●前回のおさらい●
自分の事ならいざ知らず。
奈緒さんにまで口で攻撃をして来た崇秀に、眞子は大怒り!!
そして「出て行け!!」と言ってしまった眞子の言葉に従って、崇秀は病室を後にするのだが……
崇秀は、最後まで罵詈雑言を吐いて出て行った。
私は、そんな崇秀の出て行った扉に向かって、思いっ切り枕を投げ付け様としたんだけど……体が上手く動かなくて、その行為は枕すらも持てずに中断した。
・・・・・・
もぉ!!あんな人の心の無い様な奴は大嫌いだ!!
一瞬でも、あんな奴に身も心も預け様とした、自分が情け無いよ。
人を見る目が無いにも程が有るよ!!
***
……あの後30分程。
病室内には、物音1つしない深い沈黙が訪れ。
その間、奈緒ネェは椅子に座ったまま、なにかの考えに耽っており。
私はと言うと『ぷぅ』っと膨れたまま、ベットの中で不貞腐れ続けている。
そして……その深い沈黙を破る様に、奈緒ネェが口を開いた。
「ねぇ、眞子……」
「あっ、あぁ、はい」
「アンタ、本当に、このままで良いの?仲居間さんに、あんな酷い事まで言って」
「むぅ!!もぉ良いんですよ!!あんな奴、2度と顔も見たくないです!!本当に、何所かで野垂れ死ねば良いんですよ!!最悪ですよ!!」
「眞子、そうやって怒る気持ちは解るけど。それは、なにか違うと思うよ。眞子……なにか、重大な事を忘れてない?」
「なにを忘れてるって言うんですか?……って言うか。もぉ、あんな奴の話なんか忘れましょうよぉ。今は、思い出したくも無い心境なんです」
「そうだろうけど。仲居間さんが、人の事を悪く言う時は、必ずしも、その人に忠告をする時だよ。……今のにしても、私と、眞子が間違ってただけなんじゃないのかな」
「そんな事ないですよ。人間なんだから、過去に囚われる事だって有ります。それを全否定をして、あんな事を言うなんて、どうかしてますよ」
……そりゃあね。
そうは言っても、私だって、いつもでも真琴ちゃんを引っ張って、此処まで来たのは悪いと思うよ。
だけど……それは私個人の話でしょ。
だから奈緒ネェに対して、謂れの無い暴言吐いた事だけは、どうしても許せない。
大体にして奈緒ネェは、真琴ちゃんと恋愛をしていた人間だよ。
それをイキナリ『私の中に真琴ちゃんの陰を見るな』なんて、2人の関係を理解してる奴なら、普通は、絶対にあんな事は言えない筈だよ。
なのにアイツは、それを平然と言ってのけた。
関係ない奈緒ネェを責めた。
そんなまともな神経じゃない奴なんて……『今のところ』絶交で十分だよ!!
「ねぇ眞子。でもさぁ。それって、本当に良くない事なんじゃないかなぁ?みんなが、眞子の事を、折角、認めてくれてるのに。私だけが、いつまでもズルズルと眞子の中にクラを追ってたんじゃ、君が、いつまで経っても、本当の向井眞子には成れない。……仲居間さんは、そう言う事を指摘したかったんじゃないの?」
「……だとしてもですね。なんで、あんな酷い言い方をする必要が有るんですか?注意したいなら、注意したいで、もっと普通に注意すれば良いじゃないですか。幾ら忠告だからって暴言が過ぎますよ」
まぁまぁ、それがいつもの崇秀のやり方だと言えば。
まぁ……それはそうなんですけどね。
けど、今の現状じゃあ、そう言う言い方はヤッパリ良くないですよ。
それについてアイツは、一回、思いっ切り反省させなきゃダメなんです。
そして、反省し終ったら、素直に謝りに来なさい。
謝ってさえくれれば……直ぐに許してあげるから。
ナンダカンダ言っても、崇秀が居ないのはツマラナイから……
「でもさぁ……仲居間さん……」
「奈緒ネェさぁ。さっきから崇秀を庇う様うな事バッカリ言ってるけど、奈緒ネェ、崇秀の事が、そんなに好きなの?だったら一人で追い駆ければ良いじゃないですか?私の事なんか放って置いて良いですよ」
「眞子。……私は、そんな事を言ってないでしょ。反省すべき点は、反省すべきだって言ってるだけじゃない」
「……嫌ですよ。アイツの思い通りになんか、もぉ絶対になってやらないんですから。私も、奈緒ネェも、今回は反省すべき点なんかないです」
「眞子……」
解ってるんですよ。
私が全面的に悪い事も、自分ではちゃんと解ってますよ。
でも、あぁやって思い切り啖呵を切った以上、今更そう簡単には引っ込みが付かないじゃないですか。
私だって、崇秀と喧嘩するのは嫌ですけど、此処で簡単に折れるのも……ねぇ。
「兎に角ですよ。今回の件に関しては、私達には、全面的に非はありません。だからアイツが謝らない限り、私は、アイツとは2度と逢いません。もぉ逢いたくもないです」
「はぁ、そっか。……じゃあ、私は謝りに行くけど。なんか伝えて置く事ある?」
「えっ?……謝っちゃうんですか?奈緒ネェ、なにも悪くないんですよ」
「どこがよ?それに私は、自分で悪いと判断したから謝るの。いけない?」
「うっ……そりゃあ、いけなくはないですよ。でも、悪くないのに、謝るのは良くないです」
もぉ謝っちゃうんだ……
困ったなぁ。
明日、一緒に謝ろうと思ってたのに……
「そっか。私は悪くないか。……でもね。私は眞子の事を、眞子として見切れてなかったって言うのは、事実、反省点だと思うわよ。だって、もぉ8ヶ月以上も経ってるんだから、いい加減、そう言うの良くないと思うしね。……それになにより、仲居間さんとは『さっきのクラの件』の話も、まだ終わってない。だからね。そこも、そのままにしておく訳にいかないでしょ」
あぁ、そうかぁ。
奈緒ネェの場合は、この一件だけじゃなく。
『真琴ちゃんのクローンの話』も、まだしなきゃいけないんだもんね。
だったら、奈緒ネェが、こうするのも然りかぁ。
「……そうですか。じゃあ、それは奈緒ネェの意思だから尊重します。でも、私は謝らないですよ。いつもいつも、アイツの思い通りになると思ったら大間違いですからね」
「そぉ。じゃあ、そうしなさい。眞子は、眞子の自分の意思を貫き通せば良いんだよ。私に合わす必要なんかないからね」
「申し訳ないですけど、今回は、そうします。……誘って貰ってるのに、ごめんね、奈緒ネェ」
「うぅん、それで良いんだよ」
そう言った後、奈緒ネェは、私に背中を向けて病室から出て行こうとした。
私としては一緒に謝りたかったから、少し引き止めたい気持ちもあったんだけど。
これ以上奈緒ネェを、私の我儘に付き合わせる訳にも行かないので、此処は言葉通り『彼女の意思を尊重』する。
……けど、奈緒ネェは、そんな私の気持ちを察したのか。
廊下に出る扉の前で、一旦、その動きを止めて振り返った。
「じゃあ、行って来るけど。本当に、なにか伝える事はない?」
……お節介。
「あっ、あの、じゃあ、目一杯『馬~~~鹿っ』って伝えて下さい。……あの馬鹿に」
「ふふっ。はいはい、了解了解。……キッチリ伝えて置くけど。出来るだけ早く仲直りするんだよ。眞子がそう言う事を言うと、仲居間さんに変な負担が掛かるからね」
「あぁ、はい……ですね」
明日……確実に謝ります。
でも、今日1日だけは、ちょっぴり意地を張らせて下さい。
間違えてると解ってても、少しぐらいは抵抗したい気分なんです。
……っと、無意味な意地を張っていると。
『ガチャ!!』
っと、勢い良く扉が開き。
慌てた様子で、看護師さんが病室内に入って来た。
なっ……なんだろう?
私の意識が回復したのを、崇秀がお医者さんに伝えてくれたのかなぁ?
喧嘩してるのに、どこまでもお節介だなぁ……
「あの、コチラにお見舞いに来られた仲居間さんの身内の方は居られませんか?」
えっ?
……なに?
看護師さん、豪く慌てた様子だし、私の事じゃなくて、崇秀の名前を出してる。
なにが起こってるの?
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
奈緒さんと言葉を交わす毎に眞子は、段々、崇秀に対する許せない気持ちが弱く成って行ってましたね(笑)
最初は、あんなに怒っていたのに、途中の時点では『謝ったら許してあげる』になり。
最後には『明日、自ら謝る』と言い出してしまう始末。
なんだかんだ言ってても、自分の為を大切に想っていてくれた事に気付いたんでしょうね。
勿論、それは奈緒さんも然りで♪
……っと、そんな気持ちに成っている眞子や奈緒さんの心境とは裏腹に。
突然、病室に入ってきた看護婦さんから言われた「あの、コチラにお見舞いに来られた仲居間さんの身内の方は居られませんか?」
果たして、これは、何を意味するのか?
そう言えば崇秀、なんか異常なまでに体調が悪かった様な気が……
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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