●前回のおさらい●
倉津君の受験勉強を見に倉津組を訪れた眞子。
だが、倉津君の部屋に向かう途中で『会いたかったけど、逢いたくなかった自身の妹である真菜ちゃん』に遭遇してしまい会話をする事に成ったのだが、何故か、眞子に対する悪印象がなく。
「大丈夫。そこは心配無用だよ」
「どうしてですか?」
「うん?だって奈緒ネェは、いつでも真琴ちゃんの事バッカリ心配してるし。真琴ちゃんは、少しでも奈緒ネェに見合う人間に成ろうとして頑張っているから。寧ろ、二人は良好な関係だと思うよ」
「そう……なのですか」
「うん、そうだよ。……あの、それはそうと真菜ちゃん。なんで、初対面なのに、私と、こんなに風に、いっぱい話をしてくれるの?」
「あぁっと、それはですね。実は黙っておりましたが。眞子さんの事情は、前以て兄から聞いておりましたので……眞子さんが、私の腹違いの姉妹だと言う事を知っていて『嫁』だなんて試す様な事を申し上げて、申し訳ありません」
あぁ……そう言う事かぁ。
意外と真琴ちゃんも、こう言う所は気が利くんだね。
それに真菜ちゃんは、以前のまま正直な子だ。
ヤクザの家系なんて関係無しに、真っ直ぐに育ってくれてる。
此処だけは唯一、あのロクでもないお父さんでも尊敬出来るね。
「あぁ、なるほど」
「それにですね。私と遠藤様との縁談を阻止して頂いた御恩がございます。ですから、眞子さんが、どの様な方なのかと、以前より深く興味を持っておりました。それで本日この様な機会がございましたので、ご迷惑かと思いましたが、少々お話をさせて頂いた限りです」
「そうだったんだね」
ハァ~~~、そこの話も知ってるんだ。
だから、最初から印象が悪くなかったって事だね。
そう言う理屈かぁ。
「あぁ、はい。それでですね。どうしても1つだけ疑問に思ったのですが。どうして眞子さんは、見知らぬ私の為に、遠藤様との縁談を阻止して下さったのですか?」
まぁ、あの件に関しては、普通だったらそう思うよね。
でも、その件に関しての解答はちゃんと用意して有るんだよ。
「あぁ、いや、それはね。以前から真琴ちゃんが『うちには可愛い妹が居るんだよな。だからな。妹には、普通の幸せを掴んで欲しいんだよなぁ』って言われてたんで、その意思を尊重して、真琴ちゃんの代返をさせて貰っただけの事なのよ。なんてたって、あの時の真琴ちゃんは、完全に意識不明だったから、真菜ちゃんを庇い様がなかった。だから、腹違いで、一度も逢った事がないとは言え。真菜ちゃんは、私にとっても大切な妹同様の子だから、そこは当然、代弁させて貰っても、おかしくは無いと思うよ」
どぉ……かな?
少々無理のある言い分ではあるんだけど、これで上手く伝わってるかなぁ?
これが、なにも包み隠さない本音なんだけど。
「それは、私に対する見解が、兄と共通見解と言う意味でしょうか?」
「あぁ、いや、共通見解と言うか。実際は、私なんかより、真琴ちゃんの方が、数倍、真菜ちゃんの事を大切にしてると思うよ。私は、所詮、幻想の中で、真菜ちゃんと言う人物を作り上げてたに過ぎないからね」
「そうですか。では眞子さん。私と出逢って見て、印象は如何でしたでしょうか?」
「うん、私が思い描いていた通りの『真っ直ぐで良い子』だったよ。私なんかに、こんな可愛い妹が居て良いのかなって思うぐらい、凄く感心してるよ。……あぁ、ただね。真菜ちゃんが、私の事を嫌じゃなきゃだけどね」
『妾腹設定』だから微妙だろうね。
なんと言っても私は設定上【父親の浮気で出来た子】だもんね。
なので此処は流石に、清廉潔白な真菜ちゃんじゃ納得出来る訳ないかもしれない。
いや、敢えて言うなら無理だろうね。
「嫌だなんて、とんでもないです。悪行ばっかり重ねる愚兄が、本当の兄弟ではなく。世間で良い噂しか聞かない眞子さんが、本当のお姉様だったら、どれだけ良かった事か。神様を恨みたくなる様な悪戯としか思えません」
うわ~~~っ、またしても過大な高評価だなぁ。
なんか此処最近ね。
こうも褒められてばっかりじゃあ、こうやって褒められる事自体が段々怖くなってきたよ。
なんかさぁ、過大に褒められるのは辛いですよ。
「あぁ、いや、私は、そんなに大した人間じゃないよ。どこにでも居る様な普通の子だから」
「御姉様、ご謙遜なさらないで下さいませ。私が思うに、眞子御姉様は、どなたにでも自慢出来る様な立派な方です。不束では有りますが、私、倉津真菜を、本当の妹と思って頂けるでしょうか?」
ホント?……
ホントに、妾腹の子である私が、真菜ちゃんの事を妹だって思っても良いの……
もしそれは事実であるならば、真琴ちゃん以上に、真菜ちゃんを大切にするよぉ。
それにしても。
まさか真菜ちゃんに『お姉さん』って思って貰えるなんて夢みたいだね。
これだけは、絶対無理だと思ってたのに……
神様って、きっと、本当に居るんだね。
「……嬉しい。妾腹の私なんかを『姉』だと思ってくれるの?こんな私で良いの?」
「なにを仰いますか。腹違いなど関係御座いません。私は、眞子御姉様に一目お逢いした時から『運命』の様なものを感じております。ですから、眞子御姉様は、私の姉であって欲しいと、心から、そう願う所存です」
「あり、ありがとう。もぉね、一生大切にするね」
抱きしめちゃった。
ヤッパリ、真菜ちゃんは可愛い。
この子が生まれた時から知っているだけに、この子の事を、どれだけ、また溺愛したかった事か……
「眞子御姉様……苦しいです」
「あぁ、ごめんね、真菜ちゃん。嬉しくて……つい」
「ふふっ、眞子御姉様ッたら。でも、もぉ1度やって頂いて良いですか?眞子御姉様からは、なにか亡くなった母の匂いがする様な気がしますので」
そうだったね。
本当のお母さんは、真菜ちゃんが赤ちゃんの頃に亡くなっちゃったもんね。
継母である友美さんが居て、我が子の様に可愛がってくれてても、やっぱり、まだ甘えたい年頃だよね。
それに妾腹って設定だけど。
本当の事を言えば、私の体の半分は、真菜ちゃんのお母さんの細胞で構成されているから、そう言う懐かしい匂いがしても、おかしくはないよね。
だから、私で良かったら、幾らでも甘えて良いんだよ。
「幾らでも」
「ありがとう御座います」
もぉ~~~、可愛い♪
そんな可愛い過ぎる子は、ぎゅう~~~~ですよ。
「うぅ、眞子御姉様……ヤッパリ苦しいです」
「あぁ、ごめん……つい」
「ふふっ、もぉ」
もぉ可愛いな、この子は。
このまま鞄に入れて持って帰ろうかなぁ?
あぁそうだ、そうだ。
そんな事より、私は、真菜ちゃんのお姉ちゃんなんだから、大切な妹の真菜ちゃんにも、なんかしてあげなきゃね。
なんかないかなぁ?
もし真菜ちゃん自身が、私になにかして欲しい事があるなら遠慮はイラナイよ♪
「あの、真菜ちゃん。突然だけど、私、なんか真菜ちゃんにしてあげられる事ないかなぁ?なんでも良いんだよ」
「あっ、あの、姉様。愚兄の勉強は良いんですか?」
「あぁ、うん、大丈夫だよ。真琴ちゃんの勉強はね。ちょっと特殊なやり方をしてるから、人よりも憶えるのが早いんだよね。だから、別に毎日見る必要はないんだよ」
「そうなんですか?ですが、本当に甘えて宜しいんでしょうか?」
「あぁ、うん。あっ、あの、ほら、あの、なんて言うか、姉妹だって想って貰えるなら……助け合わなきゃね。あの、だから、その、なんて言うか……」
嬉しくて言葉が……上手く紡げない
それに自分の口で姉妹って言うのは……凄く照れ臭いね。
「御姉様可愛い。あの、では、愚兄同様に成るのですが、少し勉強を見て頂いて宜しいでしょうか?どうしても解らない所が、少しだけ有るので」
「あぁ、うんうん。幾らでも見させて貰うよ。解るまで丁寧に教えるね」
「ありがとう御座います。では、少し部屋を片付けて参りますので、良かったら愚兄の勉強を、先に見て頂いてて宜しいでしょうか?」
「あぁ、そうだね。だったら、チャッチャと片付けてくるね」
「ふふっ……では後ほど、愚兄の部屋に呼びに参りますので。それまでは、愚兄を宜しくお願いします」
「うん♪」
もぉ~~~、幸せすぎぃ~~~~!!
そう思いながら、足取り軽く、真琴ちゃんの部屋に向かって行く。
それにしても、真琴ちゃんの勉強、早く終わらないかなぁ?
「はぁ……眞子御姉様は、本当に可愛い方ですね」
なになに?
その言葉が出るって言う事は、ひょっとして真菜ちゃん、私の事を可愛いとか思ってくれるの?
あの、あの……だったらさぁ。
亜流なんだけど、真上さん流の奥義の秘訣を教えよっか?
真菜ちゃんぐらい可愛いかったら、直ぐに、みんなを虜に出来ちゃうよ。
その辺についても、なんでも聞いてね♪
包み隠さず、全部教えてあげるから♪
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ♪<(_ _)>
良い生活態度を続けていれば、当然評価が良くなるのは当たり前なのですが。
それが噂になるぐらいの『良い評価』であったならば、今回の真菜ちゃんの様に【妾腹設定の相手(眞子)】であっても認めて貰える様になる事もあるんですね。
所謂、これは、今までやってきた眞子の努力の賜物ではあるのですが。
こう言う幸運が訪れるのであれば、頑張ってきた甲斐もあったってもんですよ♪
さてさて、そんな風に真菜ちゃんに認められて上機嫌な眞子なのですが。
今日此処を訪れた理由は『倉津君の受験勉強を見る為』
こんな調子で大丈夫なんですかね?(笑)
……ってな訳で、次回はその辺を書いて行きたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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