宇宙装甲戦艦ハンニバル ――宇宙S級提督への野望――

宇宙を駆け敵を撃つ! タヌキの砲術長と副官のアンドロイドの仲間と一緒に敵を倒して目指せS級宇宙提督!
黒鯛の刺身♪
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第百三十一話……共和国休戦 ~新たなる戦い~

公開日時: 2021年1月14日(木) 08:01
文字数:2,161

 久しぶりに地球のアパートで過ごす。


 といっても、シャワーを浴びたり、食料を買い出しに行ったりするのが主だが……。



「……よしっと!」


 他にやったこと。

 それは遺書の作成。

 あっちの世界から戻ってこれなくなった時の為に、両親や兄たちに向けてしたためたものだった。


 ……もはや、向こう側の世界は、私にはかけがえのない世界になったのだ。

 此方の世界と違い、確かに必要とされている。


 万一、向こうの世界が、幻の世界であったとしてもだ……。


 電脳の世界をリアルではないとよく言われるが、しかし、確かにその時間は向こう側に、私のもう一つの大切なリアルがあったはずなのだ。




 遺書を書き終わった後は、PCに電源を入れて、ハンニバルの設計に勤しんだ。

 向こうの世界での私に、最も価値があるとすれば、それはハンニバルで勝ち続けることだ。


 ……間違っても負けていい軍人なんていないはずだ。

 平和な世界の会社員だって、うかつにノルマを落とせないのだから……。



「これでいっか!」


 ダメージコントロールを重視した設計にした。

 今回、安易に沈まないことを優先にしている。

 その分、大きさの割に、攻撃力が若干物足らなくなったかもしれないが……。



「ふう」

「いってきます……」


 机の上の遺書にそう告げて、私はVRカプセルの蓋を開けて中に入った。

 内側から『START』という赤いボタンを押すと、白い神経ガスが充満し、心地よい世界にいざなわれた……。




☆★☆★☆


――ドシィィィーン!


 宇宙海獣により、艦艇が破壊される。


 グングニル共和国は、多数の冒険者や有志の義勇艦艇を集め、通商破壊を行う謎の宇宙海獣に対処した。

 ……しかし、それは正規軍より練度が低い艦艇の残骸が、ただ増えるだけの結果となっていた。

 正規軍でも対処が難しい宇宙海獣を、安易に撃退できるという考えが、甘かったのかもしれない。




「……やむを得まい」


「残念です」

「無念であります」


 グングニル共和国の議会は、クレーメンス帝国に休戦和解案を提示することに合意。

 彼等の首班である大統領の名でそれは合意された。



 ……合意内容は、


1)クレーメンス帝国が唯一無二のカリバーン帝国と承認。

2)毎年1000億帝国ドル(約10兆円)を納付すること。

3)2以外に、賠償金5兆帝国ドルを支払うこと。

4)10星系の領土割譲。


 これにより、共和国の財政は債務超過となり、将来的な衰退が予想された。

 よって共和国の債券価格は値下がりし、利回りは跳ね上がることとなる。


 また、皇帝パウリーネを擁するカリバーン帝国は、正式には逆賊勢力と呼ばれることとなってしまったのであった。




☆★☆★☆


「くっくっく……、次はようやくルドミラ教国か……」

「まぁ、地球との連絡線であるアルデンヌ星系しか、興味はないがな……」


 トロスト中将は、不敵に笑う。

 彼の野心は、まさしくワームホールの向こう側にある地球であった。




――グングニル共和国と協定を結んだ2週間後。


 新生カリバーン帝国はルドミラ教国に宣戦布告。

 同日、2時間後にアルデンヌ星系に侵入した。




「敵艦多数見ゆ!」


「要塞砲用意! 艦載機発進用意!」

「対空砲要員、配置急げ!」


「惑星地上軍にも緊急連絡!」



 ……これは予期されていたことであった為。

 艦隊戦を不利と見たルドミラ教国側は、惑星や防御要塞での地上戦に、引きずりこむ形となっていった。


 しかし、多種多様な宇宙怪獣を投入する帝国に、ルドミラ側は次第に劣勢になることが予想された……。




☆★☆★☆


「……ち、朕が逆賊だと!?」

「ヴェロヴェマ提督、それは正気で言っているのか?」


「いえ、当方が言っているわけではありません」


「そんなこと、わかっておるわ!」


 皇帝パウリーネ様に怒られる。


 この世界において、グングニル共和国の発言力は大きい。

 よって、星間ギルドなどの中立勢力においても、我々は反乱軍、もしくは逆賊と明記されるようになってしまった……。



「なんとかして、汚名を返上しろ!」


「はっ! 全力を尽くします!」


 私は敬礼して、超光速通信のモニターを切る。



「……ふう」


「怒られましたわね」

「怒られたポコね」


「……うん」


 ……(´・ω・`) しょぼ~ん



「「よしよし」」


 しょげていると、副官殿とタヌキ砲術長が、私の頭をポンポンしてくれた。


 ……まぁ、これはこれで、モフモフしてていい気持ちだった。




☆★☆★☆


(……二週間後)


 ……私が、領地開発に勤しんでいると。

 ハンニバルの超高速通信のモニターに、苦情が入ってきた。


 それは、包帯グルグル巻きの小池勝議員だった……。



「どうかなさいましたか?」


「どうかしたじゃないよ!」

「我が国の英雄、金山豪君に連絡が、つかなくなってしまったんだよ!」


 ……だれだったかな?

 ああ、TVの会見に、でていた若者だったかな。



「君、また要らないことをしてないだろうね?」


「……いえ、何もしていませんが?」


 私と違って、金山という男は、N国の防衛省の幹部と、連絡を密に取っていたらしい。


 いままで、それによってN国は、相対的に世界情勢を上手く立ち回れた。

 しかし、その情報源が無くなってしまったため、私に苦情が舞い込んできた形となったのだ……。



「これからは君が情報源になり給え!」

「頼んだよ!」


「ぇぇ!?」



――ブチン。


 連絡は一方的に切られた。

 ……てか、情報なんてわかんないぞ!?


 なんだか重荷を背負う形となってしまった (´・ω・`)


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