最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
殴り書き書店

197 不良さん、ステラさんに花を持たせて貰う

公開日時: 2021年8月22日(日) 00:21
更新日時: 2022年12月4日(日) 14:55
文字数:2,446

●前回までのあらすじ●


 2バンドの今後を話していたのに、何故か恋愛話に。

そこからややこしい方向に進んでいきそうになった所を、ステラさんがギリギリのタイミングで止め。

奈緒さんは、ステラさんに怒られる。


そして次に……

「きゃ!!なにするんですか?」

「低脳な子供が、駄々を捏ねていた様なので叩かせて頂きました。これは躾だと思って頂ければ有り難いです」

「どっ、どうして私が、貴女に、そんな事をされなきゃいけないんですか?私、貴女に叩かれる覚えなんてない!!」

「そうですか?御理解頂けないなら、叩き返しても頂いて結構ですよ」

「そんな事したって、なんの意味もないです。私は暴力が嫌いなんです」

「そうですか。では、アナタが納得したものとして、私の話を始めて良いですか?貴女には、どうしても1つ、お聞きしたい事が有るので」

「納得なんてしてません。それに第一、私に、なんの御用があるって言うんですか!!」

「いえ、大した話ではないんですが……アナタ、何様なんですか?」


ステラは、素直を真正面に捉えて、そんな事を言った。

当然、素直は、そんな突然の訳の解らない質問に、困惑した表情を浮かべたまま、黙っている。


するとステラは、そんな彼女を見て、口を開き始める。



「質問の意味が理解出来ませんか?なら、噛み砕いて説明して差し上げます。……真琴がアナタに振り向かなかったのは、アナタに女性としての魅力が足りなかったからです。なのにも係わらず貴女は、それを逆恨みして、2人に『別れろ』って言われましたよね。それって『自分の気持ちが本気だったら、他人になにをしても許される』って思ってる証拠なのではないのですか?だから私は、貴女に『何様なんですか?』ってお聞きしたんですが……わかりますか?」

「なっ、何様でも無いですけど。そんなのアナタには関係ないでしょ。それに第一、貴女に、私の何が解るって言うんですか!!」


叩かれて上に、的を得た説教された素直は、当然反論する。


だが、ステラは哀れんだ様な眼で素直を見ながら、説教を再開し始めた。



「そうですねぇ。最低でもアナタの馬鹿な心境ぐらいは、私でも十分わかりますよ」

「じゃあ、どうして平然として、そんな事が言えるんですか?本当に、私の気持ちが解るって言うんなら、そんな質問も、答えも、絶対に出てこない筈です!!」

「そうですか?冷静に状況を見れば、誰にだってこんな事ぐらいは簡単に解りますよ。だってアナタは、女として一番ミットモナイ醜態を真琴に晒してるんですよ。私なら恥ずかしくてそうはならない。本気で好きなら、そんな無様な醜態は、好きな男性の前には晒せない筈なんですが……如何ですか?」

「本気で……本気で好きだからこそ、こんな醜態を晒してでも真琴君を振り返らせたいんです!!アナタこそ、そんな事も解らないんですか?」

「それに関しては、全くわからないですね。そんなアナタの姿を見て、真琴がアナタを好意を寄せると思いますか?どう考えても、それは有り得ない話じゃないですか?……それともアナタは、向井さんと、真琴が別れたら、それで満足なんですか?アナタの行為には、向井さん同様、後がないんですよ。……低脳なのは結構ですが、いい加減そう言う所は、自分で気付いて下さいね」

「あっ……」


女性の見た目の話か……こう言う話が出て来るのは、ある意味、女性ならではだな。


女性心理で言えば、男の前で、自分の醜態を晒す事は、最もタブーな話。

そうやって男が『ドン引き』する事を、ステラは良く理解している。



「兎に角、1度2人共、少し落ち着いては如何ですか?感情的になるのは、人間ですから仕方が有りませんが。取り返しの付かない事になった後では、どうにもなりませんよ」

「……そうだね。少し頭が沸騰してたみたい。迷惑掛けちゃったね。ありがと、ステラさん」

「ごめんなさい。僕も、なに言ってたんだろ。向井さんが、そんな事を思ってる訳ないのに……」

「良かった。どうやら納得出来たみたいですね。折角、私にも仲間と呼べる人間が出来たのに、こんなツマラナイ産業廃棄物の為に、その関係を潰されたんじゃ堪ったもんじゃありませんからね。……ほんと、ポンコツにも困ったもんです」


なっ……なんて奴だ。


ステラは、あの最悪に酷い状態の奈緒さんと、素直を、完全に丸め込みやがった。

流石、崇秀が連れて来るだけの事はある。


コイツ、とんでもなく頭がキレるみたいだな。


ただな、ステラ……最後の最後で言った、俺の悪口いらなくねぇか?



「ところで真琴」

「なっ、なんだよ?」

「アナタ、どうして、あんな出来もしない事を、愚かにも挑戦しようと思ったんですか?幾らアナタがポンコツで、どうしようもない産業廃棄物だとしても、流石に今回に限っては、考え無しとは思えないんですが」


此処に来て、俺に華を持たせる気かコイツ?



「別に大した理由なんてねぇよ。ただ本音を言っただけだ」

「そうですか。では、もぉ興味ありませんので、その不快な口は開かなくて結構です。……それで良いんですね?」

「チッ……わぁったよ。ちゃんと言うよ」

「では、改めてお聞きします。どうしてですか?」


オマエねぇ。

言い難くなるから、こんな時だけ真顔で聞くな!!



「あったくよぉ、このお節介女が……良いかステラ。俺はな、素直が、いつまでも俺なんかに拘って、無駄な時間を使うのがズッと前から嫌だったんだよ。こんな良い奴がよぉ、俺なんかが縛り付けてて良い訳ねぇだろ。だから俺なんかは、さっさと忘れて、早く幸せになって欲しかったんだよ。それだけだよ、それだけ……あぁ、もぉ、こっ恥ずかしい」

「真琴君……僕の事を、そんな風に見てくれてたんだ。嬉しい……」


あぁ~~~あっ、多分、これで振り出しだな。

まさに、元の木阿弥って奴だ。


けど、まぁ、これは、これで良かったのかも知れないな。

変に素直を突き放しても、どうやら、なんの意味もなかったみたいだしな。


『人は、所詮、他人に何かを言われて、変われるもんじゃない』


今回は、この言葉を痛感したよ。


まぁそれでも今回の件で収穫が有ったとしたら。

俺の意思も、奈緒さんの意思も、素直には確実に伝わったって事ぐらいだな。

その上で、振り出しに戻ったんだから、最低限度、なにか前進する所は有っただろう。


いやはや、いやはや。


最後までお付き合いくださり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


いやぁ~~~、自分で描いてて言うのもなんですが『ステラさんは良いですね』


実は、このキャラクター。

私の中では、かなり設定を作り込んでるキャラクターでですね。

ヒロインである奈緒さんと同じぐらい設定を盛り込んでて。

此処だけの話『表で倉津君を支える奈緒さん』『裏で見守ってくれるステラさん』っと言う設定がある程の重要人物なんですよ。


なので口が最上級に悪いですが、嫌わんとってあげてね。

彼女の設定には『仲間想い』だけど『仲間だと思える人が居なかった』って言うのもありますので。


さて、そんな感じで次回。

一旦、話が終結した所での事後処理回と成ります。


なので、また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)


読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート