宇宙装甲戦艦ハンニバル ――宇宙S級提督への野望――

宇宙を駆け敵を撃つ! タヌキの砲術長と副官のアンドロイドの仲間と一緒に敵を倒して目指せS級宇宙提督!
黒鯛の刺身♪
黒鯛の刺身♪

第百四十話……ヴェロヴェマ元帥、転戦中!

公開日時: 2021年1月24日(日) 07:50
文字数:2,025

――翌日。



「……え? またそんな話かよ?」

「すいません」


 私は頭をかく。

 私がクリームヒルトさんの件を相談したのは、蛮王様だった。



「……ふむう」

「他の方には内密にお願いしますね」


 私が話すことに頷く蛮王様。

 変にバレては、副官殿が危険になると思い、内緒にと釘を刺した。



「しかし、後方に匿っても変に見られるだろうしなぁ……」

「とりあえず、いまのままでいいんじゃないのかぁ?」


 ブタ族の蛮王様は、ブヒブヒとそう言ってくれた。

 結論は出なかったが、相談できただけで胸のつかえがとれた。



「それとは別に、元帥昇進おめでとう!」

「ありがとうございます!」


 昔、一緒に苦労した仲だけに、御祝の言葉も嬉しかった。

 その晩、私たちは再び沢山のお酒を飲んだのだった……。




☆★☆★☆


「ヴェロヴェマ元帥よ、麾下の艦隊を率い、逆賊クレーメンスを追討し、もって帝国領土を開放せよ!」


「はっ!」


 首都星セイレーンの宮殿にて、皇帝パウリーネ様より受けた命令は、帝国領土奪還だった。

 命令というより、長期方針という形に近かった。


 しかし、クレーメンスの勢力がグングニル共和国と戦っているので、これを攻める好機でもあったのだ。



「至急、幕僚を集めてくれ!」

「わかりましたわ!」


 副官殿が応じる。


 カリバーン正統政府、宇宙艦隊の陣容は以下の通りだった。



宇宙艦隊司令長官……ヴェロヴェマ元帥

総参謀長……空席


◎第十艦隊司令官……ヴェロヴェマ元帥

幕僚長……クリームヒルト准将

砲術参謀……ポコリーヌ大佐

整備参謀……熊三郎大佐

兵站参謀……ヨハン中佐


〇第一戦隊司令……司令官直卒、麾下50隻

・第一支隊長……アンナ少佐、麾下5隻

・第二支隊長……レーナ少佐、麾下5隻


〇第二戦隊司令……マルガレーテ大佐、麾下25隻

〇第三戦隊司令……バフォメット大佐、麾下25隻

〇第四戦隊司令……アルベルト大佐、麾下25隻


◎首都星系防衛艦隊司令官……パルツァー中将、麾下80隻



 ……まぁ、艦隊と言っても、現在は2艦隊しかないのだ。

 新設艦隊でも創るべきだろうか?


 それには、人材と艦艇が足りない気がする。

 現在、各星系に防衛隊を配備している。

 もし、新設艦隊を創るなら、星系防衛隊が手薄になる恐れがあったのだ。




☆★☆★☆


(……二か月後)



「全艦砲撃開始!」

「主砲斉射ポコ!」


 ハンニバルと第十艦隊主力は、マールボロ星系外縁部に進出。

 逆賊クレーメンス側の守備艦艇を、開戦後30分で一蹴した。


「敵艦隊の降伏を確認!」

「了解!」


「以後、占領戦に移行する!」


「惑星地上軍に連絡! 惑星揚陸艦前へ!」

「了解! 惑星揚陸艦前進します!」


 惑星地上軍を統率するシャルンホルスト中将に、連絡を出す。

 地上軍は艦隊支援の下、上陸に成功した。



「艦載機発艦! 地上軍を支援せよ!」

「了解! 第一、第二爆撃隊発艦!」


 その後、第十艦隊は恒星系内を概ね制圧。

 惑星地上軍に後を任せた。



 さらに進撃予定の中……、



「提督! 緊急通信です!」

「どうした? どこからだ!?」


 一体どこからだろう?

 後方には十分の戦力を残してきたのだ。


 慌てる必要もなさそうに思えたのだが……。



「地球からだそうです!」


 Σ( ̄□ ̄|||) また、ソッチか!?




☆★☆★☆


「ワームホール外縁部機雷原の破壊完了!」



「……くっくっく、ヘガクサイの奴め、こっちが手薄なんだよ、馬鹿が!」

「クレーメンスの奴なんかしったことか!」

「ゲームの世界から、こんな簡単に地球に来れる方法があったなんてな!」


 俺様は、ワームホールの向こう側の青い地球を眺める。

 ……これから真っ赤に燃える地球にしてやるぜ!



「シェリオ様! N国政府より通信、『講和の条件を問う!』とのことです!」


「そんなものはないと伝えよ! 熱いバトルあるのみだぜぇ!」


 ……俺様はこの日の為に、牢屋の中にいた宇宙海賊たちを連れて来ていた。

 どいつもこいつも悪役ぞろいの風貌だ。



「野郎ども! これから奪った土地は、全てお前たちのものだ!」


「やったぜ! 流石はシェリオ伯爵!」

「ひゃほい!」


 ……ふふふ、宇宙海賊たちの猛者は、意気揚々だな。

 楽しめそうだな!



「降下シャトル用意!」

「敵防衛設備へは、衛星軌道上から徹甲弾をお見舞いしてやれ!」


「了解!」



 トロストの奴みたいに、N国の支配者の椅子なんていらねぇ……。

 破壊と殺戮あるのみだぜ!!



 俺様はまず、地球ある自分の体を救出させた後、攻撃命令を下した。

 トロストの奴のやり方を踏襲したのだ。



 ……まぁ、ヘガクサイの奴が救国の英雄の国だ。

 遠慮なんて要らん。

 全部が燃えてしまえばいい……。



「あははは……!! N国民よ、逃げまどえ!」


 俺様はN国上空から、各都市の惨状を眺めた。



「いいワインがあっただろ? あれをもってこい!」


「はっ!」


 ……俺様は、最高の肴で美味しい酒を愉しんだ。

 そのうち、奴等は全てを投げうって、俺様に助けを乞うのだ……。


 それまで、恐怖に逃げまどうがいい。



「後方に高エネルギー反応!!」


「ん!? どうした? 何者だ!?」


「艦種照合! 装甲戦艦ハンニバルです!」


「……げぇ!? 早すぎだろう!」

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート