●前回のおさらい●
飲み物を買いに行っただけなのに帰って来ない親父さん。
だが沙那ちゃんは、特に気にしてる様子もなかったので、2人で和気藹々と会話をしていたら。
なにやら沙那ちゃんが、楽器を弾けるような事を言い出して……
「はいよ。所で沙那ちゃんよぉ」
「うん?」
「さっき大きいライブハウスで共演したいって言ってたけど、楽器は、なにか弾けるのか?」
「う~~~んとねぇ。ギターなら、ちょっとだけ弾けるよ」
「なにを使ってるんだ?」
「ムスタング」
やっぱり、予想に反する事なく、沙那ちゃんは楽器が扱えるんだな。
しかも愛機はムスタングときたかぁ。
いやまぁ、俺自身はベース専門だから、そこまでギターの事までは詳しくねぇからカラッキシわからねぇけど。
ムスタングって言えば、CHARが使ったので一気に有名になったギターだったよな。
ショートスケールで演奏がし易くて、それでいて、野太くて、乱暴な音が出る。
まぁ後、ビブラートが非常に良く効くギターなんだけど。
その分、調子に乗ってビブラートを使い過ぎると、直ぐにキーが狂うから難易度が高いギターだって、嶋田さんが言ってたっけな。
それを、この子が扱ってるんだ。
「ほぉ、ムスタングか。かなり調整が難しい機体だって聞いたけど。その辺ってどうなんだ?」
「う~~~ん。どうだろ?ズッとね。殆ど、それしか使った事が無いから、他のが、あんまり解んない」
「それって、沙那ちゃんの専用機って奴か?」
「うぅん。お父さんが作ってくれた。それしか持ってないだけ」
はい?
なんで楽器屋勤めでサラリーマンの親父さんが、ギターなんぞ作れるんだ?
趣味で作ったって事か?
・・・・・・
いや、ちょっと待て、違うな、
まさか、それって……
「うん?お父さんが作った?なんだひょっとしてお父さんはビルダーなのか?」
「ビルダーって、なに?」
「あぁっとなぁ。解り易く言うと、楽器を作る人の事だな」
「うん。お父さんね。色々な所に行って、楽器を修理したり、ギターとか、ベースを作って、お金を貰ってるね」
矢張りビルダーだったか。
まぁ楽器を趣味に作る様な人間が居る以上、これには確信があった訳ではないんだが。
あの気が弱く、腰の低い親父さんが『営業職』だとは思えなかったから。
最初サラリーマンって聞いた時は『倉庫管理』をしてる人なんじゃないのか?とは思ってはいたんだが、そんな環境下で楽器を作るとなると矢張り『職人』
しかも、色んな所まで行ってるとなると……
「じゃあ、自営魚だから、サラリーマンじゃないじゃん」
「あっ……言っちゃった」
隠してたんだ。
親父さんがビルダーである事を隠してたんだ。
しかも沙那ちゃん、なんか焦った様に……
「あぁ、この事は、お父さんには内緒にしてね。倉津のおにぃちゃん黙っててね」
「言わねぇ、言わねぇ。内緒な内緒」
「うん。絶対の絶対に内緒だよ」
「OKOK」
ふ~~~ん。
別に隠し立てをする様な事じゃないと思うんだがな。
寧ろ、親父さんがビルダーとか、超格好良くね?
それを敢えて隠すって事は、あの親父さんが……実は有名だったりするのか?
「あぁ、そう言えば、色々な所に行くって行ってたけどよぉ。そんなに各地を廻ってるのか?」
「うん。日本全国津々浦々。依頼と在らば即参上だよ」
ドッカで聞いた様なキャッチフレーズだな。
確か、俺の記憶が正しければ、銀河疾風ブライガーだったかな?
いや、今、そんな事はどうでも良いか。
「ふ~~~ん。けどよぉ、全国を回りながら、制作や修理するにしても道具とかイッパイ要るんじゃねぇの?」
「全部、車の中に入ってるよ」
車の中に道具が全部あるとな?
……っとなると、可能性的に考えられるのは。
「バンか?」
「バンって、なに?」
「トラックではない。普通の車のおっきいバージョンだな」
「う~~~ん。じゃあ、それ……それかな?」
なんだ?
微妙に引っ掛かる言い草だな。
沙那ちゃんは、比較的、素直に話をする子みたいだから。
こうやって言葉を濁すって事は、バンじゃないのかもしれないな。
じゃあ、なんだ?
「因みに、その車って、どんな形してるんだ?」
「前の車と、後ろの車がね。電車みたいにくっ付いてる車」
前の車と後ろの車が電車みたいにくっついてる車とな?
これはまた、異な事を言うなぁ。
なんだ、それ?
・・・・・・
( ゚д゚)ハッ!
いや、ちょっと待て。
そういう形状の車なら心当たりがなくもないな。
ひょっとしてキャンピングカーか!!
状況から考えても、それしかねぇわな。
なるほどなぁ。
それなら、少々手狭ではあるが、工房に出来なくもないか。
しかしまぁ、あの親父さん。
顔に似合わず、大胆なものに乗って、大胆な営業をしてるんだな。
もしこれが事実なら、これにはちょっと驚かされたな。
「ふ~~~ん。じゃあ、移動中は、そこで生活してるのか?」
「うん。そうだよ。ずっとそこで生活してるね」
うん?
移動中なだけじゃなく、そこでズッと生活してるとな?
えっ?
あれ?
いや、それってよぉ。
かなり問題のある生活なんじゃないのか?
そんな生活をしてたら、あそこには、どうやっても行きようがないしな。
その辺は、どうやってるんだろうな?
「学校は、どうしてるんだ??」
「行ってないよ。行った事もないよ」
なに?
そりゃあ一体、どういう事だ?
いやまぁ、今現在の沙那ちゃんの生活を考えれば、自ずとそう言う回答にはなるだろうから『学校に行ってない』ってのは、まだ解らなくもないんだが……
『行った事がない』って言うのは、どういう事なんだ?
学校嫌いの俺が言うのもなんだけど。
それ……かなり問題がある処の騒ぎじゃなさ過ぎるんじゃねぇか?
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
当物語の登場人物なだけの事はあって。
矢張り沙那ちゃんも、なにやら家庭の問題を抱えている様子。
しかも「学校に行った事すらない」っと言うトンデモナイ問題を……
さてさて、それを聞いた倉津君。
この後、一体、どういう行動に出ようとするのでしょうか?
そして親父さんは、いつになったら帰って来るのか?(笑)
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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