最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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1392 それ、かなりの問題があるんじゃないか?

公開日時: 2024年11月26日(火) 00:21
文字数:2,159

●前回のおさらい●


 飲み物を買いに行っただけなのに帰って来ない親父さん。

だが沙那ちゃんは、特に気にしてる様子もなかったので、2人で和気藹々と会話をしていたら。


なにやら沙那ちゃんが、楽器を弾けるような事を言い出して……

「はいよ。所で沙那ちゃんよぉ」

「うん?」

「さっき大きいライブハウスで共演したいって言ってたけど、楽器は、なにか弾けるのか?」

「う~~~んとねぇ。ギターなら、ちょっとだけ弾けるよ」

「なにを使ってるんだ?」

「ムスタング」


やっぱり、予想に反する事なく、沙那ちゃんは楽器が扱えるんだな。


しかも愛機はムスタングときたかぁ。


いやまぁ、俺自身はベース専門だから、そこまでギターの事までは詳しくねぇからカラッキシわからねぇけど。

ムスタングって言えば、CHARが使ったので一気に有名になったギターだったよな。

ショートスケールで演奏がし易くて、それでいて、野太くて、乱暴な音が出る。

まぁ後、ビブラートが非常に良く効くギターなんだけど。

その分、調子に乗ってビブラートを使い過ぎると、直ぐにキーが狂うから難易度が高いギターだって、嶋田さんが言ってたっけな。


それを、この子が扱ってるんだ。



「ほぉ、ムスタングか。かなり調整が難しい機体だって聞いたけど。その辺ってどうなんだ?」

「う~~~ん。どうだろ?ズッとね。殆ど、それしか使った事が無いから、他のが、あんまり解んない」

「それって、沙那ちゃんの専用機って奴か?」

「うぅん。お父さんが作ってくれた。それしか持ってないだけ」


はい?

なんで楽器屋勤めでサラリーマンの親父さんが、ギターなんぞ作れるんだ?


趣味で作ったって事か?


・・・・・・

いや、ちょっと待て、違うな、


まさか、それって……



「うん?お父さんが作った?なんだひょっとしてお父さんはビルダーなのか?」

「ビルダーって、なに?」

「あぁっとなぁ。解り易く言うと、楽器を作る人の事だな」

「うん。お父さんね。色々な所に行って、楽器を修理したり、ギターとか、ベースを作って、お金を貰ってるね」


矢張りビルダーだったか。


まぁ楽器を趣味に作る様な人間が居る以上、これには確信があった訳ではないんだが。

あの気が弱く、腰の低い親父さんが『営業職』だとは思えなかったから。

最初サラリーマンって聞いた時は『倉庫管理』をしてる人なんじゃないのか?とは思ってはいたんだが、そんな環境下で楽器を作るとなると矢張り『職人』


しかも、色んな所まで行ってるとなると……



「じゃあ、自営魚だから、サラリーマンじゃないじゃん」

「あっ……言っちゃった」


隠してたんだ。

親父さんがビルダーである事を隠してたんだ。


しかも沙那ちゃん、なんか焦った様に……



「あぁ、この事は、お父さんには内緒にしてね。倉津のおにぃちゃん黙っててね」

「言わねぇ、言わねぇ。内緒な内緒」

「うん。絶対の絶対に内緒だよ」

「OKOK」


ふ~~~ん。

別に隠し立てをする様な事じゃないと思うんだがな。


寧ろ、親父さんがビルダーとか、超格好良くね?

それを敢えて隠すって事は、あの親父さんが……実は有名だったりするのか?



「あぁ、そう言えば、色々な所に行くって行ってたけどよぉ。そんなに各地を廻ってるのか?」

「うん。日本全国津々浦々。依頼と在らば即参上だよ」


ドッカで聞いた様なキャッチフレーズだな。


確か、俺の記憶が正しければ、銀河疾風ブライガーだったかな?


いや、今、そんな事はどうでも良いか。



「ふ~~~ん。けどよぉ、全国を回りながら、制作や修理するにしても道具とかイッパイ要るんじゃねぇの?」

「全部、車の中に入ってるよ」


車の中に道具が全部あるとな?


……っとなると、可能性的に考えられるのは。



「バンか?」

「バンって、なに?」

「トラックではない。普通の車のおっきいバージョンだな」

「う~~~ん。じゃあ、それ……それかな?」


なんだ?

微妙に引っ掛かる言い草だな。


沙那ちゃんは、比較的、素直に話をする子みたいだから。

こうやって言葉を濁すって事は、バンじゃないのかもしれないな。


じゃあ、なんだ?



「因みに、その車って、どんな形してるんだ?」

「前の車と、後ろの車がね。電車みたいにくっ付いてる車」


前の車と後ろの車が電車みたいにくっついてる車とな?

これはまた、異な事を言うなぁ。


なんだ、それ?


・・・・・・


( ゚д゚)ハッ!

いや、ちょっと待て。

そういう形状の車なら心当たりがなくもないな。


ひょっとしてキャンピングカーか!!


状況から考えても、それしかねぇわな。


なるほどなぁ。

それなら、少々手狭ではあるが、工房に出来なくもないか。


しかしまぁ、あの親父さん。

顔に似合わず、大胆なものに乗って、大胆な営業をしてるんだな。


もしこれが事実なら、これにはちょっと驚かされたな。



「ふ~~~ん。じゃあ、移動中は、そこで生活してるのか?」

「うん。そうだよ。ずっとそこで生活してるね」


うん?

移動中なだけじゃなく、そこでズッと生活してるとな?


えっ?


あれ?


いや、それってよぉ。

かなり問題のある生活なんじゃないのか?


そんな生活をしてたら、あそこには、どうやっても行きようがないしな。


その辺は、どうやってるんだろうな?



「学校は、どうしてるんだ??」

「行ってないよ。行った事もないよ」


なに?


そりゃあ一体、どういう事だ?


いやまぁ、今現在の沙那ちゃんの生活を考えれば、自ずとそう言う回答にはなるだろうから『学校に行ってない』ってのは、まだ解らなくもないんだが……


『行った事がない』って言うのは、どういう事なんだ?


学校嫌いの俺が言うのもなんだけど。

それ……かなり問題がある処の騒ぎじゃなさ過ぎるんじゃねぇか?


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


当物語の登場人物なだけの事はあって。

矢張り沙那ちゃんも、なにやら家庭の問題を抱えている様子。


しかも「学校に行った事すらない」っと言うトンデモナイ問題を……


さてさて、それを聞いた倉津君。

この後、一体、どういう行動に出ようとするのでしょうか?


そして親父さんは、いつになったら帰って来るのか?(笑)


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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