最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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1486 リフォーム開始……と、とある話

公開日時: 2025年2月28日(金) 00:21
文字数:2,182

●前回のおさらい●


 屋根裏で見つけたハードケースは、みんなの前で公開する事が決定。

なので、そこが片付いた以上、本題である橘家に賃貸する家のリフォームを開始する2人だったが……

 ……まぁそんな訳でだな。

早速、俺と山中の2人で、家のリフォームを開始する訳なんだが。

まずは、まだ綺麗にすれば使えそうな襖や、扉なんかを全部外して、一旦は外に放り出していく。


その後、山中の乗って来た軽トラ(無免許)から発電機を部屋の中に持ってきて。

そんで業務用の大型扇風機を廻しながら、部屋に溜まった糞埃を綺麗サッパリと一掃する。


此処に来た当初、俺を苦しめまくった埃が、かなりの量が溜まってるからアレなんだが。

自然な風で吹き飛ばすのではなく、人工的に埃を一気に外に出してしまおうって算段だ。


勿論、箒なんかでも掃きながらの話だぞ。


そんで1部屋目が、ある程度一段落ついたら。

山中は、その畳の上にブルーシートを張ってから、壁を塗り始め。


その間、俺は違う部屋に向かって行き、同じ様な掃除を繰り返す。


そうやって、2人で効率的に仕事を分配し。

軽く全部屋の掃除が終わった俺は、山中の元に帰って来て、同じ様に壁塗りの手伝いを始めるんだが。


……にしても、山中の野郎、手が早ぇな。

鼻歌交じりに遣ってるクセに、慣れた手付きでドンドンと壁を綺麗に塗って行きやがる。


流石は土建屋の息子だな。

俺の3倍は速いスピードなのにも関わらず、それでいて、ムラなく滅茶苦茶綺麗に仕上げてやがるんだもんな。


いやはや、いやはや。


そんな訳なんで、俺も手を動かしながら、その辺についての事を山中に聞いてみる事にした。



「オイ、山中」

「おっ?なんやな?」

「オマエって、何気にスゲェんだな」

「はぁ?なにがやねんな?」

「いやいや、壁を塗るのが滅茶苦茶早ぇし、仕上がりも滅茶苦茶綺麗じゃんかよ」

「なにを言い出すかと思えば。……アホなんかオマエは?そんなもん当たり前やろがい。俺を何屋の息子や思うとるねん」


土建屋?


って言うか。

工務店をやってるんだから、間違いなく建築関係だよな。



「工務店だから、土建関係じゃねぇのか?」

「おぉそや。その通りや、それで正解や。それでガキの頃から俺はオトンを手伝とるから、こう言うのは、結構、慣れっこなんやわ」

「家の手伝いかぁ。なるほどなぁ。それで手早い訳な」

「まぁな。……そやけどな。関西からコッチに来てからは、リフォーム専門で営業しとるから、土建屋って言うのは正確やないやけどな。まぁ、そのお陰で、リフォーム系は、関西のおる時より慣れっこには成ったちゅうこっちゃな」


なるほどなぁ。

そうやって技術の蓄積があるからこそ、素人の俺なんかとは一線を博してる訳な。


しかしまぁ、経験があるとは言え。

こいつも、そう言う所は器用に出来てるよなぁ。


スゲェわ。



「あぁ、そうなんか?俺はテッキリ、工務店をやってるから、家屋を建ててるんだと思ってたぞ」

「アホか?」

「なんでだよ?」

「最近は不景気やから、家の立て替えなんかしとったって、どうやっても資本力で勝る大手の企業には勝たれへんやろがい。そんな無謀な真似したら、ウチみたいな零細企業は、それこそジリ貧に成ってまうだけや。そやから、一般的に需要の有る事だけに焦点を合わせな、それこそ会社が潰れてまうからのぉ」


あぁ……確かにそうだわな。

景気が良ければ『家を買う』とか『家を建て替える』なんて豪儀な事も言ってられるが。

今の世の中じゃ、バブルが弾けたせいで、あまりにも景気が悪く成り過ぎて、一般家庭なら精々リフォームをするのが良い所だもんな。


なら、その需要に合わせて、業種を選択するのも悪かねぇわな。


いや、寧ろ、賢明な判断と言えるな。



「……って事はあれか。ヤッパ、今のご時世じゃ、そっちの方が儲かるのか?」

「いやぁ~、そないに言う程、儲かりはせぇへんわな。……そやけどな。ぼちぼち忙しいのも否めへんで。家なんぞ放って置いても、アッチコッチ修繕箇所が出て来るもんやからな」

「まぁ、そうだわな。住んでりゃあ、自然と家は傷むもんだからな」

「そういうこっちゃ。……まぁなんやったら、オマエの家の持ち物件、ウチが安うで請け負うで」


マジで?


……ってか。

これは、話の流れ的に、偶然、山中が口にした言葉なんだが、提案としては実に悪くない話だな。


特に今回、山中は無償でこうやって手伝ってくれてる訳だから。

こう言った【実家への仕事の依頼】っと言う形で、恩返しさせて貰うのは、かなり良いんじゃねぇか?


ならアレだな。

このリフォームが終わった後。

一回、親父とか、不動産関係の担当である玄さんに交渉してみっかな。



「あぁ、それ、良いな、マジで良いんじゃね。なんなら、マジで親父に掛け合ってみっけど」

「おっ、おっ、マジでか?それ、マジで言うてんか?」

「おぉ、マジで、大マジ。……まぁつっても、でかいビル系の物件は、流石に取引先が決まってるから、どうやっても入り込むのは余地はねぇとは思うんだけどよぉ。それとは別に、こう言う小さい賃貸物件も、結構な量がある筈だしな。それに、飲み屋街の店舗のリフォーム会社とは、この間、なんか揉めたみたいだから、ソッチなら付け入る隙は有ると思うぞ」


つぅか、んな現実的な事情よりもだな。

誰かも知らない様な業者に頼むより、知り合いが少しでも儲かった方が良いじゃんかよ。


手抜き工事ばっかりしてゴチャゴチャ揉めてる様な糞会社なんかより、オマエの家の方が数百倍信用出来るしな。


オマエの言う、オマエの所のオトンと、オカンは、スゲェ良い人だしな。


うん……なら、この方向は、マジでありだな。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


此処に来て、無償で手伝いをしてくれてる山中君に対して、意外な恩返しの提案が出てきましたね♪


まぁ本来、仕事とは言え、こうやって直接ヤクザ組と関わると、色々と問題がある様に見えるのですが。

そう言うのは大体、架空会社なんかを通してから依頼を出したり。

取引先の不動産屋さんから直接依頼を出して貰ったりして回避出来るので、意外とこう言うのは問題にならなかったりします。


所謂、大手の企業と契約する際には、よく使われる手口ですね(笑)


なので、これは、お父さんや玄さんとの交渉さえ上手く行けば、きっと良い恩返しになると思いますです♪


さてさて、そんな中。

こうやって積極的に話してくれる倉津君に対して、山中君は、どう思うのでしょうか?


次回は、その辺のお互いの心境も踏まえて、物語を書いていきたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


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