「是非とも加勢をお願いしますボフ!」


「お任せ下さい!」


 少し調子付いてみた。

 どっちにしろ、一蓮托生だ。


 フェーンが陥落すれば、このラム星系も攻められる恐れがある。



 辺境連合国家として、フェーン星系に対しドラグニル星系とレオナルド星系が自動的に加勢する形となる。


 しかし、相手は大国ルドミラ教国である。

 支配星系の総数は39個。


 実に39対4の戦いとなる。

 極めて劣勢が予想された。




☆★☆★☆


「ペンキ塗りを急ぐクマ!」

「はいポコ!」


「ぺたぺたニャ♪」


 ハンニバルとその麾下の船に、急いで青色デザインのペイントを施す。

 これがフェーン星系の軍艦の正式デザインだった。


 今回、我々はフェーン星系の正規軍として偽装する予定だった。

 ……以前の出撃もこんな感じであった気がするが。



「塗装出来次第、最終チェック!」


「チェックOK!」

「エンジン・スタンバイ!」



「ラム星系艦隊の初陣である! 諸君の一騎当千の働きを切に願う!」

「全艦エンジン始動!」


「「「了解!」」」


 ハンニバル以下10隻の艦艇は長距離跳躍を開始し、急ぎフェーン星系へと向かった。




☆★☆★☆


 フェーン星系主星、惑星アナゴウナギ。

 この惑星はいま、喧騒を極めていた。



「急いでください!」

「順番を守って!」


 フェーン星系のナマズ族が各地の宇宙港に押し寄せ、次々に宇宙船で星系外に脱出していた。

 この星系がもうすぐ戦場になるかもしれなかったからだ。



 フェーンの星系保有の戦闘艦艇は10隻。

 どれも通常型の核融合炉動力艦だった。



「……ではよろしく頼みますボフ!」


「お任せください!」


 今回なんと、私はラパト首相に防衛を一任された形となった。


 訓練に協力したことはあるが、他所者である私に防衛指揮を任しても良いのだろうかと不安にもなる。

 まぁ、負ければ私も一蓮托生なわけだが……。



 ラパト首相との通信を切り、指揮用の艦橋に戻る。



「……で、敵は!?」


「はっ! いまだに星系外縁に到達している気配はありません!」

「どうやら敵は超巨大アメーバに遭遇している模様です」


 ……いいぞ、なんか運が味方している。

 あ、アメーバか?



「よし、星系外縁に布陣する!」

「全艦発進!」


「「「了解!」」」


 我々は星系外縁の小惑星帯に布陣を開始した。

 星系内で戦闘をすると被害が大きいためだ。



「後部ハッチ開け!」

「工作艇発進!」


「装甲機動工兵班、出動!」


 今回、装甲機動歩兵に急いで機雷を仕掛けてもらう。

 簡易な対艦陣地砲を敷設し、急遽迎撃態勢を敷く。



 ……しかし、アメーバさん達のお陰で布陣する時間が稼げた。

 本当にありがたい。



「機雷敷設完了!」

「陣地砲敷設良し!!」


 36基の対艦型レーザー陣地砲と、2万6000個の対艦機雷を敷設し終わったころ。



「敵艦ワープアウトによる時空振動!」

「予想しうる敵艦影38!」



 ……敵さんの御来訪であった。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート