第4話はじまり、はじまりぃ~~~(*'ω'*)ノ
結局、あの後……コンパが開催されていた部屋には戻らず。
他の部屋に居た向井さんと2人でエスケープをかましてしまった。
コンパ初挑戦の分際で、イキナリこんな大それた事をするのもどうかと思ったんだが。
成り行き上、そうなってしまったんだから、これはどうやっても仕方がないんじゃねぇかな。
だってよぉ。
今後、向井さん程の素敵な女性と知り合えるチャンスなんて、俺の糞みたいな人生では、これが最後の最後かも知れない訳だし……
その時点で俺は、彼女に惚れてしまってた訳だし……
コレはもぉ、どうしようにもなかったと思われるんだよなぁ。
まぁ、かと言ってだな。
向井さんに対して下心満載に乗せて、変な事を期待をしもって、向井さんに疚しい行為を求めていた訳じゃないんだぞ。
大体にして彼女は、俺なんかが触れる事さえおこがましい存在なんだからな。
その証拠にだな。
コンパからエスケープをかましたとは言え、別に2人で何所か他の場所に行った訳じゃねぇんだ。
ただ単に、カラオケBOXの部屋を2階から3階に変えてだな。
俺が向井さんの演奏で興味を持ったベースの手解きを受けていただけだからな。
決して、疚しい事などなに1つしていない。
勿論と言うか、当然と言うか。
彼女も、最初から、そのつもりでいてくれたらしく。
別室に入るなり、彼女はまず、俺にベース本体の基本的な握り方を教えてくれ。
その後、初歩的なピッキングの方法や、軽いチューニング等々を、順を追って、丁寧に事細かに教えてくれた。
勿論、その中には『俺が重点的にやらなければいけない練習法』が含まれていた。
それが『運指運動』
なんと言っても俺は、今まで、暇さえあれば喧嘩のばかりしてロクデモナイ生活を送っていた人間なので、此処が早くも弊害になってしまって、指の感覚がどうにも鈍感に成っちまっているんだよな。
要するに、思い通りに指が動かんのだわ。
そんな訳で、当然、指が器用に動く筈も無い。
その上、弦楽器はおろか、音楽の基本すらもなにも知らないボンクラ。
なら、なにもかもがスムーズに行く筈も無く。
ベースを使ってはみたものの、なに1つとして上手く行かない結果に陥ってしまった訳だ。
そんな間抜けな俺を見て、向井さんも、そこが気になっていたのかして、まずは、そこを集中的にリハビリする事にしたらしく。
このベースの演奏の基本である【運指運動】と言う物を推奨してくれた訳ですわ。
まぁ少し、向井さんから聞いた話を、細かく言えばな。
矢張り、ベース音の細かいコントロールする為には、今の状態のままでは出来無いらしく。
それを直す為には、この運動が一番適しており。
続けていれば、基本動作を覚えられた上に、動きが指に習慣付き。
やり続けてさえいれば、いつかは思い通りに指がスムーズに動く様になる……っとの事だ。
故に、右も左も解らない俺にとっては、その言葉を信じるしかない。
因みにだが、やり方は、こんな感じだ。
1フレットに人差し指。
2フレットに中指。
3フレットに薬指。
4フレットに小指。
を順番に押さえながら、メトロノームに合わせて、オルタネイトピッキング(弦に対して上下にピックを動かす)をする。
それが終わったら。
2フレットに人差し指。
3フレットに中指。
4フレットに薬指。
5フレットに小指。
っという感じで、最後のフレットまで行き、今度は、次の弦に移動する。
それを1~4弦までを一セットとし、これを繰り返し練習する。
まさに単純作業だ。
ただなぁ……こうやって口では簡単に、単純作業とか言って見たものの。
口で言うのは簡単なのだが、実際、指を使って動かしてやってみると、これが、かなり厄介でな。
次のフレットを押さえようとして、先に押さえてる指が離れてみたり。
左手に集中し過ぎて、右手のピッキングが狂ったりするばかりで、俺の頭は混乱を極めた。
そして、それを修正する為に、右手だけに集中すれば、今度は、左手の動きが疎かに成り、全然関係ない弦を押さえてたりする。
要するに、押さえるべきフレットを押さえられてなかったりする訳だ。
兎に角、こんな基本の単純作業ですら、思った以上に難しく、なに1つとして思い通りには行かない。
だが、出来無いとは言え、此処で諦めたら全てが終わりだ。
此処で諦めると言う事は、教えて貰っている向井さんにも2度と逢えなくなると言うのと同意義。
これは嫌だ。
今の俺にとって、これは致命的なダメージに成りかねないし、寧ろ死んでしまう。
故に俺はだな。
そんなギコチナイ動きながらも、暇があったらこの動作を『馬鹿の1つ憶え』みたいに何度も何度も繰り返し。
少しでも指が動く様なる為に、日夜頑張っている。
日がな一日、そんな事ばかりしながら、あのコンパから既に1週間が過ぎようとしていた。
***
あぁそうそう、因みになんだがな。
今、実は、あれだけ毛嫌いし、無駄だと思っていた学校に来てたりするんだよな。
なんせベースの師匠である向井さんが『学校に行く事を薦める』んだから、これは行かない訳には行かないからな。
それほどまでに、師匠の言葉は絶対な訳だ。
故に、この一週間、土・日、祝日以外は、毎日遅刻もせず学校に来ている。
普段、サボってばっかりの俺にしては、こんな事は珍しい、それは学校の先公がビビる程の大珍事らしいしな。
けどまぁ、あんな美人な向井師匠に、こんな事を言われたら、大概の男は言う事を聞くと思うぞ。
―――んっ?向井さんに何を言われたかって?
いやな。
そんな大した話じゃねぇんだがな。
向井さんからは『真面目にした方が良いよ』って。
それに『学校には、学校でしか楽しめない事も有るよ』とも言われた訳だ。
まぁまぁ、元々学校嫌いの俺にとって向井さんの言葉は、全く意味の解らない言葉ではあったんだがな。
少々向井さんの言う『学校でしか楽しめない事』って言うのが気になったもんだから、彼女の言葉に従う事にした訳だ。
決して、惚れた弱みで、彼女の言う事を聞いてる訳ではないので、あしからず。
向井さんの言葉から滲み出る『学校への興味』と、師匠の言い付けを守って学校に来ているだけの話だからな。
変な誤解をするんじゃないぞ。
……っと、まぁそんな風に、冒頭から言い訳がましい俺な訳だ。
第4話始まりましたぁ(*'ω'*)ノ
そして、またお付き合いしてくださってる皆様、ありがとうございますです。
さて、後書きの冒頭から、こういう事を言うのも変なのですが。
『倉津君……アホですね』
惚れた弱味とは言え、まだ付き合っても居ない状態で、もぉ既に『尻に敷かれてますよね(笑)』
まぁでも、本来、この子自体が飽き性なのに、此処まで本気で何かしようとしてると言う事は、向井さんから本当に何か感じる所があったのかもしれませんね。
さて、それがいつまで続く事やら(笑)
それは次回の講釈と言う事で(*'ω'*)ノ
また、遊びに来てくださいねぇ。
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