――私は トロスト中将の艦隊を徹底的に追撃した。
映画の主人公は、逃げる敵を追い詰めないものだが、私は徹底的に追うのが信条だ。
なぜなら、将来の味方の被害を少しでも減らすためだ。
味方の被害は少ないほど良い
「識別不能の艦船発見!」
「メインモニターへ出せ!」
「了解!」
逃げる敵を追っていると、不思議な輸送船団を目にした。
明らかに、味方に見捨てられていたのだ。
降伏勧告を送ることにする。
「停船し降伏せよ! さすれば攻撃はしない!」
「敵艦船、停止しました!」
見たことのない輸送船を拿捕した。
ドラグニル陸戦隊に乗り移ってもらう。
「提督! 中には大量の人が乗っています!」
「どんな人だ!?」
「辺境星域の一般人が、寿司詰めにされています!」
……なるほど、これはいわゆる奴隷船だ。
人類は有史以来、奴隷制度継続してきた。
今でも、地球上には、教育も受けられず、職業の選択ができず、1日1ドル以下で働いている人が 5000万人もいると言われる。
我々の文明は奴隷とは無縁でありえないのだ。
……どうやら この奴隷たちは、辺境星系の貧困層であった。
借金のかたに売られたらしい。
直ちに保護し、高速戦艦オムライスに迎えに来てもらう。
「護衛を頼むよ!」
「任せるニャ♪」
この輸送船団は、オムライスに護衛されながら、惑星リーリヤへ向かってもらった。
ハンニバルは、トロスト中将の第6艦隊を撃破した後、首都星系ツエルベルク星系へと向かった。
さしたる抵抗もなく、星系外縁を突破。
惑星バルバロッサの衛星軌道上に侵入した。
そこから見たバルバロッサの姿は、美しい地表の岩肌が削れ、痛々しい姿だった。
「レーダーに敵影なし!」
「よし降下するぞ!」
「大気圏突入用意!」
「耐熱シャッター閉じろ!」
「逆噴射ブースター用意!」
「……よし、地上へ降下する」
「了解!」
ハンニバルは、惑星バルバロッサの大気圏に突入。
巨大な艦体が、摩擦熱で赤く焦がした。
「提督!地表に発光信号が見えますわ!」
「読め!」
「了解ポコ!」
「ハンニバルここへ降下されたし、とのことポコ!」
指示された場所へ降下する。
逆噴射のプラスターがうるさい。
その後、指定の場所へ着陸に成功する。
「提督お久しぶりです!」
敬礼し、出迎えてくれたのは、総司令部でいつも歩哨していた男だった。
「ご苦労様、早速だが案内してくれ!」
「はっ!」
彼に地下深くに案内され、奥まった部屋で、皇帝陛下と謁見することができた
地下の核シェルターの中で、パウリーネさまはご無事であった。
「ヴェロヴェマよ、よく来てくれた! 朕は嬉しいぞ」
「はっ! 有り難き幸せ!」
「ほかの方々は、いずこにいらっしゃいますか!?」
見回すと、お供の者が数名で、高官たちの姿は無いのだ。
「わからない、朕らは逃げるので精一杯だったのだ」
「わかりました。リーゼンフェルトの手の者が来る前に、一旦エールパ星系まで撤退しましょう!」
「……わかった、よきにはからえ!」
ハンニバルは、皇帝陛下とその周りの僅かな者たちを乗せ、惑星バルバロッサを出発。
ツエルベルク星系を後にした。
その後、長距離跳躍を繰り返し、蛮王様が治めるエールパ星系に到達。
皇帝陛下には、惑星リーリヤの蛮王様の元で、かくまってもらうことにしたのだった。
――PIPIPI
【システム】……カロリー不足です。
……やばい、元の世界に戻らなきゃ。
私は慌てて、艦長室からログアウトしたのだった。
☆★☆★☆
私はシャワーを浴びた後。
コンビニに行き、お弁当を買いあさる。
カップ麺もカゴいっぱいに買った。
家に帰り、お湯を沸かし、弁当とカップ麺を食べあさる。
その後、テレビをつけた。
ニュースを見ると、相変わらずルドミラ教国の勢いは強いようだ。
世界の名だたる強国が苦戦している。
……しかし、それは地球全体にとって一概に悪いことでもなのだろうか?
ルドミラ教国は南半球の貧しい国々には、熱狂的に支持されているのだ。
その先に何が待ち構えているのかわかりはしないが……。
――ピンポン
玄関のチャイムが鳴る。
お客様のようだ。
ドアを開けると、スーツを着た黒づくめの男が3人立っていた。
「どちら様で?」
と尋ねると、
「防衛省のものです」
と言われ、びっくりした。
「コードネーム・トロストさんという方が分かりますか?」
一瞬誰だか分からない。
「あなたはコードネーム・ヴェロヴェマさんですよね?」
……ああ、向こうの世界の話か。
トロストって、たしかこの前戦った相手か。
生きてたのかな?
「……お分かりのようですね」
「トロストさんは我が国の防衛に非常に貢献されています。次からは決して邪魔しないでください」
「もし邪魔されるなら、あなたを拘束することもありえます」
Σ( ̄□ ̄|||) そ、そんなバカな。
……てか、地球のために頑張ってるのは私じゃないか?
話はどう伝わってるんだ!?
小池勝議員は入院してるんだっけか? (;’∀’)
……彼らは私にそう告げた後、さっさと帰って行った。
これって私やばくね?
……なんだか怖くなった。
私はきっと頑張ってるはずなんだけどな……(´・ω・`)
虚しさを味わいながら、カプセルに入りゲームの世界へと戻った。
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