最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
殴り書き書店

300 不良さん、奈緒さんに自身の覚悟を持って会話する

公開日時: 2021年12月3日(金) 00:21
更新日時: 2022年12月19日(月) 13:15
文字数:2,548

●前回のおさらい●


 意見に食い違いから、崇秀にフルボッコにされて身動き1つ取れなくなった倉津君。

それを見ていた奈緒さんは、何故そんな事をしたのか崇秀を問い詰めようとするが……逃亡されてしまう。


そのせいで身動きの取れない倉津君は、奈緒さんと楽屋で2人っきりに成ってしまい。

結局は、倉津君が、奈緒さんに問い詰められる羽目に成ってしまったが……今回も『自分に完全に非があった為』誤魔化し続ける。


そこには、倉津君の強い反省の意思があったからだ!!

「そっか……そっか、そっか。じゃあこれ以上は、なにも聞かない」

「奈緒さん……」


意外にも奈緒さんは、これをアッサリ受け入れた。


きっと、俺の意図を汲んでくれたのだろう。



「でも、クラ。もし、行き詰ったり、悩んだりしてるんなら、私にはちゃんと言うんだよ。1人で解決出来なくても、2人でなら解決出来る事だって一杯有るんだからさ」


その上でフォローを忘れないのは、実に彼女らしい。


この言葉には感謝の念が尽きないな。



「あっ、はい。……そうッスね。もし、その時が来たら、宜しくお願いします」

「うん。じゃあ、わかった。……今はもぉ、それで良いよ」


言葉とは裏腹に、奈緒さんの表情は、何故か少し寂しげだ。


っとなると、なにかあるな。


これは、あくまで推測の域でしかないのだが、この一件でも彼女は何かを感じている。

今までの経験から言っても、俺には心の底からそう思えた。


だから俺は……そこが妙に気になって、奈緒さんに再び声を掛けて見る。



「あの~~~、奈緒さん。どうか……したんッスか?」

「えっ?あぁ、なんでもないよ」

「そうッスか?俺には、そうは見えないんッスけど」

「そっか。もぉバレちゃったか。……どうにも、こう言う事だけは、直ぐに顔に出ちゃうみたいだね」

「って事は、ヤッパ、なんか有るんッスか?」

「有ると言えば有るけど。別に、そんな大した問題じゃないよ。これは私の個人的な問題だからね」

「俺と、崇秀の問題なのに、奈緒さんの問題なんッスか?……なんッスか、それ?俺なんかに話しても、なんも解決しないかもしれないッスけど。良かったら、言っちゃって下さいよ」

「うぅ~~~んっとね、なんて言うのかなぁ。……クラに、なんかそう言われると『寂しいな』っと思っちゃったのね。いつの間にかクラも、生意気な事を言う大人になったんだなぁとかさ、思っちゃったのよ」

「あぁ……」


この様子だと、俺の『覚悟』が間違った方向に行かないかが心配なんだな。


なんか、此処まで心配されたら俺……自分の先行きが、本当に大丈夫なのか、不安になってきたぞ。


そうやって、ネガティブな方向に気持ちが行き始めてる。


……あぁ、イカンイカン!!

此処でまた、奈緒さんを不安にさせる様な表情して、どうすんだよ。


そんな表情したら、元の木阿弥じゃねぇか!!


アホかつぅの!!


しかしまぁ……わかっていても、こう言う染み付いた悪い癖は、中々治せないもんだな。

本当にイカンなぁ、こう言うの。



「なになに?なんで、クラが凹んでんのよ?そうやって、少しづつでも大人になってるんだから、これ自体は良い事なんだよ。……『寂しい』って言ったのは、私の我儘。気にしなくて良いよ」

「はぁ、まぁ、そうなんッスけど。……なんか奈緒さんに、此処まで心配されたら、逆に自信が無くなって来ました」


彼女の優しい言葉に、再び甘えてしまう。


俺は、どこまでも自分に甘い男だな。


情けねぇなぁ……



「ハァ~~~……、あのねぇ、クラ。最初からそんなんで、どうするのよ?なにをするにも、もっと自信を持ってやりなよ。心配しなくても、君は出来る子だよ」


……結局『子』なんだよな。


なんかこの言葉自身からしても、俺に対する子供扱いが抜けてないと言うか……

これじゃあ、奈緒さんと俺の関係って『彼氏・彼女』じゃなくて『母親・子供』の様に思えてきた。


さっきの事を合わせて、更に情けねぇな。


けど……今が、そう有るならば、それは、まごう事無き現実。

全てを受け入れて、前に進むべきだろうな。



「そうッスかね?俺なんかに、何か出来ますかね?」

「出来るよ!!君が、本気で何かを始めれば、それは必ず上手くいく筈。君は『本気の出し方』を知らないだけだもん」

「……それって、結構、致命的ッスよね」

「そうでもないよ」

「なんでッスか?」

「だって、本気の出し方なんて、人それぞれだもん。追い込まれて本気を出す人も居れば。追い込まれない為に本気を出す人も居る。だからクラは、自分のやり方を見い出せば良いんだよ。後は、自ずと結果が付いて来るからさ。……大丈夫、大丈夫」

「それって……奈緒さんの言い様だと、結果が良くなくても良いッて事ッスか?」


此処が良くわかんねぇんだよな。


こう言う案件では、結果を求める人間も居れば、その行程を重視する人も居る。

この二択を天秤かけて、俺自身が、どちらが良いかと聞かれたら……当然『結果が付いて来る』方が望ましいと思ってしまう。


この辺は、物凄く一般的な思考だとは思うのだが、奈緒さんは、そこら辺を、どんな風に考えてるのだろうか?


此処には少しの誤差があっちゃいけないから、この機会にキッチリと聞いて置こう。



「そうだねぇ。それを答えるのは、ちょっと難しい質問だね」

「難しいッスか?」

「うん。仮に仲居間さんが、その質問をされたら、絶対に『結果が全てだ』って言うだろうし。私の場合は『その行程で努力さえ惜しまなければ、それは自分の力になるんじゃない』って言っちゃいそうなんだよね。……そう言った理屈から、一般的に考えて言えば『微妙』って言葉になっちゃうんじゃないかなぁ」

「そうッスね。……あの、因みにですけど、今の言い様だと、奈緒さんは行程を重視するって事で良いッスか?」

「そうだね。私の場合は『行程重視』だね。……けどね、私、自慢じゃないんだけど、それで今まで、結構、上手くやって来てるから『行程』に対しての『結果』が付いて来ちゃってるのよ。だから、あまり意見としては参考にならないかも。……本音で言ちゃえば『結果重視』の仲居間さんと、なんら変わらないのかも知れないしね」


あぁそうか……

俺なんかとは違って、奈緒さんは、なにをさせても器用にこなす。

故に、最終的には、全てに『結果』が付いてきちゃうんだな。


って事は……ヤッパリ奈緒さんも『結果』を求めてるって事か。


もしそうだとするば……やる以上は、なにかを得ないといけないってことだな。


良し!!この奈緒さんの意見をハッキリ聞けて、なんだか逆にヤル気が出て来たぞ!!



「あの、因みにッスけど。俺がなんか上手く行ったら、奈緒さん喜んでくれます?」

「勿の論だよ♪クラが上手くやって、私を向えに来てくれるのを待ってるよ♪」

「うん?あの、奈緒さん、今の言動……ひょっとして、崇秀との件の事、なんか気付いてます?」

「あっ……」


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


奈緒さん……倉津君との話し合いの中で『迎えに来てくれる』っと言う言葉が出た以上。

彼女自身、この話の中で、何か感じとっているのだけは、100%間違いなさそうですね。


彼女は、倉津君の事に成ると、非常に勘が鋭いですしね(笑)


さてさて、そんな奈緒さんは、一体、何を感じて、こんな言葉を言って来たのでしょうか?


次回は、その辺りを重点的に書いて行きたいと思いますので。

また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート